続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路 〜カプリースへ〜

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 その後も、所々で姿を現すゴブリン達に旅の足止めをされていた子供達がウンザリとした顔で馬車の中で横たわっていた。

「何でゴブリンばっかり・・・。」

 呟くスコルに反応する者はいない。
 スコルとて返事を求めている様子もないので如何に疲弊しているのかが分かるものだ。

「恐らく、冒険者達が来ず、天敵となるモノがいないんだろうな。
 これは、何処かに寝ぐらがあるな。」

 ゴブリンの寝ぐらがあるのなら、高位のゴブリンが存在する可能性がある。
 無秩序に見えるゴブリン達であるが、統率が取れている場合は、ジェネラルゴブリンやゴブリンキングなど冒険者ギルドで討伐ランクの高くなる対象が陣取っている事が多いのだ。

「・・・無視は出来ませんね。」

 人里と、どれだけ離れているか分からないが、ゴブリンによって被害が出るのは抑止しておきたい。

「ゴブリンの寝ぐらに行くの?」

 さっきまで面倒臭そうにしていたスコルであるが、冒険者としての仕事は理解している。
 やるべき事があると分かれば、準備を始めた。
 
「寝ぐらを破壊したら、もうゴブリンに会わない?」

 ムクっと起き上がったパティが目を輝かす。

「全くとはいかないが、今みたいな異常な出現はなくなるだろうな。」

 双子がやる気が出てきた事にヒューゴの口元が緩む。

「ニナ、最後に頑張ろう。」

 ナギが手をかざすとニナが弱々しくパンッとハイタッチした。

「・・・うん。」

 子供達の了解を得たヒューゴはイオリに視線を向けた。

「って事だ。」

「はいはい。
 ゴブリンの寝ぐらですね。」

 イオリは馬車から身を乗り出し、青い右目に力を込め周囲を見渡した。

「どう?ゼンは感じる?」

『うん。
 あっちから匂いがプンプンする。』

 ゼンが示す方角に目を向ければ、イオリは眉をピクリと動かした。

「あぁ・・・集落化してますね。
 これは凄いや。」

 小汚い小さなテントがいくつも並び、所々で火まで焚き、細い煙が上がっていた。
 馬車がゴブリン集落に迎えば、その焦げ臭い匂いを追いかけていたゼンの顔が歪んでいく。

『クッサ・・・。』

 匂いに敏感なゼンを気の毒に思いながらもイオリは近づいてきたゴブリン集落に集中した。

「キングもジェネラルも見当たらないんで集落の奥にある洞窟の中ですかね。」

「見つかるとギャッギャと煩いから俺が広域でシールドで囲んじまうか?」

「そうしたら、その中のゴブリンは全部寝かしちゃいましょう。」

 イオリとヒューゴが相談する中、子供達が真剣な顔で頷き合っていた。

「絶対に、ここで終わらす。」
「キモブリンなんて、やっつける。」
「滅!」
「なんだか、ニナ怒ってる?」

 ゴブリンの集落に近づき、馬車を降りたヒューゴは洞窟前に集まっているゴブリン達を一気にシールドで囲み込んだ。

 それを見越して、イオリとゼンが草むらから飛び出した。

 何が起こっているのかも気づいていないゴブリン達は唐突に現れたイオリに驚き、騒ぎ出した。
 中にはシールドにぶつかり気を失う者まで現れている。
 慌てたゴブリン達は洞窟に向かって何かを吠えているが、全くもって聞こえない。

「残念、そのシールドには防音が練り込まれてるからな。
 仲間を呼んでも、お前達の声は届かないぜ。」

 得意そうなヒューゴが合図を送ると、イオリは2丁の銃を撃ちまくった。

「ごめん。おやすみだ。」
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