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旅路 〜カプリース・天空の王〜
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人が空を見上げても“天空の王”が座す白亜の宮殿を目にする事はないだろう。
白銀のドラゴンが空の彼方を護っている事も大地に生きる人々は知らない。
各地に姿を見せ、幻といわれるドラゴン達の頂点に君臨する“ドラゴンの王”。
その偉大な存在が今・・・。
『ぬあぁぁぁ!!
まったく、お前は!
何で、その悪魔の様な葉を口に放り込むのだ!!
スースーしてるではないか!』
ミントの刺激に涙を流していた。
その様子をイオリが澄ました顔で見つめている。
「酔っ払いにはミントと相場が決まってるんで。」
『決まっとらんわ!
あぁぁ。
それ、見ろ!
口の中が森の中の様ではないか。」
プンスカ怒るドラゴンとニコニコと微笑む真っ黒な青年。
まるで御伽噺のような光景にヴァルトと2人の従者は、唖然としていた。
そんな中、揉める2人の間に双子が走り寄って行った。
「はい。
カステラ。
甘いから、ミントの苦味を緩和してくれるよ。」
「牛乳と一緒に食べると、尚さら最高。」
ウンザリとしていたスカイヤは2人が差し出すカステラと牛乳をチラリと見た。
『うむ・・・寄越せ。』
暫くすると、カステラの塊を口に放り込み目尻を下げるドラゴンがいた。
『美味いっ!
このカスチェラというのは良いな。』
機嫌が治ったのか、御陽気にカステラを掴むスカイヤにイオリ達は苦笑した。
「カステラね。
本当に調子が良いんだから。」
呟くイオリにスカイヤが不満気に息を吹きかけた。
『馬鹿を言うでない。
ワシは美味いものには素直なだけだ。
お前の成長も見れたのだから、気を張る必要もなかろう。』
「腕試しの立ち会いとやらは終わりで良いんですか?」
スカイヤはイオリの側で牛乳をペロペロと舐めているゼンを顎でしゃくった。
『ワシを相手に、そこの毛むくじゃらに助力を得なかっただけでも天晴れよ。』
毛むくじゃらと言われてムクれるゼンであったが、嬉しそうにイオリの体に擦り寄った。
『イオリならスカイヤに勝つって分かってたからね。』
『毛玉だった幼きフェンリルが3年経って言いよるわい。』
クックックとひとしきり笑ったスカイヤは、何かを思い出す様に遠くを見つめた。
『かつて、奴は手にした剣を自在に操り世界を震撼させた。』
イオリ達は手を止めてスカイヤを見上げて話に聞き入った。
『奴は魔法や魔術の類の力を使う。
どうやら、奴の剣は己の生命エネルギーの源となっている様だった。
今尚、里の者達を利用して件の剣を探しているのは生命エネルギーを欲しているのやもしれん。』
イオリと同じく神に与えられた神器であるルミエールの剣。
ダークエルフ復活の鍵となる理由を知ったイオリ達は、その重要性を理解した。
『大戦争が終結し、ダークエルフより剣を奪い取った我々は破壊を試みた。
しかし、ヒビの1つも入らなんだ。
当然、放置するわけにもいかん。
苦心の末に隠し葬る事になったのだ。』
そこで口を噤んだスカイヤは何かに気づき、空を睨みつけた。
バリバリバリッ!
青天の空を破くように白亜の宮殿に雷が落ちた。
雷が落ち、煙が上がる場所には異形のエルフ・・・“エルフの里の戦士”が10人立っていた。
白銀のドラゴンが空の彼方を護っている事も大地に生きる人々は知らない。
各地に姿を見せ、幻といわれるドラゴン達の頂点に君臨する“ドラゴンの王”。
その偉大な存在が今・・・。
『ぬあぁぁぁ!!
まったく、お前は!
何で、その悪魔の様な葉を口に放り込むのだ!!
スースーしてるではないか!』
ミントの刺激に涙を流していた。
その様子をイオリが澄ました顔で見つめている。
「酔っ払いにはミントと相場が決まってるんで。」
『決まっとらんわ!
あぁぁ。
それ、見ろ!
口の中が森の中の様ではないか。」
プンスカ怒るドラゴンとニコニコと微笑む真っ黒な青年。
まるで御伽噺のような光景にヴァルトと2人の従者は、唖然としていた。
そんな中、揉める2人の間に双子が走り寄って行った。
「はい。
カステラ。
甘いから、ミントの苦味を緩和してくれるよ。」
「牛乳と一緒に食べると、尚さら最高。」
ウンザリとしていたスカイヤは2人が差し出すカステラと牛乳をチラリと見た。
『うむ・・・寄越せ。』
暫くすると、カステラの塊を口に放り込み目尻を下げるドラゴンがいた。
『美味いっ!
このカスチェラというのは良いな。』
機嫌が治ったのか、御陽気にカステラを掴むスカイヤにイオリ達は苦笑した。
「カステラね。
本当に調子が良いんだから。」
呟くイオリにスカイヤが不満気に息を吹きかけた。
『馬鹿を言うでない。
ワシは美味いものには素直なだけだ。
お前の成長も見れたのだから、気を張る必要もなかろう。』
「腕試しの立ち会いとやらは終わりで良いんですか?」
スカイヤはイオリの側で牛乳をペロペロと舐めているゼンを顎でしゃくった。
『ワシを相手に、そこの毛むくじゃらに助力を得なかっただけでも天晴れよ。』
毛むくじゃらと言われてムクれるゼンであったが、嬉しそうにイオリの体に擦り寄った。
『イオリならスカイヤに勝つって分かってたからね。』
『毛玉だった幼きフェンリルが3年経って言いよるわい。』
クックックとひとしきり笑ったスカイヤは、何かを思い出す様に遠くを見つめた。
『かつて、奴は手にした剣を自在に操り世界を震撼させた。』
イオリ達は手を止めてスカイヤを見上げて話に聞き入った。
『奴は魔法や魔術の類の力を使う。
どうやら、奴の剣は己の生命エネルギーの源となっている様だった。
今尚、里の者達を利用して件の剣を探しているのは生命エネルギーを欲しているのやもしれん。』
イオリと同じく神に与えられた神器であるルミエールの剣。
ダークエルフ復活の鍵となる理由を知ったイオリ達は、その重要性を理解した。
『大戦争が終結し、ダークエルフより剣を奪い取った我々は破壊を試みた。
しかし、ヒビの1つも入らなんだ。
当然、放置するわけにもいかん。
苦心の末に隠し葬る事になったのだ。』
そこで口を噤んだスカイヤは何かに気づき、空を睨みつけた。
バリバリバリッ!
青天の空を破くように白亜の宮殿に雷が落ちた。
雷が落ち、煙が上がる場所には異形のエルフ・・・“エルフの里の戦士”が10人立っていた。
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