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旅路 〜グランヌス・王宮〜
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「セインが言っていたダークエルフの声が聞こえるとは、どう言う事でしょう?
本当にダークエルフが復活するのでしょうか?」
ムネタカはイオリが“神の愛し子”であると知っている。
世界には巨大な鹿や火龍といった神獣がいると知っている。
自国に太陽をもたらした説明できないほどの大きな力が存在する事を知っている。
国を出て、良い事も悪い事も経験した若き王族に誤魔化しは通用はしない。
「あの時も言いましたが、ダークエルフは死んでいる。
これは事実です。
それを“エルフの里”が、どう捉えているのかは難しいところですね。」
「・・・復活って話は?」
ムネタカは顔こそ出していないが、声が震えていた。
イオリは溜息を吐きながら自身の考えを口にした。
「ムネタカさん。
“怨念”って知ってます?」
「怨念ですか?
あまり、いい響きではないようですが?」
怨念・・・憎しみや恨みを持った死霊
イオリの元の世界には、そんな言葉がある。
昔のイオリなら、そんな馬鹿なと思った事だろうが、この世界に来てからは何でもアリだと知ってしまった。
今のイオリには死霊を否定する材料もないのだ。
「アンデットとは違うんですね。
その死霊とやらは、人体に影響するのですか?」
恐々と聞くムネタカにイオリは腕を組んだ。
「セインにダークエルフの器であると言い聞かせていたのは“エルフの里”の大人達です。
力を持った無垢な子供を里の為に利用しようとしたのでしょう。
その成長過程で心が不安定になったセインが幻聴を聞くようになってしまった。
そう考える方が、俺は納得なんです。
でも・・・覚えてますか?
セインに纏わりついていた闇の事。」
ムネタカは真剣な顔で頷いた。
「随分と、自在に動いてましたね。
あれもセインが操っていたんですか?」
「俺はアレがダークエルフの思念体なのだと思っています。
リュオンに当てられて闇の中に逃げている。
光の名を持つルミールにしては皮肉な話ですがね。
リュオン様の加護である虹の光を浴びて、元に戻ったセインの美しい姿を見ましたよね。
我々が当初見ていたセインの姿が、いかに魂を傷つけ続けていたのか分かります。」
イオリは大きな息を吐いた。
「質問に答えましょう。
“怨念”が人を乗っ取るとは思っていませんが、何かしらの害を与えるとは思っています。
今のままでは、再びルミエールの囁きに騙される輩が出てくる。
ルミエールの肉体と魂の消滅をさせなければいけません。
肉体は恐らく“エルフの里”にあるでしょう。
そして、彼らが世界中のダンジョンを壊してまで手に入れたいルミエールの剣。
思念の残骸を保有してある、この2つを破壊しなければいけません。」
ムネタカはイオリが国を離れる事を悟り、寂しさを感じた。
本当にダークエルフが復活するのでしょうか?」
ムネタカはイオリが“神の愛し子”であると知っている。
世界には巨大な鹿や火龍といった神獣がいると知っている。
自国に太陽をもたらした説明できないほどの大きな力が存在する事を知っている。
国を出て、良い事も悪い事も経験した若き王族に誤魔化しは通用はしない。
「あの時も言いましたが、ダークエルフは死んでいる。
これは事実です。
それを“エルフの里”が、どう捉えているのかは難しいところですね。」
「・・・復活って話は?」
ムネタカは顔こそ出していないが、声が震えていた。
イオリは溜息を吐きながら自身の考えを口にした。
「ムネタカさん。
“怨念”って知ってます?」
「怨念ですか?
あまり、いい響きではないようですが?」
怨念・・・憎しみや恨みを持った死霊
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昔のイオリなら、そんな馬鹿なと思った事だろうが、この世界に来てからは何でもアリだと知ってしまった。
今のイオリには死霊を否定する材料もないのだ。
「アンデットとは違うんですね。
その死霊とやらは、人体に影響するのですか?」
恐々と聞くムネタカにイオリは腕を組んだ。
「セインにダークエルフの器であると言い聞かせていたのは“エルフの里”の大人達です。
力を持った無垢な子供を里の為に利用しようとしたのでしょう。
その成長過程で心が不安定になったセインが幻聴を聞くようになってしまった。
そう考える方が、俺は納得なんです。
でも・・・覚えてますか?
セインに纏わりついていた闇の事。」
ムネタカは真剣な顔で頷いた。
「随分と、自在に動いてましたね。
あれもセインが操っていたんですか?」
「俺はアレがダークエルフの思念体なのだと思っています。
リュオンに当てられて闇の中に逃げている。
光の名を持つルミールにしては皮肉な話ですがね。
リュオン様の加護である虹の光を浴びて、元に戻ったセインの美しい姿を見ましたよね。
我々が当初見ていたセインの姿が、いかに魂を傷つけ続けていたのか分かります。」
イオリは大きな息を吐いた。
「質問に答えましょう。
“怨念”が人を乗っ取るとは思っていませんが、何かしらの害を与えるとは思っています。
今のままでは、再びルミエールの囁きに騙される輩が出てくる。
ルミエールの肉体と魂の消滅をさせなければいけません。
肉体は恐らく“エルフの里”にあるでしょう。
そして、彼らが世界中のダンジョンを壊してまで手に入れたいルミエールの剣。
思念の残骸を保有してある、この2つを破壊しなければいけません。」
ムネタカはイオリが国を離れる事を悟り、寂しさを感じた。
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