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旅路 〜グランヌス・王宮〜

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「剣の破壊!?」

 サーペントのフライを頬張っていたクッターは、キョトンとした顔でイオリを見上げた。

「何で破壊する!?」
「ワシは壊さない。」
「恩人は何を考えている?」

 アシノ、ガト、ルースターが不満そうに抗議の声を上げた。
 もの作りの職人として、破壊行為など、とんでもないと顔を顰めている。

「ダークエルフの剣を壊したいんです。」

 ムネカタが真剣な顔をすると、ドワーフ達が顔を見合わせた。

はダークエルフの剣を作れって言ってたぞ。」
「馬鹿馬鹿しい話だ。」
「アレは、どんなに名工でも作れやしねーさ。」
「剣は作れても、闇が核を護っているって話だ。」
「そいつを壊すなんざ。 
 死ぬ気かよ。」
「やめとけ!やめとけ!」
「だいたい、そんなの眉唾で、何処にあるかも分からねーだろう。」

 同じくテーブルでカレーを肴に酒を楽しんでいたドワーフ達が次々と話し始めた。

「恩人はよ。
 “神の愛し子”様よ。」
「火龍様にも認められてんだぜ。」
「イオリがやるってんなら、考えてやろう。」
「イオリ。おかわり。」

 話を取り合わない他のドワーフと違い、クッター、ガト、ルースター、アシノがイオリの援護に回った。
 アシノは空になった皿を掲げただけだったが・・・。

 他のドワーフ達は“愛し子”や火龍と聞きイオリを凝視した後に再び互いに顔を見合わせた。

「兄さんよ。
 剣に限らず、物には中心ってものがある。」
「良い武器はバランスが大事だ。
 核ってやつだよ。」
「核が壊れれば、物体ってのは案外脆い。」

 ドワーフの1人はスプーンを指に乗せてバランスをとってみせた。

「ダークエルフの剣の核を狙えと?」

 教えを乞うイオリは真剣だった。

「ただの剣だったらな。」

 クッターが大きな溜息を吐いた。

「さっきも言ったが、ダークエルフの剣には奴の闇が宿っている。
 今は眠っているが、刺激をすれば何が起こるか分からん。」

 イオリは自分にとっては、なんて事ない自分の武器を手にした。
 それを4人衆以外のドワーフがギョッとした顔で見上げた。

「武器を扱うワシ等にはお前さんの武器も神々しく見えている。
 その武器だって核があるが、神気により堅く守られているんだ。」

 興味深そうなドワーフ達がウンウンと頷いていた。

「イオリさんの武器に絶対神の神気が宿っているのなら、ダークエルフの闇の破壊は可能ですか?」

 ムネタカの質問にドワーフ達は一同腕を組んで考えこんだ。

「神気や闇と言うが、より強い方が強靭である事は間違いない。
 もしかしたらコイツなら、ダークエルフの核も破壊出来るかもしれん。」

 光明を見たムネタカが笑顔で見上げるとイオリは小さく笑いながらもドワーフ達を見渡した。

「それでもリスクがあるんですね?」

 クッターは大きく頷いた。

「大きな力と大きな力が衝突すれば、どれほどの衝撃が起こるのか分からん。
 自ずと使用者にも反動が出るはずだ。」

「そんな・・・。」

 それを聞いても微笑み続けるイオリにムネタカは声を失った。

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