続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路 〜カプリースへ〜

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 ゴトゴトと小さな馬車が進んでいく。
 
 海沿いの道は思っているよりも細く、舗装されてない道では馬車が1台が通れば良い方だった。
 久々の再会を楽しみに進めば、開けた場所に想像以上に大所帯のキャンプが現れた。

「・・・これは。
 ヴァルト様だけじゃないな。」

 キャンプ地に柵まで建て兵士が守りを固める様子を見て、御者席に座っていたヒューゴは一瞬で顔を顰めた。

「マルクルさん、さっき俺に会いたがってる人が来てるって言ってましたね。」

「そうだな。 
 これは思った以上の大物が出てきたかもしれないぞ。」

 会うのがヴァルトだけだったら気軽であったが、どうにも、そう言ってられない雰囲気だ。
 
 マルクルから報告があったのだろう。
 柵を守っていた兵士が入り口を開けてくれた。

「どうぞ、奥までお進み下さい。」

 余計な事を言わずに通してくれたのは、見慣れたポーレット公爵家の甲冑を身に付けた兵士だった。
 
 キャンプ地を横切る小さな馬車に視線が集まる。
 特に馬車から身を出し様子を伺うイオリに、その視線は集中していた。
 危害を加えられる事は無いと信じているが、この緊張感は何なのだろうと疑問に思っていると、一際大きなテントの前に知ってる顔が仁王立ちしていた。

「おぉ、来たか!
 イオリ!ヒューゴも!
 達者か!?」

 聞き慣れた声が嬉しさを隠さずに大きな声で叫んだ。

「お久しぶりです。ヴァルトさん。」

「お久しぶりです。」

 2人が挨拶をすると、子供達が馬車から飛び出した。

「「「「ヴァルトー!!」」」」

 抱きつかれたヴァルトは、よろめきながら驚いた顔をした。

「なんだ、お前達。
 別れた時よりも大きくなってるな。
 元気だったか?」

 ヴァルトは嬉しそうに、それぞれの頭をワシャワシャと撫でた。

 テントから従者のトゥーレとマルクルが顔を出し微笑んでいる。

 2人との再会を喜ぶと、イオリはキャンプを振り返り事情を聞いた。

「これは何事です?」

「マルクルは説明しなかったのですか?」

 トゥーレに涼しい目を向けられマルクルは気まずそうに頬を掻いた。

「だってよー。
 先ずは報告しなきゃって思ってよー。」

 イオリ達が懐かしい光景に笑っているとトゥーレが説明を買って出た。

「“エルフの里”の台頭、そしてダークエルフの存在感が問題視されている事は貴方達が1番分かっていると思います。
 各国・・・特に関心を持った国々が対処に乗り出しました。
 事態の把握をしようと、“デザリア”、“ルーシュピケ”、“グランヌス”に我がアースガイルと“ミズガルド”から使節団が派遣されたという訳です。」

「なるほど、それでヴァルトさんが・・・。」

 納得したと頷くイオリにトゥーレとマルクスは意味深な笑みを浮かべた。

「使節団に従事しているのはヴァルトじゃないぞ。」

 テントから出てきた男にイオリは驚きの声を上げた。

「ニコライさん!?」
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