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旅路 〜カプリース・天空の王〜
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白亜の宮殿は今やイオリ達のキャンプ地となっていた。
テントを張り、焚き火を作り、宮殿と言われる場所でやるような事ではないが、主人であるドラゴンの王が良いと言っているのだから良しとしよう。
その宮殿の主人は美味なる酒に心地よい酔いを感じながら、小さき人間達との語らいを楽しんでいた。
『前にも言ったであろう。
ワシの住処が、どのダンジョンと繋がるかなど神のみぞ知るだ。
“エルフの里”の奴らとて、手当たり次第ダンジョンを襲っていたと聞く。
その馬鹿のうちの何人がワシの所に来たに過ぎん。』
スカイヤは“エルフの里の戦士”の訪問を思い出し苦虫を潰すような顔をした。
『馬鹿共が!
人が気持ちよく寝ているところにやって来おって、自爆して逝きおった。
後に残されたワシの不満は誰が請け負ってくれるのだ!』
ボルテージが上がっていくスカイヤにイオリが笑いヴァルトの顔が引き攣っていく。
本当はスカイヤと喋りたいヴァルト達は恐怖と遠慮が混ざり、黙って話を聞く事に専念していた。
イオリが優しく微笑み頷くのを見て勇気を貰いヴァルトが話かけた。
「スカイヤ様。
再び“エルフの里の戦士”がスカイヤ様を襲う可能性はないのですか?」
ヴァルトの疑問にスカイヤは暫く考えた後に呟くように答えた。
『ある。』
「スカイヤ様の御身は大丈夫なのですか?
勿論、スカイヤ様が奴らに負けるとは思いません。
でも・・・。」
『人族の王の血を引く若者よ。
其方の心配を有り難く貰おう。
しかし、ワシは此処を離れるわけにはいかん。
他の神獣が核を守のと同じ様にワシにも守るモノがある。』
それは、此処にも核があると言っているようなものだった。
「少し宜しいですか?」
徐に手を上げたのはトゥーレだった。
『何だ?』
ブランデーが無限に出てくるイオリの水筒を爪で摘み、器用に傾けて器に注ぐスカイヤがチラリとトゥーレに視線を向けた。
「スカイヤ様とダンジョンを繋ぐのは魔法陣と聞きます。
少々、他のダンジョンの守護者達との違いを感じるのですが?」
『フム。
それは大地と天空の違いだな。』
酒が満タンになった器を嬉しそうに口元に運びながら、スカイヤはトゥーレの疑問に答えた。
『大地に点在する核を分担して守護する奴らと違い、天空はワシが単独で守護している。
それ故、ドラゴン達は何処にでも魔法陣で移動できるのだ。』
それを聞いてイオリは思い出した。
ヴァルジネの背に乗って、カプリースに向かう時に海面に魔法陣が現れたのだ。
「では、世界中でドラゴンが目撃されているのは、魔法陣を利用しているからなのですか?」
『当たり前だ。
カプリースを根城にしているドラゴン達が世界中に出没するのを、どう考えているのだ?』
ドラゴンの当たり前は一般的に当たり前じゃない。
幻の存在であるドラゴンの目撃情報が少ない理由が魔法陣での移動が絡んでいるのだと言うのなら、長距離を一瞬で移動していると言う事だ。
「なんか・・・ドラゴン、ズルい。」
イオリが、文句を言うと思わずヴァルト達も頷くのだった。
テントを張り、焚き火を作り、宮殿と言われる場所でやるような事ではないが、主人であるドラゴンの王が良いと言っているのだから良しとしよう。
その宮殿の主人は美味なる酒に心地よい酔いを感じながら、小さき人間達との語らいを楽しんでいた。
『前にも言ったであろう。
ワシの住処が、どのダンジョンと繋がるかなど神のみぞ知るだ。
“エルフの里”の奴らとて、手当たり次第ダンジョンを襲っていたと聞く。
その馬鹿のうちの何人がワシの所に来たに過ぎん。』
スカイヤは“エルフの里の戦士”の訪問を思い出し苦虫を潰すような顔をした。
『馬鹿共が!
人が気持ちよく寝ているところにやって来おって、自爆して逝きおった。
後に残されたワシの不満は誰が請け負ってくれるのだ!』
ボルテージが上がっていくスカイヤにイオリが笑いヴァルトの顔が引き攣っていく。
本当はスカイヤと喋りたいヴァルト達は恐怖と遠慮が混ざり、黙って話を聞く事に専念していた。
イオリが優しく微笑み頷くのを見て勇気を貰いヴァルトが話かけた。
「スカイヤ様。
再び“エルフの里の戦士”がスカイヤ様を襲う可能性はないのですか?」
ヴァルトの疑問にスカイヤは暫く考えた後に呟くように答えた。
『ある。』
「スカイヤ様の御身は大丈夫なのですか?
勿論、スカイヤ様が奴らに負けるとは思いません。
でも・・・。」
『人族の王の血を引く若者よ。
其方の心配を有り難く貰おう。
しかし、ワシは此処を離れるわけにはいかん。
他の神獣が核を守のと同じ様にワシにも守るモノがある。』
それは、此処にも核があると言っているようなものだった。
「少し宜しいですか?」
徐に手を上げたのはトゥーレだった。
『何だ?』
ブランデーが無限に出てくるイオリの水筒を爪で摘み、器用に傾けて器に注ぐスカイヤがチラリとトゥーレに視線を向けた。
「スカイヤ様とダンジョンを繋ぐのは魔法陣と聞きます。
少々、他のダンジョンの守護者達との違いを感じるのですが?」
『フム。
それは大地と天空の違いだな。』
酒が満タンになった器を嬉しそうに口元に運びながら、スカイヤはトゥーレの疑問に答えた。
『大地に点在する核を分担して守護する奴らと違い、天空はワシが単独で守護している。
それ故、ドラゴン達は何処にでも魔法陣で移動できるのだ。』
それを聞いてイオリは思い出した。
ヴァルジネの背に乗って、カプリースに向かう時に海面に魔法陣が現れたのだ。
「では、世界中でドラゴンが目撃されているのは、魔法陣を利用しているからなのですか?」
『当たり前だ。
カプリースを根城にしているドラゴン達が世界中に出没するのを、どう考えているのだ?』
ドラゴンの当たり前は一般的に当たり前じゃない。
幻の存在であるドラゴンの目撃情報が少ない理由が魔法陣での移動が絡んでいるのだと言うのなら、長距離を一瞬で移動していると言う事だ。
「なんか・・・ドラゴン、ズルい。」
イオリが、文句を言うと思わずヴァルト達も頷くのだった。
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