続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路 〜カプリースへ〜

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 真っ白なフサフサの尻尾に鼻を擽ぐられ眠りから覚めたイオリは起き上がると、熟睡する家族達にニッコリとした。

 ベットから降りて、顔を洗うと冷蔵庫と冷凍庫を覗き込み残り物の確認をする。
 旅を続ける上で食料の在庫の把握は必要な事で、イオリの大切な日課ではあるがパティの盗み食いのチェックでもある事は加筆しておこう。
 道中で狩った獲物が多かった為に、この日は冷蔵庫も冷凍庫も沢山の食材が入っていた。
 
 もう一度、眠る家族に視線を向けるとイオリは階段を登りテントから出て行った。

 太陽が昇り始めた空は白み、辺りはまだ薄暗い。
 ゴブリンの住みかだった場所で眠りたくないと言う子供達の抗議を受け、移動したのは結局当初の川沿いの道であった。 

 イオリは手を伸ばし大きな欠伸をした。
 ストレッチをするところからイオリの朝が始まる。

 誰よりも早く起きて念入りに体を解すイオリは、この時間を大切にする。
 そのうちにヒューゴが起きてきて、短い挨拶の後に同じくストレッチをし、朝食の時間まで満足するまで大剣を振り続けるのだ。
 その間、イオリは順調に体を動かし最後に瞑想をする。
 初めこそ、瞑想にちょっかいを出してきていた家族達もイオリの集中力の前に徐々に飽きてしまい、今では放っておいている。
 
 イオリが朝のルーティーンを全て終わらせる頃になると、眠たげなスコルが起きてくる。
 スコルはイオリと2人で過ごす朝食の準備の時間が大好きだった。
 それは普段は長男として、しっかり者であるスコルがイオリに甘えられる貴重な時間だった。 

 朝食の香りが漂い始めると賑やかさが増してくる。

 ゼンとアウラを引き連れたナギが姿を現せる。
 その頃にはトレーニングを終わらせるヒューゴと朝風呂に入るナギは、美しい癖のない緑色の髪をハーフアップに纏めている。
 髪留めには、両親が残したリボンとイオリが選んだ木の実の飾りがついていて、ナギのお気に入りだ。

 もっと時間が経つとニナがパティを急き立てて飛び出してくる。
 寝坊助のパティの朝の世話は、いつの間にかニナが担当になっていた。
 お風呂に放り込みさえすれば目覚めてくれるパティであるが、酷い時はパジャマのままで朝食に参加する。
 食べ物の匂いに釣られて眠りから醒めるのだが、そんな日は大概スコルかヒューゴに説教される。
 イオリに助けを求めても、ニコニコとされるだけで守ってはもらえない。
 時にはイオリからも小言をもらう始末だ。
 
 御機嫌なニナを見れば、この日はどうやら素直に目覚めたらしい。
 その他の身支度を終えた2人の少女達は、朝食までの時間を互いの髪の毛を結く事に充てる事が多い。
 薄紫の優しいウェーブの掛かったパティの長い髪に憧れたニナも、今では美しい金色のストレートの髪を伸ばしている。
 器用にヘアアレンジを楽しむパティは、こんな時ばかりは美少女であると思い出させられるのだ。

「出来たよ!」

 スコルの呼び声に、家族がゾロゾロと集まると朝食の時間を迎える。
 今日は何をするだの、何処まで行くのだのと会話をしながら朝食を楽しむのだ。

 食事を終えるとスコルとイオリが風呂に入りに行く。
 その間に家族達は片付けや旅の準備を終わらせる。

 2人が戻って来ると、馬車に乗り込み旅の再開だ。

 この日も同じように陽気に旅路を進んでいた。
 暫くするとゼンの鼻がピクピクと動いた。

『海の匂いがする。』

 ゼンの言う通りだった。
 暫くすると、大海原が姿を見せたのだ。

「やったー!海だぁ!」

 喜ぶ子供達にイオリとヒューゴも微笑んだ。

 そんな時だった。

「おーい!」

 遠くの方から誰かが呼ぶ声がした。
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