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旅路 〜カプリース・天空の王〜
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純白に輝く大きな翼が太陽に反射して眩さが増していた。
『ほれっ!ほらっ!
ワハハハ!』
空高く飛ぶスカイヤが発する風魔法が刃物の様にイオリを襲う。
「・・・浮かれてんな。」
スカイヤの攻撃を器用に避けながらも、イオリは溜息を吐いた。
ーーーお前の今の力を試してやる
スカイヤの言葉がきっかけとなった戦いは既に始まっていた。
子供達やヴァルト達はヒューゴとクロムスが白亜の宮殿にシールドを張り、危険がない内側で見守っている。
『どうした!?
お前の攻撃が届いておらんぞ!』
陽気に吠えるスカイヤにイオリは面倒臭そうな顔をした。
前回、訪れた時に戦った際には、スカイヤ自身が酔っ払っていた事を忘れてはいけない。
今は素面であり気合も十分のようだ。
酔いどれのドラゴンに大量のミントを押し込んで負けを認めさせるという技は、どうやら使えそうにない。
イオリが考える間も、スカイヤが繰り出す風魔法は止まない。
いつまでも追いかけてくる竜巻に、空間を切り裂く鎌のような風。
『よそ見するな!』
面倒な風を意識していれば、今度はスカイヤ自身の鋭い鉤爪に襲われる。
ガンッ ガンッ
美しい白亜の床に穴が開いていく。
『“神の愛し子”よ。
例え、お前が神秘なる力を得ていようとも攻撃が出来なければ意味がない。
その華奢な体でドラゴンのワシと、どうやって戦うのだ?』
大きく開けたスカイの口から火が噴き出される。
ゴォォォォ!
イオリは素早くピョンピョンと避けて行くが、それを見越したスカイヤの右手に捕まってしまった。
『馬鹿者がっ!
分かりやすい誘導に捕まりおって!』
説教をするスカイヤがイオリをブンブンと振って怒っている。
「でも、スカイの近くに寄れましたよ。」
『ん?』
冷静なイオリの声が聞こえ、スカイヤが動きを止めると、握りしめていた手の中でニッコリと笑うイオリがスナイパーライフルを構えていた。
「まずは一発。」
ドンッ!!
イオリの放つ閃光弾がスカイヤの目の前で弾け飛んだ。
始祖のドラゴンであるスカイヤは、天空を守る為に永遠の命を得る神獣となった。
仲間が次々と絶命していく中で、地上を根城にするドラゴン達の心の支えとなったのは生まれ変わりを繰り返すヴァルソーだった。
同胞達がいなくなっていく中で、時代が過ぎていくと誰もが神獣であるスカイヤを特別な存在と見始めた。
“ドラゴンの王”を恐れる者、己の力を試す為に戦いを挑んで来る者。
崇拝が行き過ぎて、時には信仰の対象となった事もあった。
そんな中やって来た真っ黒な青年
ーーー知らない世界を見に。
ダンジョンにやってた青年に何を求めに来たと問いかけた時に、彼は真っ直ぐな目で答えた。
“神の愛し子”
本人が望まぬ力は、時に世界を巻き込んで大問題を引き起こす。
しかし、スカイヤは、この青年に危険を感じなかった。
ーーーこの者ならば、我らが残した負の遺産を何とかするやもしれぬ。
期待を込めて見守ってきた青年・・・イオリ。
ギャァァァァ!!
発光する眩い光で目を覆うスカイヤはイオリを放り出した。
のたうち回るスカイヤの足元は、いつの間にやら氷で固められ、ふらつくどころか前のめりで倒れていく。
ドォォォン!
倒れたスカイヤが痛めた目の片方を何とかこじ開けると、目の前に立っていたイオリの手に緑色の葉っぱが握られていた。
「俺の勝ちって事で。」
純白のドラゴンはミントの存在に涙目になりながら降参するのだった。
『ほれっ!ほらっ!
ワハハハ!』
空高く飛ぶスカイヤが発する風魔法が刃物の様にイオリを襲う。
「・・・浮かれてんな。」
スカイヤの攻撃を器用に避けながらも、イオリは溜息を吐いた。
ーーーお前の今の力を試してやる
スカイヤの言葉がきっかけとなった戦いは既に始まっていた。
子供達やヴァルト達はヒューゴとクロムスが白亜の宮殿にシールドを張り、危険がない内側で見守っている。
『どうした!?
お前の攻撃が届いておらんぞ!』
陽気に吠えるスカイヤにイオリは面倒臭そうな顔をした。
前回、訪れた時に戦った際には、スカイヤ自身が酔っ払っていた事を忘れてはいけない。
今は素面であり気合も十分のようだ。
酔いどれのドラゴンに大量のミントを押し込んで負けを認めさせるという技は、どうやら使えそうにない。
イオリが考える間も、スカイヤが繰り出す風魔法は止まない。
いつまでも追いかけてくる竜巻に、空間を切り裂く鎌のような風。
『よそ見するな!』
面倒な風を意識していれば、今度はスカイヤ自身の鋭い鉤爪に襲われる。
ガンッ ガンッ
美しい白亜の床に穴が開いていく。
『“神の愛し子”よ。
例え、お前が神秘なる力を得ていようとも攻撃が出来なければ意味がない。
その華奢な体でドラゴンのワシと、どうやって戦うのだ?』
大きく開けたスカイの口から火が噴き出される。
ゴォォォォ!
イオリは素早くピョンピョンと避けて行くが、それを見越したスカイヤの右手に捕まってしまった。
『馬鹿者がっ!
分かりやすい誘導に捕まりおって!』
説教をするスカイヤがイオリをブンブンと振って怒っている。
「でも、スカイの近くに寄れましたよ。」
『ん?』
冷静なイオリの声が聞こえ、スカイヤが動きを止めると、握りしめていた手の中でニッコリと笑うイオリがスナイパーライフルを構えていた。
「まずは一発。」
ドンッ!!
イオリの放つ閃光弾がスカイヤの目の前で弾け飛んだ。
始祖のドラゴンであるスカイヤは、天空を守る為に永遠の命を得る神獣となった。
仲間が次々と絶命していく中で、地上を根城にするドラゴン達の心の支えとなったのは生まれ変わりを繰り返すヴァルソーだった。
同胞達がいなくなっていく中で、時代が過ぎていくと誰もが神獣であるスカイヤを特別な存在と見始めた。
“ドラゴンの王”を恐れる者、己の力を試す為に戦いを挑んで来る者。
崇拝が行き過ぎて、時には信仰の対象となった事もあった。
そんな中やって来た真っ黒な青年
ーーー知らない世界を見に。
ダンジョンにやってた青年に何を求めに来たと問いかけた時に、彼は真っ直ぐな目で答えた。
“神の愛し子”
本人が望まぬ力は、時に世界を巻き込んで大問題を引き起こす。
しかし、スカイヤは、この青年に危険を感じなかった。
ーーーこの者ならば、我らが残した負の遺産を何とかするやもしれぬ。
期待を込めて見守ってきた青年・・・イオリ。
ギャァァァァ!!
発光する眩い光で目を覆うスカイヤはイオリを放り出した。
のたうち回るスカイヤの足元は、いつの間にやら氷で固められ、ふらつくどころか前のめりで倒れていく。
ドォォォン!
倒れたスカイヤが痛めた目の片方を何とかこじ開けると、目の前に立っていたイオリの手に緑色の葉っぱが握られていた。
「俺の勝ちって事で。」
純白のドラゴンはミントの存在に涙目になりながら降参するのだった。
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