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旅路 〜秘境の台座〜

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「おぉ、お前達!
 少し見ない間に大きくなって。」

 感涙するギルマス・コジモに受付係の女性職員が顔を引き攣らせる。

 
 突如現れた2人の子供に冒険者達の視線が集まる中、ギルマスの指輪を出された受付係達は無視するわけにはいかなかった。

 案内を買って出た受付係の女性職員とて、成り行きを見届けたいとの思いからの申し出である。


「ギルマス。お久しぶりです。」

 エルフの少年・・・ナギがペコリと頭を下げると、隣の少女・・・ニナもペコリとした。

「まさか、2人だけで帰って来たのか?」

 後ろからイオリやヒューゴなどが顔を出さないかと首を伸ばすが、それっぽい輩はいない。

「イオリは泉から離れられないんです。
 だから、僕がエルノールさんを迎えに行くって言ったんだ。
 明日で良いって言われたけど、早い方が良いと思って。」

「そんな事言ったって。
 お前等も疲れているだろうに。」

 顔を顰めるギルマスにニナがニッコリした。

「帰ったら、ホットチョコを作ってくれるって。
 それ飲んだら直ぐに寝るの。」

「そうか・・・。」

 ギルマスはニナの金色のサラサラ髪の頭を優しく撫でた。

 想像以上のギルマスの反応に受付係の女性職員は目を見張った。
 
「これは先輩に言わないと。」

 デレるギルマスは受付係の事など目に入っていない。
 子供好きと噂されるのも時間の問題だった。

 ギルマスは静かに置物と化して観察していた受付係の女性職員に鋭い視線を送ると「他言無用。」と念を押して退出を促した。

「入りますよ。」

 ノックすらなく扉が開くと残念そうに部屋を出る女性職員との変わりに、戦闘装束に着替えたエルノールが戻ってきた。

「「師匠!!」」

 振り返ったナギとニナが嬉しそうにエルノールに駆け寄った。

「おや。
 見知った可愛らしい顔がいますね。
 フフフ。
 迎えに来てくれたんですか?」

 エルノールは2人に手を伸ばし優しく抱きしめた。

「ん・・・?
 2人とも魔力とは何か違う力を感じますね。」

 怪訝そうなエルノールにナギがニッコリし、ニナがクスクスと笑った。

「イオリが言うには“ドラゴンの加護”を貰ったそうです。」

「「ドラゴンの加護?!」」

 ギルマスとサブマスの声が重なる。

「どう言うことだ?
 公爵家からの報告には、そんな話なかったぞ。」

「ダークエルフの剣に比べて、害悪があるわけではありませんからね。
 “ドラゴンの加護”と言えば、与えられれば1000人並みの防御力が得られると聞いた事があります。
 勿論、噂程度の話ですがね。
 貴方達に加護を与えたドラゴンは、一体・・・。」

 驚くギルマスとエルノールにナギはニコニコ顔を崩さない。

「スカイヤです。」

「は?」

「だから、“ドラゴンの王”スカイヤが僕らに“ドラゴンの加護”をくれたんです。」

 ギルマスは白髪頭を掻きむしると、唸り声を上げて溜息を吐いた。 

「あぁ、お前達が帰って来たと実感したよ。」

「・・・そうですね。」

 流石のエルノールも“ドラゴンの王”と聞き、開いた口が閉じる事はなかった。

 



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