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影と黒 〜愛されし者達の対峙〜
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ーーー“別の世界に生まれた君”が“君に苦しみを与えた人達”の代わりに、“君の苦労と関係のない人達”を罰するなんてしてはいけないんだ。
だって、この世界に産まれた時、君は愛に包まれていたんだから。
ルミエールの大きく見開かれた金色の瞳に、忘れていたエルフの母と父の面影が写った。
気まぐれに拾った木の実を差し出すと嬉しそうに褒めてくれた事。
最年少で信託を受けた時に喜んでくれた事。
最初の狩りで少しの怪我しただけなのに、大袈裟に心配してくれた事。
そして、初めて優しさを教えてくれた事。
復讐心に駆られて忘れていた。
『我は確かに愛されていた・・・。』
驚き慄くルミエールがポタポタと涙を落とした。
自分を苦しめた者達には怯え震えるしかなかった癖に、この世界の関係のない者達を蹂躙し恐怖で支配しようとした。
『己の愚かさに呆れてくる。』
涙と共に失笑するルミエールにイオリは穏やかに微笑んだ。
「君は、リュオン様に愛され、この世に生を受けた時に救われた筈だった。
もう、自分を呪い、人を傷つけるのをやめて下さい。」
すると、ルミエールは真っ白な美しい髪を掻き上げ、金色の瞳をギラつかせた。
『フンっ。
愚か者よ。
我の復讐は終わってはおらん。』
何を言い出すんだと眉を顰めるイオリにルミエールは意地悪そうに口元を歪めた。
『この世界に仇討ちの相手がおらぬのなら、そいつがいる世界に行けばいいだけの話だ。
死して尚、私の心が渇望する復讐心は満たされる事などないのだ。』
「・・・しつこい。」
最早、呆れて物も言えないイオリは頭を抱えた。
「まぁ、じゃなければ何千・何万の年月を超えて復活しようなんて思わないか。」
『だいたい、奴が送る世界を間違えたのが原因だ。
最初から、憎き奴らと同じ世界に送れば済む話だろう。
別の世界に送っておけば良いと考えた奴の怠惰だ。』
リュオンの判断こそが間違えだと自分を正当化させようとするルミエールにイオリは白い目を向けた。
「・・・ルミエール。
それはダークエルフとして名を馳せた今の君だから言える事で、小さく蹲るしか出来なかった嘗ての君が復讐なんて無理じゃない?」
『・・・出来る。』
「いや、無理だって。
リュオン様もさ、君が復讐に人生を捧げるなんて思ってもいなかった訳でしょ?
はぁ・・・君にしても十蔵さんにしても、何でリュオン様は変な人が好きなんだろう。」
溜息を吐くイオリにルミエールが不愉快そうに顔を歪めた。
『貴様とて、その変人の1人であろうがっ!
何を他人事のように言っているのだ!!』
「お言葉ですが、2人に比べると俺は十分に良い子だと思いますよ。」
『白々しい!
やはり、我は貴様を好かん!』
「俺だって、面倒臭い人の面倒は御免です。
さっさと成仏して下さいよ。」
当初の緊迫した空気は何処へやら、すでに低レベルな口喧嘩となっている2人の耳にクスクスと笑い声が聞こえてきた。
『仲良くなったようで何よりです。』
そこには虹色の髪を靡かせて微笑むリュオンの姿があった。
だって、この世界に産まれた時、君は愛に包まれていたんだから。
ルミエールの大きく見開かれた金色の瞳に、忘れていたエルフの母と父の面影が写った。
気まぐれに拾った木の実を差し出すと嬉しそうに褒めてくれた事。
最年少で信託を受けた時に喜んでくれた事。
最初の狩りで少しの怪我しただけなのに、大袈裟に心配してくれた事。
そして、初めて優しさを教えてくれた事。
復讐心に駆られて忘れていた。
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もう、自分を呪い、人を傷つけるのをやめて下さい。」
すると、ルミエールは真っ白な美しい髪を掻き上げ、金色の瞳をギラつかせた。
『フンっ。
愚か者よ。
我の復讐は終わってはおらん。』
何を言い出すんだと眉を顰めるイオリにルミエールは意地悪そうに口元を歪めた。
『この世界に仇討ちの相手がおらぬのなら、そいつがいる世界に行けばいいだけの話だ。
死して尚、私の心が渇望する復讐心は満たされる事などないのだ。』
「・・・しつこい。」
最早、呆れて物も言えないイオリは頭を抱えた。
「まぁ、じゃなければ何千・何万の年月を超えて復活しようなんて思わないか。」
『だいたい、奴が送る世界を間違えたのが原因だ。
最初から、憎き奴らと同じ世界に送れば済む話だろう。
別の世界に送っておけば良いと考えた奴の怠惰だ。』
リュオンの判断こそが間違えだと自分を正当化させようとするルミエールにイオリは白い目を向けた。
「・・・ルミエール。
それはダークエルフとして名を馳せた今の君だから言える事で、小さく蹲るしか出来なかった嘗ての君が復讐なんて無理じゃない?」
『・・・出来る。』
「いや、無理だって。
リュオン様もさ、君が復讐に人生を捧げるなんて思ってもいなかった訳でしょ?
はぁ・・・君にしても十蔵さんにしても、何でリュオン様は変な人が好きなんだろう。」
溜息を吐くイオリにルミエールが不愉快そうに顔を歪めた。
『貴様とて、その変人の1人であろうがっ!
何を他人事のように言っているのだ!!』
「お言葉ですが、2人に比べると俺は十分に良い子だと思いますよ。」
『白々しい!
やはり、我は貴様を好かん!』
「俺だって、面倒臭い人の面倒は御免です。
さっさと成仏して下さいよ。」
当初の緊迫した空気は何処へやら、すでに低レベルな口喧嘩となっている2人の耳にクスクスと笑い声が聞こえてきた。
『仲良くなったようで何よりです。』
そこには虹色の髪を靡かせて微笑むリュオンの姿があった。
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