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旅路 〜秘境の台座〜
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チチチッ
真紅の小鳥の囁きに朝の目覚めを迎えたヒューゴはムクリと起きると辺りを見渡した。
テントのベットには子供達が眠り、サイドに設置されたヴァルトや従者2人の為の3段のベットがある。
当初こそ、寝泊まりする人数に合わせて部屋が変わっていく様子に驚きもしたヒューゴであったが、慣れてみれば気にする事もなくなっていた。
「おはよう。ソル。
今日は早起きだな。」
普段、眠りについている事の多い真紅の小鳥の頭を優しく撫でたヒューゴは子供達を挟んで寝ているはずのイオリがいない事に気がついた。
「今日も早いな。」
普段から早起きのイオリは誰よりも先に体を動かし、ヒューゴが起きる頃にはテントの外で家事に勤しんでいる事が多い。
「ん?ゼンも起きてるのか?」
イオリに寄り添うように寝ているはずの純白のフェンリルも普段ならパティと共に寝坊助であるのに、この日は姿が見えない。
不思議に思いながらも、ヒューゴは自らの鍛錬を開始する為に起き上がった。
真紅の小鳥のソルが肩に乗ってきた。
朝としては珍しい事だ。
「どうしたんだ?」
ヒューゴは微笑みながらソルを撫でた。
テントから出れば、新緑の草木の香りが漂い、優しい朝の風が出迎えてくれる。
「・・・いないな。」
辺りを見回してもイオリの姿が見えない。
泉に浮かぶ小さな小島。見失う筈はない。
「夢じゃなかったか。」
ヒューゴは光り輝く魔法陣の中心に浮かぶ剣を見つめ、溜息を吐いた。
「イオリは風呂か?」
剣の存在を無視した後、イオリは風呂に入っていると理解したヒューゴは柔軟を終えると自身の大剣を振り始めた。
「フンっ!フンっ!フンっ!」
どれ位の時間、振り続けていた事だろう。
テントの方からゴソゴソと音がして振り返るとスコルとトゥーレが姿を見せた。
「おはよう。」
まだ少し眠そうなスコルに声を掛け、トゥーレに片手を上げて挨拶をする。
「・・おはよう。イオリは?」
朝ごはんを一緒に作ろうとイオリを探すスコルにヒューゴは首を傾げた。
「風呂にいなかったか?」
「えっ、いないよ?
今、トゥーレと入ってたんだ。」
ここに来てヒューゴは初めて眉間に皺を寄せた。
「イオリがいないのですか?」
ヒューゴの様子に気付き、トゥーレが心配そうに近づいてきた。
「えぇ。
それにゼンもいないんですよ。」
「ゼンも!?」
驚く2人を落ち着かせ、ヒューゴはソルに視線を向けた。
「何か知ってるんだな?」
チチチッ
首を傾げる真紅の小鳥はワザと知らないふりをしている様に見えた。
その後、続々と起き上がってくる仲間にイオリの不在を告げると一同が慌て始めた。
「まさかと思うが・・・逃げた?」
自分でも信じられない言葉であったが、昨夜のゼンの言葉を思い出したマルクスが思わず口にすると、子供達から猛抗議が帰ってきた。
「イオリは逃げない!」
「パティ達を置いて行かないもん!!」
「酷いよ!マルクル。」
「ニナ嫌い!」
慌てるマルクルであったが、主人の助力は得られそうにない。
「私もイオリを信じてる。
こんな中途半端でいなくなるものか。」
「俺だって分かってるよ!」
叫ぶマルクルであったが、子供達からの睨みは消えてはいない。
「まったく・・・アイツは何処に行ったんだ?」
心配するヴァルトが溜息を吐いた時だった。
『あら?』
ルチアが森の方を見つめて呟いた。
「なんだ?」
つられる様にヴァルトが振り返ると、草木の掻き分けてヌッと顔を出したのは大きなロック鳥だった。
「なっ!!」
驚きながら仰け反ったのはヴァルトだけじゃなかったはずだ。
そんなロック鳥の影からイオリがヒョイっと顔を出した。
「あっ。
みんな、おはよう。」
一同の心配を他所に満面の笑みのイオリだった。
真紅の小鳥の囁きに朝の目覚めを迎えたヒューゴはムクリと起きると辺りを見渡した。
テントのベットには子供達が眠り、サイドに設置されたヴァルトや従者2人の為の3段のベットがある。
当初こそ、寝泊まりする人数に合わせて部屋が変わっていく様子に驚きもしたヒューゴであったが、慣れてみれば気にする事もなくなっていた。
「おはよう。ソル。
今日は早起きだな。」
普段、眠りについている事の多い真紅の小鳥の頭を優しく撫でたヒューゴは子供達を挟んで寝ているはずのイオリがいない事に気がついた。
「今日も早いな。」
普段から早起きのイオリは誰よりも先に体を動かし、ヒューゴが起きる頃にはテントの外で家事に勤しんでいる事が多い。
「ん?ゼンも起きてるのか?」
イオリに寄り添うように寝ているはずの純白のフェンリルも普段ならパティと共に寝坊助であるのに、この日は姿が見えない。
不思議に思いながらも、ヒューゴは自らの鍛錬を開始する為に起き上がった。
真紅の小鳥のソルが肩に乗ってきた。
朝としては珍しい事だ。
「どうしたんだ?」
ヒューゴは微笑みながらソルを撫でた。
テントから出れば、新緑の草木の香りが漂い、優しい朝の風が出迎えてくれる。
「・・・いないな。」
辺りを見回してもイオリの姿が見えない。
泉に浮かぶ小さな小島。見失う筈はない。
「夢じゃなかったか。」
ヒューゴは光り輝く魔法陣の中心に浮かぶ剣を見つめ、溜息を吐いた。
「イオリは風呂か?」
剣の存在を無視した後、イオリは風呂に入っていると理解したヒューゴは柔軟を終えると自身の大剣を振り始めた。
「フンっ!フンっ!フンっ!」
どれ位の時間、振り続けていた事だろう。
テントの方からゴソゴソと音がして振り返るとスコルとトゥーレが姿を見せた。
「おはよう。」
まだ少し眠そうなスコルに声を掛け、トゥーレに片手を上げて挨拶をする。
「・・おはよう。イオリは?」
朝ごはんを一緒に作ろうとイオリを探すスコルにヒューゴは首を傾げた。
「風呂にいなかったか?」
「えっ、いないよ?
今、トゥーレと入ってたんだ。」
ここに来てヒューゴは初めて眉間に皺を寄せた。
「イオリがいないのですか?」
ヒューゴの様子に気付き、トゥーレが心配そうに近づいてきた。
「えぇ。
それにゼンもいないんですよ。」
「ゼンも!?」
驚く2人を落ち着かせ、ヒューゴはソルに視線を向けた。
「何か知ってるんだな?」
チチチッ
首を傾げる真紅の小鳥はワザと知らないふりをしている様に見えた。
その後、続々と起き上がってくる仲間にイオリの不在を告げると一同が慌て始めた。
「まさかと思うが・・・逃げた?」
自分でも信じられない言葉であったが、昨夜のゼンの言葉を思い出したマルクスが思わず口にすると、子供達から猛抗議が帰ってきた。
「イオリは逃げない!」
「パティ達を置いて行かないもん!!」
「酷いよ!マルクル。」
「ニナ嫌い!」
慌てるマルクルであったが、主人の助力は得られそうにない。
「私もイオリを信じてる。
こんな中途半端でいなくなるものか。」
「俺だって分かってるよ!」
叫ぶマルクルであったが、子供達からの睨みは消えてはいない。
「まったく・・・アイツは何処に行ったんだ?」
心配するヴァルトが溜息を吐いた時だった。
『あら?』
ルチアが森の方を見つめて呟いた。
「なんだ?」
つられる様にヴァルトが振り返ると、草木の掻き分けてヌッと顔を出したのは大きなロック鳥だった。
「なっ!!」
驚きながら仰け反ったのはヴァルトだけじゃなかったはずだ。
そんなロック鳥の影からイオリがヒョイっと顔を出した。
「あっ。
みんな、おはよう。」
一同の心配を他所に満面の笑みのイオリだった。
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