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旅路 〜カプリースへ〜
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草が朝露で煌めく草原を小さな馬車が滑走する。
目下、海を目指している彼らの前には群れを成したゴブリンが立ちはだかっていた。
「・・・ゴブリンか。」
「・・・面倒だよね。」
ギャッギャと吠えるゴブリン達に双子が顔を顰める。
食べる事の出来ないゴブリンとの不毛な戦闘にテンションの上がらない2人だった。
「ゴブリン討伐は証明の為に耳を切り取らなきゃいけないからな・・・。」
解体に慣れたパティですらゴブリンの処理は嫌がる。
それでも、放っておいたゴブリンによって、どんな被害が出ないとも限らない。
冒険者として対峙したからには討伐しなければいけないのだ。
嫌がる子供達に苦笑するとヒューゴはアウラに合図を送ると馬車を停めた。
「俺がやろう。」
飛び降りたヒューゴが馬車の中を覗き込むと、子供達が身を寄せ合って耳を押さえていた。
「何でデカい魔獣には嬉しそうに挑むのにゴブリンは嫌なんだ?」
呆れるヒューゴに子供達が抗議する。
「ゴブリンは食べられないから嫌い!」
「臭いし!」
「煩いし!」
「群れなして騒ぐ時点でキモい!」
要は食べられないクセに、女子供と見れば襲ってくるゴブリンに、生理的に嫌悪感を感じているという事だろう。
「イオリー。
お前はサボるなよー。」
気配を消しているイオリに声をかけると、馬車から顔出して舌をペロっと出して笑った。
「バレたぁ。」
「バレるわ!
お前が雷撃すれば1発だろう?」
「はーい。」
その間、待ってくれているのだからゴブリンも大概良い奴なんじゃないかと眉を顰めるヒューゴであったが、実際にはゴブリン達も異常な殺気を前に足が出ずにいるだけだった。
それでも本能で襲い始めたゴブリン達に雷の雨が降り注ぐ。
ギャギャギャー!!
苦しむ間もなくゴブリン達がピクピクと倒れた。
そこに、暴風が襲い掛かりグウの音も出ずに勝敗は決した。
「はい。
お疲れ。
後始末の時間ですよ。」
ヒューゴの手招きに、嫌々ゴブリンの処理を手伝う双子の後をニナが洗浄魔法を掛け着いて行く。
最後にナギがライアーで浄化の音色を奏でれば終了だ。
「あぁ!やっと終わった・・・。」
「ゴブリンってさぁ、いっぱいで来るからムカつくよね。」
綺麗になった地面に座り込むと双子は大きな溜息を吐いた。
「あのギャッギャっていうのやめて欲しい。」
「夜中に思い出すと怖いもんね。」
子供達の会話を心底不思議そうにヒューゴは聞いていた。
「何で、サンダーバイソンより小物のゴブリンが怖いんだよ。
ランクで言うと、新人冒険者が請け負う案件だぞ。」
「フフフ。
ゴブリン食べられないですからね。」
やっと全てが終わり、再び旅を始めようと馬車に乗り込んでいた一同の耳に嫌な声が聞こえた。
ギャギャ!!
「・・・あぁー。」
「嘘ぉぉ。」
「何なの?」
「イオリー!!」
子供達のウンザリした顔に苦笑するイオリとヒューゴだったが、ゴブリンの異常発生に首を傾げるのだった。
目下、海を目指している彼らの前には群れを成したゴブリンが立ちはだかっていた。
「・・・ゴブリンか。」
「・・・面倒だよね。」
ギャッギャと吠えるゴブリン達に双子が顔を顰める。
食べる事の出来ないゴブリンとの不毛な戦闘にテンションの上がらない2人だった。
「ゴブリン討伐は証明の為に耳を切り取らなきゃいけないからな・・・。」
解体に慣れたパティですらゴブリンの処理は嫌がる。
それでも、放っておいたゴブリンによって、どんな被害が出ないとも限らない。
冒険者として対峙したからには討伐しなければいけないのだ。
嫌がる子供達に苦笑するとヒューゴはアウラに合図を送ると馬車を停めた。
「俺がやろう。」
飛び降りたヒューゴが馬車の中を覗き込むと、子供達が身を寄せ合って耳を押さえていた。
「何でデカい魔獣には嬉しそうに挑むのにゴブリンは嫌なんだ?」
呆れるヒューゴに子供達が抗議する。
「ゴブリンは食べられないから嫌い!」
「臭いし!」
「煩いし!」
「群れなして騒ぐ時点でキモい!」
要は食べられないクセに、女子供と見れば襲ってくるゴブリンに、生理的に嫌悪感を感じているという事だろう。
「イオリー。
お前はサボるなよー。」
気配を消しているイオリに声をかけると、馬車から顔出して舌をペロっと出して笑った。
「バレたぁ。」
「バレるわ!
お前が雷撃すれば1発だろう?」
「はーい。」
その間、待ってくれているのだからゴブリンも大概良い奴なんじゃないかと眉を顰めるヒューゴであったが、実際にはゴブリン達も異常な殺気を前に足が出ずにいるだけだった。
それでも本能で襲い始めたゴブリン達に雷の雨が降り注ぐ。
ギャギャギャー!!
苦しむ間もなくゴブリン達がピクピクと倒れた。
そこに、暴風が襲い掛かりグウの音も出ずに勝敗は決した。
「はい。
お疲れ。
後始末の時間ですよ。」
ヒューゴの手招きに、嫌々ゴブリンの処理を手伝う双子の後をニナが洗浄魔法を掛け着いて行く。
最後にナギがライアーで浄化の音色を奏でれば終了だ。
「あぁ!やっと終わった・・・。」
「ゴブリンってさぁ、いっぱいで来るからムカつくよね。」
綺麗になった地面に座り込むと双子は大きな溜息を吐いた。
「あのギャッギャっていうのやめて欲しい。」
「夜中に思い出すと怖いもんね。」
子供達の会話を心底不思議そうにヒューゴは聞いていた。
「何で、サンダーバイソンより小物のゴブリンが怖いんだよ。
ランクで言うと、新人冒険者が請け負う案件だぞ。」
「フフフ。
ゴブリン食べられないですからね。」
やっと全てが終わり、再び旅を始めようと馬車に乗り込んでいた一同の耳に嫌な声が聞こえた。
ギャギャ!!
「・・・あぁー。」
「嘘ぉぉ。」
「何なの?」
「イオリー!!」
子供達のウンザリした顔に苦笑するイオリとヒューゴだったが、ゴブリンの異常発生に首を傾げるのだった。
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