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旅路 〜グランヌス・王宮〜
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王妃が呼んでいると、料理の手を止めて侍女に連れ行かれるイオリの背を心配そうに見つめるムネタカの肩をロクが叩いた。
「大丈夫ッスよ。
イオリさんは強いだけななくて、頭が良いじゃないですか。
ドワーフ達がくれたヒントから良い考えを導き出すッスよ。」
「・・・そうだな。」
ムネタカの不安を、どうにかしてやりたいロクの袖をドワーフのガトが引っ張った。
「酒はもうダメらしい。
茶だ。」
空気を読まないドワーフ達にロクの青筋が音をてて浮き上がる。
「ワシも!
熱い茶をくれ。」
「ワシは、熱過ぎるのはダメだ。」
「飲み頃の丁度いいのが良いよな。」
4人衆に加えて、ワシもワシもと騒ぐドワーフにロクは叫んだ。
「マジで、うるせーオッサン達ッスね!
淹れてやるから、順番!!」
再び騒がしくドワーフに絡まれるロク見て、笑いを漏らすムネタカだった。
「結局、淹れてやるんだな。
お前。」
___________
イオリが案内された後宮の部屋は来賓が来た時に使用する王妃の応接室だと言う。
扉が開かれた先に王妃と共に待っていた人物にイオリはホッとしたように微笑んだ。
「ご無事で何よりです。
カルド枢機卿。」
ソファに座り、紅茶を嗜んでいたカルド枢機卿はイオリの登場に嬉しそうに立ち上がった。
「イオリ様。
ご心配をおかけしました。」
アースガイルの王都マテオールで別れた時と比べて、少し痩せたようなカルド枢機卿の手をイオリは優しく握りしめた。
「長い事、監禁されて疲弊されていた。
殿医の話では、もう起き上がっても良いそうだ。
何んであれ、申し訳ない事です。」
王妃が謝罪をすると、カルド枢機卿は首を横に振った。
「どうぞ、おやめくだい。
外交の旅を続けている過程でグランヌスの危険を感じ取っていたのに、迂闊にも相手の懐に飛び込んだ私が愚かだったのです。
王妃様のお陰で命があります。
感謝申し上げます。」
変わって頭を下げる枢機卿に王妃は苦渋の顔をしていた。
カルド枢機卿と言えば、アースガイルの教会本部の四大枢機卿の1人であり、国の重鎮である。
そんな人物を監禁したとあれば、大きな国際問題だ。
王族として、事の重大さを王妃は理解していた。
他国の枢機卿を邪教扱いし、すぐ様に処刑を口にした姫巫女陣営から守ったとは言え、何ヶ月もの間にも辛い思いをさせてしまった。
隠密を使い連絡は取っていたが、簡単に解放する事が出来なかったのは国王が“魅了”されていた事が大きい。
イオリの出現により、“魅了”より解放された国王の代理で動いた王妃であったが、これからの外交が至難であると責任を感じているのだろう。
「俺の方からもアースガイルに伝えておきます。
理解をしてくれると思いますよ。」
アースガイルの地にいる国王は賢王である。
事情さえ分かれば、問題の落とし所を見つけてくれるはずだ。
「この件に関しては、どんな事でも受け入れよう。
王も納得されるはずだ。」
イオリの口添えがあると分かり光明を見た王妃にやっと笑顔が見れた。
「それでしたら、私の方から提案があります。」
ガルド枢機卿の提案は王妃を驚かす事になる。
その後、離宮を解体した跡地にグランヌス初の絶対神リュオンを祀る教会が出来た。
それまで、神を祀る社さえなかったグランヌスにとって画期的な事だった。
信心深くなかったグランヌスで、人々を“魅了”から解放した火龍ラーヴァの存在は大きくなった。
その火龍を遣わせた絶対神リュオンへの敬愛は日々高まりつつある。
布教活動を成功させたカルド枢機卿は痩せても枯れても、強かだった。
「大丈夫ッスよ。
イオリさんは強いだけななくて、頭が良いじゃないですか。
ドワーフ達がくれたヒントから良い考えを導き出すッスよ。」
「・・・そうだな。」
ムネタカの不安を、どうにかしてやりたいロクの袖をドワーフのガトが引っ張った。
「酒はもうダメらしい。
茶だ。」
空気を読まないドワーフ達にロクの青筋が音をてて浮き上がる。
「ワシも!
熱い茶をくれ。」
「ワシは、熱過ぎるのはダメだ。」
「飲み頃の丁度いいのが良いよな。」
4人衆に加えて、ワシもワシもと騒ぐドワーフにロクは叫んだ。
「マジで、うるせーオッサン達ッスね!
淹れてやるから、順番!!」
再び騒がしくドワーフに絡まれるロク見て、笑いを漏らすムネタカだった。
「結局、淹れてやるんだな。
お前。」
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イオリが案内された後宮の部屋は来賓が来た時に使用する王妃の応接室だと言う。
扉が開かれた先に王妃と共に待っていた人物にイオリはホッとしたように微笑んだ。
「ご無事で何よりです。
カルド枢機卿。」
ソファに座り、紅茶を嗜んでいたカルド枢機卿はイオリの登場に嬉しそうに立ち上がった。
「イオリ様。
ご心配をおかけしました。」
アースガイルの王都マテオールで別れた時と比べて、少し痩せたようなカルド枢機卿の手をイオリは優しく握りしめた。
「長い事、監禁されて疲弊されていた。
殿医の話では、もう起き上がっても良いそうだ。
何んであれ、申し訳ない事です。」
王妃が謝罪をすると、カルド枢機卿は首を横に振った。
「どうぞ、おやめくだい。
外交の旅を続けている過程でグランヌスの危険を感じ取っていたのに、迂闊にも相手の懐に飛び込んだ私が愚かだったのです。
王妃様のお陰で命があります。
感謝申し上げます。」
変わって頭を下げる枢機卿に王妃は苦渋の顔をしていた。
カルド枢機卿と言えば、アースガイルの教会本部の四大枢機卿の1人であり、国の重鎮である。
そんな人物を監禁したとあれば、大きな国際問題だ。
王族として、事の重大さを王妃は理解していた。
他国の枢機卿を邪教扱いし、すぐ様に処刑を口にした姫巫女陣営から守ったとは言え、何ヶ月もの間にも辛い思いをさせてしまった。
隠密を使い連絡は取っていたが、簡単に解放する事が出来なかったのは国王が“魅了”されていた事が大きい。
イオリの出現により、“魅了”より解放された国王の代理で動いた王妃であったが、これからの外交が至難であると責任を感じているのだろう。
「俺の方からもアースガイルに伝えておきます。
理解をしてくれると思いますよ。」
アースガイルの地にいる国王は賢王である。
事情さえ分かれば、問題の落とし所を見つけてくれるはずだ。
「この件に関しては、どんな事でも受け入れよう。
王も納得されるはずだ。」
イオリの口添えがあると分かり光明を見た王妃にやっと笑顔が見れた。
「それでしたら、私の方から提案があります。」
ガルド枢機卿の提案は王妃を驚かす事になる。
その後、離宮を解体した跡地にグランヌス初の絶対神リュオンを祀る教会が出来た。
それまで、神を祀る社さえなかったグランヌスにとって画期的な事だった。
信心深くなかったグランヌスで、人々を“魅了”から解放した火龍ラーヴァの存在は大きくなった。
その火龍を遣わせた絶対神リュオンへの敬愛は日々高まりつつある。
布教活動を成功させたカルド枢機卿は痩せても枯れても、強かだった。
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