続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路 〜秘境の台座〜

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「嘘だろう・・・。」

 誰ともなく呟いた先には輝く魔法陣の中心に剣が立つように浮かび上がっていた。

「まさか、これがダークエルフの・・・?」

 戸惑うヴァルトの隣で生唾を飲んだトゥーレが頷いていた。

「恐らく、そういう事なのでしょう。」

 沈黙が訪れる中、恐る恐るマルクルが近づいて行く。

「何か・・・何だかよぉ。
 ・・・思ったより普通じゃね?」

 何とも言えない顔で振り返るマルクルに一同が頷く。

 イオリ達の前に現れた剣は猛々しさも禍々しさもなく、かと言って刃こぼれなどの脆さもない。
 至って、地味で普通の剣だった。 

「はは・・ハハハ。」

 乾いた笑い声を出したイオリに視線が集まる。

「・・・どうした?」

 気遣わしげに問いかけるヴァルトにイオリは天を仰いだ。

「ずっと・・・ずっと俺の足元にあった。」

 そう呟くイオリに一同がハッとした様に息を飲んだ。

「ここで過ごした5年間も、その後に過ごした時間も・・・ずっと、ずっと俺の足元にルミエールの剣はあったんですね。」

 その事実に様々な疑問が覆い尽くし不安に襲われる。

「おい、なぁ。
 王達の話しでは、ダークエルフの剣ってのは、中つ国に封印されてるとの話しじゃなかったか?
 ミズガルドとの国境でもあるが、此処はアースガイルだ。
 しかも、俺達の街・ポーレットのお膝元だぞ。」

 マルクスの言葉にヴァルトは現実を思い出して一気に顔を青褪めさせた。

「ならば、“エルフの里”の奴らに1番に襲われるのはポーレットという事になるではないかっ!
 早急に父上に報告をしなければ!」

「待ちなさい、ヴァルト。
 落ち着いて下さい。
 報告は魔道具でいくらでも出来ます。
 先ずは、現状をハッキリとさせましょう。」

 慌てる主人の肩を掴みトゥーレが落ち着かせる。

「我々はドラゴンの導きによりドラゴンの楽園・カプリースに行きました。
 そこでイオリはドラゴンの試練を受け、見事に彼等に認められた。
 その後に、ドラゴンの王・スカイヤ様と共に彼の根城に招待をされました。
 始祖のドラゴンから見た大戦争の話を聞いた我々でしたが、“エルフの里の戦士”が現れ、全てを聞く事は出来ませんでした。
 その後、スカイヤ様により泉に飛ばされた。
 そして今、“エルフの里”が世界中で探し回っているダークエルフの剣が我々の目の前にあります。」

 トゥーレの話しに一同が頷き返した。

「これを踏まえて、私は考察します。
 先ずは、我等が王 アルフレッド・アースガイルが言っていた中つ国・・・これはカプリースの事なのではないですか?」 

「カプリースが中つ国・・・。」

 考え込むイオリを注意深く見つめトゥーレは話を続けた。

「“知識の献身”ジェモーにカプリースが何処にあるのかと問いかけた時、彼は言いました。
 “魔法陣で結ばれた地上にはない世界”であると。
 本来、中つ国とは中間の国との意味がありますが、この場合、世界に存在するの現実の国ではなく、間にある空間と理解出来ます。」

 トゥーレの話はまだまだ続く。
 
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