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旅路 〜カプリースへ〜
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「使節団に従事しているのはヴァルトじゃないぞ。」
テントから出てきたのはヴァルトの兄であるポーレット公爵家の嫡男・ニコライだった。
「ニコライさん!?」
驚きの声を上げるイオリを楽しそうに見つめたニコライは久々に会う子供達にも挨拶をすると、兵士に合図を送りテーブルの準備をさせた。
「とりあえず、座りなさい。」
ニコライの従者であるノアとフランまで加わり、場は一気に賑やかさが増した。
「ここまでの旅はご苦労だったな。
・・・いや、こう聞くべきか。
楽しかったか?」
国の為に旅に出たわけではない。
英雄視されるのが嫌いな自分を見透かすニコライの言葉に笑うとイオリは頷いた。
「えぇ。
楽しかったです。
ね、皆んな。」
美味しそうに甘い紅茶を飲んでいた子供達はニッコリと頷いた。
「楽しかった!
聞いて!
デザリアのダンジョンに大きな亀がいるの!
不思議でしょ?」
「それなら、砂漠の中にある農園だって凄い不思議だよ。
「ルーシュピケの話は?
ガーディアンかっこ良かったよね。
ホワンは着いたかな?」
「残念だったね。
グランヌスの今年の収穫祭は終わっちゃんだよ。
驚くよ。
皆んな、ずっと食べてるの。」
身振り手振りで話す子供達を大人達は楽しそうに見つめていた。
「随分と色んな経験をしたんだな。
お前は連絡不精だから、父上がヤキモキしていたぞ。
その分、ヒューゴがマメなのが助かった。」
笑うイオリの隣でヒューゴが何とも言えない顔をすると、補佐役の従者達が“面倒な主人を持つ”苦労を理解するように憐れみの頷きをした。
居心地が悪いのか、ニコライが話を戻した。
「ゴボンっ。
そんな訳でアースガイルの代表者は私だ。
イオリが訪れた国々だ。
ポーレットの人間が行く方が良いだろうとの国王からの打診を受けたんだ。
特に“ルーシュピケ”には配慮が必要だろう?」
アースガイルは大国である。
訪れる国々は、それ相応の緊張感を持つ事だろう。
確かに、全く知らない人間よりも、ポーレット公爵家のニコライの方が、それぞれの国も気兼ねなく話し合いが出来るのではないだろうか。
「皆さんに宜しくお伝えください。」
旅で出会った人達を思い出し、微笑んでいたイオリにニコライが声を掛けた。
「イオリ。
お前に会いたがっている人がいる。」
「はい。マルクルさんから聞きました。
此方にいらっしゃるんでしょうか?」
「あぁ、リルラが迎えに行ってるんだ。」
アースガイルの陣営がザワザワと騒ぎ出した。
そんな兵士の間を縫って男が慌てたようにやって来た。
「ニコライ殿。
イオリ殿が来られたと・・・。」
イオリは、その男に見覚えがあった。
「カレリン公爵!?」
驚いたのも無理はない。
そこに現れたのはミズガルドの国王の弟にしてカレリン公爵家の当主であるイグナート・カレリン、その人だった。
「あぁ、本当にイオリ殿だ。」
イグナートは嬉しそうに近寄ってくるとイオリの手を強く握りしめた。
この公爵との再会はイオリにとっても考え深いものがあった。
「・・・これこそ、連絡くれたら良かったんじゃありませんか?
行き違ったら、どうする気だったんです?」
イオリが指輪のついた手をヒラヒラさせながら問いかけると、ポーレット公爵家の兄弟は顔を見合わせてニヤリとした。
「「驚かせようと思って。」」
「・・・あぁ、この人達は。」
頭を掻いて困った顔をするイオリを見て、いつも驚かされる仕返しだと、満足そうに笑うニコライとヴァルトだった。
テントから出てきたのはヴァルトの兄であるポーレット公爵家の嫡男・ニコライだった。
「ニコライさん!?」
驚きの声を上げるイオリを楽しそうに見つめたニコライは久々に会う子供達にも挨拶をすると、兵士に合図を送りテーブルの準備をさせた。
「とりあえず、座りなさい。」
ニコライの従者であるノアとフランまで加わり、場は一気に賑やかさが増した。
「ここまでの旅はご苦労だったな。
・・・いや、こう聞くべきか。
楽しかったか?」
国の為に旅に出たわけではない。
英雄視されるのが嫌いな自分を見透かすニコライの言葉に笑うとイオリは頷いた。
「えぇ。
楽しかったです。
ね、皆んな。」
美味しそうに甘い紅茶を飲んでいた子供達はニッコリと頷いた。
「楽しかった!
聞いて!
デザリアのダンジョンに大きな亀がいるの!
不思議でしょ?」
「それなら、砂漠の中にある農園だって凄い不思議だよ。
「ルーシュピケの話は?
ガーディアンかっこ良かったよね。
ホワンは着いたかな?」
「残念だったね。
グランヌスの今年の収穫祭は終わっちゃんだよ。
驚くよ。
皆んな、ずっと食べてるの。」
身振り手振りで話す子供達を大人達は楽しそうに見つめていた。
「随分と色んな経験をしたんだな。
お前は連絡不精だから、父上がヤキモキしていたぞ。
その分、ヒューゴがマメなのが助かった。」
笑うイオリの隣でヒューゴが何とも言えない顔をすると、補佐役の従者達が“面倒な主人を持つ”苦労を理解するように憐れみの頷きをした。
居心地が悪いのか、ニコライが話を戻した。
「ゴボンっ。
そんな訳でアースガイルの代表者は私だ。
イオリが訪れた国々だ。
ポーレットの人間が行く方が良いだろうとの国王からの打診を受けたんだ。
特に“ルーシュピケ”には配慮が必要だろう?」
アースガイルは大国である。
訪れる国々は、それ相応の緊張感を持つ事だろう。
確かに、全く知らない人間よりも、ポーレット公爵家のニコライの方が、それぞれの国も気兼ねなく話し合いが出来るのではないだろうか。
「皆さんに宜しくお伝えください。」
旅で出会った人達を思い出し、微笑んでいたイオリにニコライが声を掛けた。
「イオリ。
お前に会いたがっている人がいる。」
「はい。マルクルさんから聞きました。
此方にいらっしゃるんでしょうか?」
「あぁ、リルラが迎えに行ってるんだ。」
アースガイルの陣営がザワザワと騒ぎ出した。
そんな兵士の間を縫って男が慌てたようにやって来た。
「ニコライ殿。
イオリ殿が来られたと・・・。」
イオリは、その男に見覚えがあった。
「カレリン公爵!?」
驚いたのも無理はない。
そこに現れたのはミズガルドの国王の弟にしてカレリン公爵家の当主であるイグナート・カレリン、その人だった。
「あぁ、本当にイオリ殿だ。」
イグナートは嬉しそうに近寄ってくるとイオリの手を強く握りしめた。
この公爵との再会はイオリにとっても考え深いものがあった。
「・・・これこそ、連絡くれたら良かったんじゃありませんか?
行き違ったら、どうする気だったんです?」
イオリが指輪のついた手をヒラヒラさせながら問いかけると、ポーレット公爵家の兄弟は顔を見合わせてニヤリとした。
「「驚かせようと思って。」」
「・・・あぁ、この人達は。」
頭を掻いて困った顔をするイオリを見て、いつも驚かされる仕返しだと、満足そうに笑うニコライとヴァルトだった。
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