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旅路 〜秘境の台座〜

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「痛っ・・・ソル?」

 包まれていた光からとき放たれても、呆然としていたイオリの頬をソルがツンツンと突っついた。

「ソルは、どこまで分かっているの?」

 イオリが頭を優しく撫でると、真紅の小鳥は気持ちよさそうにクィクィと首を動かした。

 どうやら、答えてはくれないようだ。

「あれ?スコル、ちょっと光ってない?」

「パティもだよ。
 どうしたんだろう。 
 ヒューゴもヴァルト達もちょっと光ってるね。」

 何かに気づいた双子に近づいたヒューゴが自分の体を凝視した。

「魔法陣の力が残っているのか?」

 首を傾げるヒューゴにトゥーレが否定をした。

「そんな話は聞いた事がありません。
 何か別の力でしょう。」

 イオリが久しぶりに青い目に力を込めると、それぞれに見た事のない文字が現れた。

「・・・ドラゴンの加護。」

「ドラゴンの加護だと?!
 ここにいる全員が受けたのか?」

 イオリの呟きにギョッとした顔で声を上擦らせたヴァルトが額に手を当てた。

「スカイヤですね。
 ほら、ヴァルジネさんに渡していたじゃないですか。
 同じ力を貰った様です。」

「なんて事だ・・・。」

 ヴァルトは自分の体を見つめ震えた。

『ドラゴンの加護は体を強化させます。
 それ故に、過去に与えられた人間は国で重宝されたそうです。』

 毛並みを整えていたカーバンクルのルチアが楽しそうにヴァルトを見つめた。

「・・・重宝とは?」

『まぁ、戦争などには、もってこいの逸材でしょうね。』

「・・・あぁぁぁ。
 面倒な事になったぞ。
 この、加護とやらの力はいつまで続くんだ?」

『さぁ?
 それは、ドラゴンに聞いてください。
 恐らく、一生モノなのではないですか?』

 ルチアの見解を聞いたヴァルトは青褪めてトゥーレに走り寄った。

「父上や叔父上に報告しないって事は?」

 呆れた様な溜息を吐いたトゥーレはヴァルトの額を小突いた。

「ある訳ないでしょう。
 国にとって重要な事柄です。
 貴方だけじゃありませんよ。
 私やマルクルだって・・・いや、ここにいる者は全てがそうなるののか。
 これは大事ですね・・・。」

 顎に手を当てて考え込むトゥーレにヴァルトは情けない顔をした。
 本来は怠け者の彼にとっては、大きな力に付きまとう責任が重荷なのだろう。

 ヴァルトと違い、大きな力を得た子供達は大喜びだ。

「ドラゴンの加護・・・カッケェェェ!!」

 スコルを中心に喜びの舞を踊る子供達を見て微笑むイオリであったが、残してきたスカイヤを思い心配した顔をした。

 そこに、ヒューゴがやってきてイオリの肩をグイッと押した。
 
「おい。あれ。」

 そこにはジッと上を見つめるゼンがいた。

 辺りを見回しても見慣れぬ洞窟にいたイオリは情報を得ようとゼンに近寄る。

「どうしたの? 
 此処が何処か分かる?」

 するとゼンはイオリの顔を見上げニッコリとした。

『うん!
 ここ知ってる!』

 ゼンの進む先に広がる世界を見て、イオリは驚愕するのだった。

「そんな、まさか・・・。」
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