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旅路 〜カプリース〜
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石造りの塔の扉を開くと、螺旋を描く階段が現れた。
『1番上だよぉ。』
頭上からヴァルジネの声が聞こえた。
「こりゃ、大変だな。」
見上げたヴァルトは高く伸びていく階段を見上げて苦笑した。
人1人分の幅しかない階段にゼンがピョンと飛び乗った。
『うん。
頑丈だよ。』
頼まずとも仲間の安全の為に確認してくれるゼンに感謝するとイオリは一歩目を踏んだ。
「オレ次っ!」
「あっ!パティも!」
「待ってぇ。」
「ニナ慌てると危ないよ。」
「お先です。」
イオリの後を子供達が追いかけると、補助するようにヒューゴとアウラがが後に続いた。
「よし。
私達も行くか。」
階段を登り出そうとしたヴァルトの肩にルチアがピョンっと飛び乗った。
すると、元々肩にいたクロムスが器用にヴァルトの頭に移動する。
「・・・お前達。
まさか、自分の足で登らない気か?」
冷や汗を掻くヴァルトをカーバンクルの親子は無視をして、尻尾をバシッと叩きつけた。
「痛っ!
分かったよ!
まったく。
どっちが主人だか分からないな。」
ブツブツと不貞腐れるヴァルトの背と後頭部に再びバシッと尻尾が当たる。
「分かったって!」
ヴァルトは従魔を連れて階段を登り始めた。
「哀れヴァルトよ。」
「マルクル、貴方そう思うなら手伝ってあげなさい。」
拝むマルクルにトゥーレが呆れるように言った。
「やなこった。」
考える隙間もなく舌を出すマルクルにトゥーレはニヤリとした。
「立派な従者ですね。
まぁ、私もごめんです。」
殿を務める2人は背後をも気にしながら階段に挑んだ。
「綺麗だ。」
塔のあちこちに開いた穴から外の景色が見える。
驚きすぎてあまり堪能出来ていなかったが、コバルトブルーの美しい海にイオリは感動していた。
もう暫く歩き続けると塔の頂上に辿り着き、一面広がる海を惜しげもなく見る事が出来た。
「「「「うわぁぁぁ。」」」」
感嘆の声を上げる子供達にヴァルジネの笑い声が届いた。
『よく登ってきたね。
お疲れ様。』
誰よりも汗を掻き息を切らしている男・ヴァルト。
従魔は澄ました顔で飛び降りると労う様に倒れる彼に鼻をツンっと付けた。
「お疲れ様でした。」
イオリがニコニコと水筒を差し出すと、ヴァルトは弱々しく微笑んだ。
『最後の1人も到着ですね。
改めて、ようこそ。
此処は“カプリース”の“知識の塔”。
貴方が求める答えが見つかるかもしれません。』
ジェモーと名乗った男が椅子から立ち上がった。
塔の頂点に存在した部屋は閑散としていて机と椅子。
そして、もてなす気など無さそうな古いソファに小さなテーブルだけだった。
イオリは真剣な眼差しでジェモーを見つめた。
「“カプリース”とは何なのですか?」
伝説の存在とまで言われ、己の力で辿り着いた者はいない。
命の危険に見舞われた際に助け出された漁師達の話は的を得ずじまいだった。
問いかけるイオリにジェモーは微笑んだ。
『答えましょう。
“カプリース”とは混沌の時代を生き抜いたドラゴン達が築いた楽園・・・。
言わば“ドラゴンの国”。』
驚くイオリ達にジェモーは楽しげに話し始めた。
『1番上だよぉ。』
頭上からヴァルジネの声が聞こえた。
「こりゃ、大変だな。」
見上げたヴァルトは高く伸びていく階段を見上げて苦笑した。
人1人分の幅しかない階段にゼンがピョンと飛び乗った。
『うん。
頑丈だよ。』
頼まずとも仲間の安全の為に確認してくれるゼンに感謝するとイオリは一歩目を踏んだ。
「オレ次っ!」
「あっ!パティも!」
「待ってぇ。」
「ニナ慌てると危ないよ。」
「お先です。」
イオリの後を子供達が追いかけると、補助するようにヒューゴとアウラがが後に続いた。
「よし。
私達も行くか。」
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すると、元々肩にいたクロムスが器用にヴァルトの頭に移動する。
「・・・お前達。
まさか、自分の足で登らない気か?」
冷や汗を掻くヴァルトをカーバンクルの親子は無視をして、尻尾をバシッと叩きつけた。
「痛っ!
分かったよ!
まったく。
どっちが主人だか分からないな。」
ブツブツと不貞腐れるヴァルトの背と後頭部に再びバシッと尻尾が当たる。
「分かったって!」
ヴァルトは従魔を連れて階段を登り始めた。
「哀れヴァルトよ。」
「マルクル、貴方そう思うなら手伝ってあげなさい。」
拝むマルクルにトゥーレが呆れるように言った。
「やなこった。」
考える隙間もなく舌を出すマルクルにトゥーレはニヤリとした。
「立派な従者ですね。
まぁ、私もごめんです。」
殿を務める2人は背後をも気にしながら階段に挑んだ。
「綺麗だ。」
塔のあちこちに開いた穴から外の景色が見える。
驚きすぎてあまり堪能出来ていなかったが、コバルトブルーの美しい海にイオリは感動していた。
もう暫く歩き続けると塔の頂上に辿り着き、一面広がる海を惜しげもなく見る事が出来た。
「「「「うわぁぁぁ。」」」」
感嘆の声を上げる子供達にヴァルジネの笑い声が届いた。
『よく登ってきたね。
お疲れ様。』
誰よりも汗を掻き息を切らしている男・ヴァルト。
従魔は澄ました顔で飛び降りると労う様に倒れる彼に鼻をツンっと付けた。
「お疲れ様でした。」
イオリがニコニコと水筒を差し出すと、ヴァルトは弱々しく微笑んだ。
『最後の1人も到着ですね。
改めて、ようこそ。
此処は“カプリース”の“知識の塔”。
貴方が求める答えが見つかるかもしれません。』
ジェモーと名乗った男が椅子から立ち上がった。
塔の頂点に存在した部屋は閑散としていて机と椅子。
そして、もてなす気など無さそうな古いソファに小さなテーブルだけだった。
イオリは真剣な眼差しでジェモーを見つめた。
「“カプリース”とは何なのですか?」
伝説の存在とまで言われ、己の力で辿り着いた者はいない。
命の危険に見舞われた際に助け出された漁師達の話は的を得ずじまいだった。
問いかけるイオリにジェモーは微笑んだ。
『答えましょう。
“カプリース”とは混沌の時代を生き抜いたドラゴン達が築いた楽園・・・。
言わば“ドラゴンの国”。』
驚くイオリ達にジェモーは楽しげに話し始めた。
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