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旅路 〜カプリースへ〜
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『もしもーし。
ねぇ、聞こえてる?
良い匂いね!』
驚き過ぎたイオリ達が反応しなかった為に、首を傾げたドラゴンは再び大声で話しかけてきた。
その放つパワーがヒューゴとクロムスのシールドを弾き飛ばし凄まじい破裂音がした。
ドガンッ!!
「「「「うわぁぁ!」」」」
『えっ!?
何!?
何が起こったの?』
当のドラゴンもあまりの音に驚き、悲鳴を上げ耳を抑える子供達を心配そうに大きな顔を近づけて覗き込んできた。
ドラゴンの中に優しさを見たイオリは話しかけてみた。
「・・・ドラゴンさんですよね?」
『えぇ、そうよ。
人族の青年。
ドラゴンは初めて?』
「いや、初めてではないです。」
『まぁ、そうなの?
どんな奴だった?
まぁ、私みたいな美しいドラゴンも珍しいけどね。』
空中でポーズを決めるドラゴンは、どうやら襲ってくる気はないようだった。
『ドラゴンよ。
何用あって此処まで降りて来たのです?』
カーバンクルのルチアの凛とした声が真っ直ぐにドラゴンに届く。
『あら、カーバンクル?
珍しい!
人族と共にいるの?
何で?』
『思うところがあって、従魔契約をしたのですよ。
現状に満足しています。』
『そうなんだぁ。
幸せなら良いんじゃない?
それはそうと、良い匂いに誘われて来たの。
私、お腹空いてるのよ。』
カーバンクルとドラゴンの会話に口を挟まずにいたイオリであったが、ドラゴンが姿を現したのが自分の料理の所為なのであれば黙っている事もないと前に進み出た。
「骨付き肉のシチューですよ。
宜しければ、差し上げますが足りるかな?」
イオリが鍋を指させば、ドラゴンは嬉しそうに翼をバタつかせた。
『食べて良いの?
心配しないで、大丈夫!』
そう言うと、ピカっと光ったドラゴンが唐突に姿を消した。
「あれ?」
「・・・いない。」
「ドラゴン・・・初めて見ました。」
「夢じゃないよな?痛ッ!」
辺りをキョロキョロとしていたヴァルトが顔を歪めて頭を抑えた。
『何言ってんの?夢じゃないわよ。』
「あっ・・・ヴァルトの頭。」
ナギが指差す方を見れば、手の平サイズの小さなドラゴンがヴァルトの頭の上で、フンスカと仁王立ちしていた。
「デッカいドラゴンが小ちゃくなっちゃった・・・。」
キョトンとするパティの鼻先にドラゴンはパタパタと羽ばたきながら近づいた。
『そうよ。
お嬢さん。
並のドラゴンにとって大きさを変えるなんて簡単な事なのよ。』
「そうなの?可愛い!!」
怖いもの知らずのパティである。
小さなドラゴンに興奮して拍手をした。
『話が分かるお嬢さんね。』
今だに現実を受け入れられない者、冷静に分析する者、興奮している者。
イオリは突如現れた客と喜びの舞を踊るパティに苦笑すると、手を差し出した。
「それじゃ、ドラゴンさん。
豪華なおもてなしは出来ませんが、お食事でも如何ですか?
スペアリブのシチューとパンならお出しできますよ。」
イオリの誘いに目を輝かしたドラゴンは『勿論!』とエスコートされていった。
ねぇ、聞こえてる?
良い匂いね!』
驚き過ぎたイオリ達が反応しなかった為に、首を傾げたドラゴンは再び大声で話しかけてきた。
その放つパワーがヒューゴとクロムスのシールドを弾き飛ばし凄まじい破裂音がした。
ドガンッ!!
「「「「うわぁぁ!」」」」
『えっ!?
何!?
何が起こったの?』
当のドラゴンもあまりの音に驚き、悲鳴を上げ耳を抑える子供達を心配そうに大きな顔を近づけて覗き込んできた。
ドラゴンの中に優しさを見たイオリは話しかけてみた。
「・・・ドラゴンさんですよね?」
『えぇ、そうよ。
人族の青年。
ドラゴンは初めて?』
「いや、初めてではないです。」
『まぁ、そうなの?
どんな奴だった?
まぁ、私みたいな美しいドラゴンも珍しいけどね。』
空中でポーズを決めるドラゴンは、どうやら襲ってくる気はないようだった。
『ドラゴンよ。
何用あって此処まで降りて来たのです?』
カーバンクルのルチアの凛とした声が真っ直ぐにドラゴンに届く。
『あら、カーバンクル?
珍しい!
人族と共にいるの?
何で?』
『思うところがあって、従魔契約をしたのですよ。
現状に満足しています。』
『そうなんだぁ。
幸せなら良いんじゃない?
それはそうと、良い匂いに誘われて来たの。
私、お腹空いてるのよ。』
カーバンクルとドラゴンの会話に口を挟まずにいたイオリであったが、ドラゴンが姿を現したのが自分の料理の所為なのであれば黙っている事もないと前に進み出た。
「骨付き肉のシチューですよ。
宜しければ、差し上げますが足りるかな?」
イオリが鍋を指させば、ドラゴンは嬉しそうに翼をバタつかせた。
『食べて良いの?
心配しないで、大丈夫!』
そう言うと、ピカっと光ったドラゴンが唐突に姿を消した。
「あれ?」
「・・・いない。」
「ドラゴン・・・初めて見ました。」
「夢じゃないよな?痛ッ!」
辺りをキョロキョロとしていたヴァルトが顔を歪めて頭を抑えた。
『何言ってんの?夢じゃないわよ。』
「あっ・・・ヴァルトの頭。」
ナギが指差す方を見れば、手の平サイズの小さなドラゴンがヴァルトの頭の上で、フンスカと仁王立ちしていた。
「デッカいドラゴンが小ちゃくなっちゃった・・・。」
キョトンとするパティの鼻先にドラゴンはパタパタと羽ばたきながら近づいた。
『そうよ。
お嬢さん。
並のドラゴンにとって大きさを変えるなんて簡単な事なのよ。』
「そうなの?可愛い!!」
怖いもの知らずのパティである。
小さなドラゴンに興奮して拍手をした。
『話が分かるお嬢さんね。』
今だに現実を受け入れられない者、冷静に分析する者、興奮している者。
イオリは突如現れた客と喜びの舞を踊るパティに苦笑すると、手を差し出した。
「それじゃ、ドラゴンさん。
豪華なおもてなしは出来ませんが、お食事でも如何ですか?
スペアリブのシチューとパンならお出しできますよ。」
イオリの誘いに目を輝かしたドラゴンは『勿論!』とエスコートされていった。
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