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旅路 〜カプリース〜
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「ねー。
ドラゴンさんは暇なの?」
前触れもなく、その場を凍り付かせたパティの一言に2匹の・・・いや2人のドラゴンは眉をピクリと動かした。
『暇とは?』
自分達の研究を暇潰しと言われたドラゴンは気分が悪いだろう。
「あちゃー。」
苦笑するイオリが見たのは、パティの後ろで言葉の如くアタフタしている大人達だった。
「だって・・・だってさぁ。」
空気が悪いのが分かったのだろう。
珍しく口篭ったパティであったが、負けじと2人のドラゴンを見上げた。
「世界の均衡を保つ手伝いをする為に住処をもらったのに、ドラゴンさんは役目を果たしてないじゃない。
“エルフの里”の人達は世界中で悪い事してるよ?
ドラゴンさんは“カプリース”で何をしてるの?」
狼獣人の少女に指摘されて2人のドラゴンは苦虫を潰すような顔になった。
『何とも、まともな意見ですね。』
クククッと体を揺らして笑うカーバンクルのルチアをヴァルトが抱えて首をブンブンと横に振っている。
恐らく、黙れと言いたいのだろうが言葉にする事も出来ていない。
『お嬢さん。
私達は役目を果たしていない訳ではないのですよ。
我々ドラゴンの存在は抑止力なのです。』
「抑止力?」
ジェモーの言葉にパティは首を傾げた。
『“エルフの里の戦士”でさえドラゴンを襲う事はないのです。
それくらい、ドラゴンの力は強い。
我々が力を使えば“エルフの里”を押し込める事は出来るでしょうが、世界の平穏も無事ではなかったでしょう。
再び、混沌とした時代に逆戻りです。』
それで納得するパティではなかった。
「でも、スカイヤは襲われたよ。
“ドラゴンの王”が襲われたんだよ?
それでもドラゴンには関係ないの?」
心底、不思議だと言うように肩を竦めるパティにジェモーも、今度こそ何も言えないようだ。
純粋さ故に、ドラゴンの心に突き刺さるのだろう。
『別に・・・無関心を決め込んでいた訳ではないのですがね。』
言い負かされたジェモーは頭を掻くと観念したように溜息を吐いた。
『トーロ。
こんな幼子に怠惰を指摘されて落ち込むのは理解しますが、どうか戻って来てください。』
ジェモーがトーロの肩をポンポンと叩いた。
先ほどからトーロは微動だにしていない。
よく見れば・・・
「気絶してる?」
恐る恐る近づいたヴァルトが覗き込んで確認をすると驚いた事にトーロが立ったまま気絶をしているではないか。
『これも彼の悪い癖でね。
強いストレスを感じると逃げるように気絶するんです。
放っておけば元に戻ります。
さぁ、我々は話の続きをしましょう。』
構う事は無いとジェモーは気を失ったまま立つトーロから離れて自分の椅子に座った。
『さぁ、次は何の話をしましょう。』
そこには気持ちを切り替えた、“知識への献身”たる男がいた。
『ハッ!
私とした事が。』
気がついたトーロはキョロキョロと辺りを見渡し現状を確認した。
先程までと変わらず、客人達が見上げている様子に顔を顰める。
トーロは自分の服をチョイチョイと引っ張るパティに気づくと、引き攣った顔をした。
「絵本の事ならナギに聞くのが1番良いよ。
出回ってる絵本は全て読破して覚えてるもん。」
何にも言えずに固まっていたトーロであったが小さく頷いた。
『うむ。
それは興味深いな。』
ドラゴンさんは暇なの?」
前触れもなく、その場を凍り付かせたパティの一言に2匹の・・・いや2人のドラゴンは眉をピクリと動かした。
『暇とは?』
自分達の研究を暇潰しと言われたドラゴンは気分が悪いだろう。
「あちゃー。」
苦笑するイオリが見たのは、パティの後ろで言葉の如くアタフタしている大人達だった。
「だって・・・だってさぁ。」
空気が悪いのが分かったのだろう。
珍しく口篭ったパティであったが、負けじと2人のドラゴンを見上げた。
「世界の均衡を保つ手伝いをする為に住処をもらったのに、ドラゴンさんは役目を果たしてないじゃない。
“エルフの里”の人達は世界中で悪い事してるよ?
ドラゴンさんは“カプリース”で何をしてるの?」
狼獣人の少女に指摘されて2人のドラゴンは苦虫を潰すような顔になった。
『何とも、まともな意見ですね。』
クククッと体を揺らして笑うカーバンクルのルチアをヴァルトが抱えて首をブンブンと横に振っている。
恐らく、黙れと言いたいのだろうが言葉にする事も出来ていない。
『お嬢さん。
私達は役目を果たしていない訳ではないのですよ。
我々ドラゴンの存在は抑止力なのです。』
「抑止力?」
ジェモーの言葉にパティは首を傾げた。
『“エルフの里の戦士”でさえドラゴンを襲う事はないのです。
それくらい、ドラゴンの力は強い。
我々が力を使えば“エルフの里”を押し込める事は出来るでしょうが、世界の平穏も無事ではなかったでしょう。
再び、混沌とした時代に逆戻りです。』
それで納得するパティではなかった。
「でも、スカイヤは襲われたよ。
“ドラゴンの王”が襲われたんだよ?
それでもドラゴンには関係ないの?」
心底、不思議だと言うように肩を竦めるパティにジェモーも、今度こそ何も言えないようだ。
純粋さ故に、ドラゴンの心に突き刺さるのだろう。
『別に・・・無関心を決め込んでいた訳ではないのですがね。』
言い負かされたジェモーは頭を掻くと観念したように溜息を吐いた。
『トーロ。
こんな幼子に怠惰を指摘されて落ち込むのは理解しますが、どうか戻って来てください。』
ジェモーがトーロの肩をポンポンと叩いた。
先ほどからトーロは微動だにしていない。
よく見れば・・・
「気絶してる?」
恐る恐る近づいたヴァルトが覗き込んで確認をすると驚いた事にトーロが立ったまま気絶をしているではないか。
『これも彼の悪い癖でね。
強いストレスを感じると逃げるように気絶するんです。
放っておけば元に戻ります。
さぁ、我々は話の続きをしましょう。』
構う事は無いとジェモーは気を失ったまま立つトーロから離れて自分の椅子に座った。
『さぁ、次は何の話をしましょう。』
そこには気持ちを切り替えた、“知識への献身”たる男がいた。
『ハッ!
私とした事が。』
気がついたトーロはキョロキョロと辺りを見渡し現状を確認した。
先程までと変わらず、客人達が見上げている様子に顔を顰める。
トーロは自分の服をチョイチョイと引っ張るパティに気づくと、引き攣った顔をした。
「絵本の事ならナギに聞くのが1番良いよ。
出回ってる絵本は全て読破して覚えてるもん。」
何にも言えずに固まっていたトーロであったが小さく頷いた。
『うむ。
それは興味深いな。』
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