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旅路 〜カプリース〜
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『お邪魔するよ。
ジェモー。お客さんかい?』
『おやおや、珍しい組み合わせですね。』
『突然にごめんなさいね。
楽しそうな声が聞こえたものだから。』
唐突に現れたパープル色と水色の 2匹のドラゴンに一同の緊迫した視線が集まった。
『何だトーロがいるじゃないか。
部屋から出てきたのかい?
珍しい事もあるもんだ。』
『黙れ。
好きで出てきた訳ではない。』
パープル色のドラゴンに絡まれてトーロは面倒くさそうに、そっぽを向いた。
『もう、2人とも喧嘩しないの。
それより、ジェモー。
お客さんを紹介して下さいな。』
水色のドラゴンの優しい声にヴァルト達の恐怖心が徐々に消えていく。
『彼らは我らが王に会いに来られた御客様ですよ。
こちらは今代の“愛し子”であるイオリです。
ご家族共々、招待したんです。』
2匹のドラゴンは顔をズイズイと近付けイオリを凝視した。
『わぁ。
本当に“愛し子”だぁ。
そろそろ来ると思ってたんだぁ。
そうだ!
俺、皆んなに教えてくるよ!』
『あっ。
サジテール、ちょっと待って下さい!』
パープルのドラゴンが嬉しそうに飛び立って行くのをジェモーが止めようと慌てて窓に走り寄ったが時に遅し・・・既に巨体は空の向こうに小さくなっていた。
『これは困りました。
・・・騒がしくなりますね。』
思わず溜息を吐いたジェモーに水色のドラゴンがクスクスと笑った。
『楽しい事が大好きなサジテールだもの。
仕方がないわ。
それよりも、皆さんに挨拶させて下さいな。』
そう言うと水色のドラゴンは一瞬で人の姿に変化し、臆する事なく窓から室内に入ってきた。
『あぁ、ポワソン。
ちゃんと扉から入って下さい。』
眉間に皺を寄せるジェモーの肩をポンっと叩くと水色の髪を緩く編み込んだ美女が口に手を当てて楽しそうに笑った。
『フフフ。
ごめんなさい。』
諦めた様に肩を落としたジェモーはイオリ達に向き直ると女性を紹介する事に意識を集中させた。
『イオリ、皆さん。
彼女は“ドデカゴン”の一席、“慈愛の啓示”ポワソン。
癒しと憩いを愛する優しきドラゴンです。』
ニッコリと微笑む美女の登場に心躍ったのは子供だけじゃなく大人達も同じだった。
ポゥっと頬を赤らめるヴァルトの顎をクロムスがバシッと叩いた。
「何するんだ。
痛いじゃないか。」
顔を顰めるヴァルトにルチアが冷めた視線を投げかけた。
『惚けるのも構いませんが、ヴァルトが年上好きとは知りませんでしたよ。』
「はぁ?」
何を言われているか分からないヴァルトに、ジェモーとポワソンの笑い声が降り注いだ。
『カーバンクルの言う通りですよ。
彼女は、こう見えても3000年は生きているんです。
長寿のドラゴンの中でも長生きなんですよ。』
『ウフフ。
おばさんどころか、お婆ちゃんで御免なさいね。
ドラゴンなんて自分勝手ばかりで困ってないかしら?
みんな、本当は優しいのよ。
仲良くして頂戴ね。』
嬉しそう見上げるニナの頬をチョンっと突くポワソンをヴァルトは唖然とした顔で見ていた。
『本当に残念な子。
出直して来なさい。
クククッ。』
そんな主人を楽しそうに見つめるルチアであった。
ジェモー。お客さんかい?』
『おやおや、珍しい組み合わせですね。』
『突然にごめんなさいね。
楽しそうな声が聞こえたものだから。』
唐突に現れたパープル色と水色の 2匹のドラゴンに一同の緊迫した視線が集まった。
『何だトーロがいるじゃないか。
部屋から出てきたのかい?
珍しい事もあるもんだ。』
『黙れ。
好きで出てきた訳ではない。』
パープル色のドラゴンに絡まれてトーロは面倒くさそうに、そっぽを向いた。
『もう、2人とも喧嘩しないの。
それより、ジェモー。
お客さんを紹介して下さいな。』
水色のドラゴンの優しい声にヴァルト達の恐怖心が徐々に消えていく。
『彼らは我らが王に会いに来られた御客様ですよ。
こちらは今代の“愛し子”であるイオリです。
ご家族共々、招待したんです。』
2匹のドラゴンは顔をズイズイと近付けイオリを凝視した。
『わぁ。
本当に“愛し子”だぁ。
そろそろ来ると思ってたんだぁ。
そうだ!
俺、皆んなに教えてくるよ!』
『あっ。
サジテール、ちょっと待って下さい!』
パープルのドラゴンが嬉しそうに飛び立って行くのをジェモーが止めようと慌てて窓に走り寄ったが時に遅し・・・既に巨体は空の向こうに小さくなっていた。
『これは困りました。
・・・騒がしくなりますね。』
思わず溜息を吐いたジェモーに水色のドラゴンがクスクスと笑った。
『楽しい事が大好きなサジテールだもの。
仕方がないわ。
それよりも、皆さんに挨拶させて下さいな。』
そう言うと水色のドラゴンは一瞬で人の姿に変化し、臆する事なく窓から室内に入ってきた。
『あぁ、ポワソン。
ちゃんと扉から入って下さい。』
眉間に皺を寄せるジェモーの肩をポンっと叩くと水色の髪を緩く編み込んだ美女が口に手を当てて楽しそうに笑った。
『フフフ。
ごめんなさい。』
諦めた様に肩を落としたジェモーはイオリ達に向き直ると女性を紹介する事に意識を集中させた。
『イオリ、皆さん。
彼女は“ドデカゴン”の一席、“慈愛の啓示”ポワソン。
癒しと憩いを愛する優しきドラゴンです。』
ニッコリと微笑む美女の登場に心躍ったのは子供だけじゃなく大人達も同じだった。
ポゥっと頬を赤らめるヴァルトの顎をクロムスがバシッと叩いた。
「何するんだ。
痛いじゃないか。」
顔を顰めるヴァルトにルチアが冷めた視線を投げかけた。
『惚けるのも構いませんが、ヴァルトが年上好きとは知りませんでしたよ。』
「はぁ?」
何を言われているか分からないヴァルトに、ジェモーとポワソンの笑い声が降り注いだ。
『カーバンクルの言う通りですよ。
彼女は、こう見えても3000年は生きているんです。
長寿のドラゴンの中でも長生きなんですよ。』
『ウフフ。
おばさんどころか、お婆ちゃんで御免なさいね。
ドラゴンなんて自分勝手ばかりで困ってないかしら?
みんな、本当は優しいのよ。
仲良くして頂戴ね。』
嬉しそう見上げるニナの頬をチョンっと突くポワソンをヴァルトは唖然とした顔で見ていた。
『本当に残念な子。
出直して来なさい。
クククッ。』
そんな主人を楽しそうに見つめるルチアであった。
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