続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路 〜カプリース・天空の王〜

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『カッカッカ!!
 面白い奴らだ。』

 スカイヤの笑い声が“エルフの里の戦士”達の怒りの炎に油を注いだ。

「ギャーーー!!」

 雄叫びを上げながら襲いかかってくる“エルフの里の戦士”にイオリは銃口を向けた。

 すると、太陽に反射して煌めいたイオリの拳銃を見て、先程の同胞の惨劇を思い出した“エルフの里の戦士”達が踏みとどまった。
 このまま無策に戦いに身を投じても、イオリの銃弾に蜂の巣にされる事を本能で気が付いているのだろう。
 他の初めて拳銃を見る者達よりも感が冴えているところが、流石の戦闘民族というところだろうか。

『まぁ、待て。童よ。』

ドォガァァァン!

 イオリ達と“エルフの里の戦士”の間にスカイヤが尻尾を叩きつけた。
 すかさず、その太い尻尾を振り払うと“エルフの里の戦士”達を吹き飛ばしてしまった。

「「「ギャァァ!」」」

 喚く“エルフの里の戦士”など、どうでも良いとばかりに、スカイヤはイオリを見下ろした。

『詳しく話してやる前に邪魔が入ってしまったが、お前には行かねばならぬ場所がある。』

「えっ?」

 スカイヤに会う事こそがゴールと思っていたイオリが驚いた顔をした。

『ワシら守護者は番人よ。
 それに相応しき者を導くのも役目。』

 スカイヤが口端を持ち上げニヤリとすると、白亜の宮殿の中に白く光る魔法陣が浮かび上がった。
 その隣には真紅の小鳥・ソルがちょこんと座っていた。

『行け。
 行けば分かる。』

「しかし!アイツらは・・・。」

 ヴァルトは吹き飛ばされたダメージから回復しつつある“エルフの里の戦士”達を見つめると、不安そうにスカイヤを見上げた。

『ワシは大丈夫だ。
 随分と暇をしていたのだ。
 アレ等と遊ぶのも、また一興であろう。』

 それでも絶対神をも恐れぬ“エルフの里の戦士”を相手にスカイヤ1人を残していく事に抵抗があるイオリ達が戸惑っていると・・・。

ドンッ!

 今度はイオリ達が吹き飛ばされた。

「「うわぁ。」」

 双子が互いに必死に手を伸ばす横では、ヒューゴがナギとニナを両手に抱え込んだ。

 体勢も整わずに絡み合うヴァルトと2人の従者をクルクルと回っていたアウラが何とか支えている。

「スカイヤ!!」

 ゼンと共に魔法陣に放り投げられたイオリが叫ぶとスカイヤは楽しそうに笑った。

『ワハハハ!
 お前達との時間は楽しいものだ。』

 全員が魔法陣に到着するとソルがイオリの肩に止まった。
 魔法陣が発動されて、光が円柱の様に高く登りイオリ達の視界を薄れさせていく。

「スカイヤ!」

 イオリが再び叫ぶと、スカイヤはコクリと1つ頷いた。
 
『誰が、何を試そうともアレは破壊出来んかった。
 お前なら、何かを見出すかも知れん。
 行け。』

 ニッコリと笑ったスカイヤに“エルフの里の戦士”が襲いかかっていく。

 それを最後にイオリ達は、何処かも分からぬ場所に飛ばされて行った。



『さてさて、これで気遣う事なくお前達を相手に出来る。』

 再び尻尾を床に叩きつけたスカイヤは異形のエルフ達を見下ろした。

「ほざけ、獣めがっ! 
 奴らを何処へやった。
 ルミエール様の剣の元へ行かせたのだろう?
 ・・・許さん。
 アレは我等のものだ。」

『お前等如きが、このワシに口を割らせる事が出来るかの?
 我こそは天空を司る守護者にて“ドラゴンの王”!
 ダークエルフに魅入られた哀れな民よ。
 どうか果敢に戦って見せてみよ!』

ぉぉぉおおおおお!!

 空に戦う者達の声が響いた。





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