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旅路 〜グランヌス・王宮〜
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「あっ。
私のスコッチエッグ!!」
「貴方は温泉卵ばかり食べてるだろうが。」
燃える様な真っ赤なクルンクルンした長い髪を振り乱して文句を言う男にグランヌスで1番の男が澄ました顔でソッポを向く。
「温泉卵の後に食べようとしてたの。
ノブタカ、酷いよ!」
どこの誰が、この国の国王と守護者である火龍が卵1つで言い合いをしていると思うのだろう。
「あっ。
我の酒!」
「いつの間にイオリの酒をくすねたのさ?
まだ、呑んじゃダメってソウビに言われてたでしょ。
代わりに飲んであげるね。」
戦いを終えて後宮に戻って来た一同は、泥のように眠りについた。
肉体的というより、精神的に負担がかかった戦いに疲れ果てたのだ。
翌日は穴だらけになった庭園に呆れながら、戦闘の後始末にあたった。
イオリは皆が作業の合間に食べられるようにと、スコルと共に料理の腕を振るっていた。
男子禁制の離宮も今や関係なく衛兵や使用人が出入りしている。
侍女達が手分けして働いている者達を休ませていた。
そんな中、これからグランヌスの城下町・・・温泉街の名物になるやも知れぬ温泉卵とスコッチエッグを巡ってホワイトキャビンのリルラとイケダ屋のカンスケ爺やの間で、静かな戦いが行われていた。
「8:2。」
「冗談でしょ?
せめて5は貰わないと。」
「アースガイルのホワイトキャビンと言ったら、公共事業に出資すると有名じゃないか。
この、離宮の有り様を見て折れてくれんか?」
「有り様って、もしかして所々にある穴のこと言ってます?
これって、グランヌス王家の私費から出す事案でしょう?
ホワイトキャビンの公共事業は民の為。
王家の庭の整備に使用する為のお金ではありません。」
「チッ。
しっかりしてやがるな。」
「こう見えても、カンスケ様よりも歳取ってますので。」
見た目は娘でもリルラもエルフ族である。
イオリも聞いた事はないが、どうやら思った以上に年上のようだった。
「ククク。
商売上手な親父殿がエルフ相手にやり込められておるわ。」
「でも、話がまとまれば、いつでも温泉卵やスコッチエッグが食べられるね。」
さっきまで、喧嘩していたはずの国王と火龍が互いに酒を注ぎ合いながらニヤニヤとしている。
国中に光の雨を降らせたラーヴァが人型に戻り、離宮にやってくると国王トウカ・ノブタカ・ショーグンは膝を付き首を垂れた。
存在を伝説と片付け、長年に渡り、守られている事を忘れていた事への謝罪と“魅了”から解放された事への感謝と敬意を示したのだ。
すると本来、人好きのラーヴァがノブタカに友人になる提案をしたのだ。
驚いたノブタカであったが、度々顔を出すと約束したラーヴァに気を良くし受け入れたのだ。
絶対神が遣わした守護者と国王が友人になった。
国にとっては慶事である。
肩を並べて酒盛りをする2人の姿の背後に腕を組んで睨む2人の女がいた。
「お前様。
酒を召し上がっておるのかえ?
まだ、完全に回復した訳ではないと殿医から言われてはいなかったか?
あれほどに心配させて、尚も謀るか。」
国王はビクリと振り返ろうとして、喉元に刀が突きつけられているのに気づいた。
「・・・あ。ソウビよ。
これはだな。
病い酒と言ってな。
病気を払う儀式だ。」
動揺しているノブタカに2人目の妻の嫌味な言葉が続いた。
「呆れた。
火龍様と呑みで比べても負けるに決まってるでしょうが。
やっぱり、馬鹿な男ね。
姉様。
馬鹿は放っておいて、子供達のところに戻りましょう。
ナギとニナが癒してくれると言っていたわ。」
「そうね。」
王妃に冷たい目で睨まれた上に、妻に嬉しそうに引っ付く側妃に馬鹿にされて不貞腐れる国王であった。
私のスコッチエッグ!!」
「貴方は温泉卵ばかり食べてるだろうが。」
燃える様な真っ赤なクルンクルンした長い髪を振り乱して文句を言う男にグランヌスで1番の男が澄ました顔でソッポを向く。
「温泉卵の後に食べようとしてたの。
ノブタカ、酷いよ!」
どこの誰が、この国の国王と守護者である火龍が卵1つで言い合いをしていると思うのだろう。
「あっ。
我の酒!」
「いつの間にイオリの酒をくすねたのさ?
まだ、呑んじゃダメってソウビに言われてたでしょ。
代わりに飲んであげるね。」
戦いを終えて後宮に戻って来た一同は、泥のように眠りについた。
肉体的というより、精神的に負担がかかった戦いに疲れ果てたのだ。
翌日は穴だらけになった庭園に呆れながら、戦闘の後始末にあたった。
イオリは皆が作業の合間に食べられるようにと、スコルと共に料理の腕を振るっていた。
男子禁制の離宮も今や関係なく衛兵や使用人が出入りしている。
侍女達が手分けして働いている者達を休ませていた。
そんな中、これからグランヌスの城下町・・・温泉街の名物になるやも知れぬ温泉卵とスコッチエッグを巡ってホワイトキャビンのリルラとイケダ屋のカンスケ爺やの間で、静かな戦いが行われていた。
「8:2。」
「冗談でしょ?
せめて5は貰わないと。」
「アースガイルのホワイトキャビンと言ったら、公共事業に出資すると有名じゃないか。
この、離宮の有り様を見て折れてくれんか?」
「有り様って、もしかして所々にある穴のこと言ってます?
これって、グランヌス王家の私費から出す事案でしょう?
ホワイトキャビンの公共事業は民の為。
王家の庭の整備に使用する為のお金ではありません。」
「チッ。
しっかりしてやがるな。」
「こう見えても、カンスケ様よりも歳取ってますので。」
見た目は娘でもリルラもエルフ族である。
イオリも聞いた事はないが、どうやら思った以上に年上のようだった。
「ククク。
商売上手な親父殿がエルフ相手にやり込められておるわ。」
「でも、話がまとまれば、いつでも温泉卵やスコッチエッグが食べられるね。」
さっきまで、喧嘩していたはずの国王と火龍が互いに酒を注ぎ合いながらニヤニヤとしている。
国中に光の雨を降らせたラーヴァが人型に戻り、離宮にやってくると国王トウカ・ノブタカ・ショーグンは膝を付き首を垂れた。
存在を伝説と片付け、長年に渡り、守られている事を忘れていた事への謝罪と“魅了”から解放された事への感謝と敬意を示したのだ。
すると本来、人好きのラーヴァがノブタカに友人になる提案をしたのだ。
驚いたノブタカであったが、度々顔を出すと約束したラーヴァに気を良くし受け入れたのだ。
絶対神が遣わした守護者と国王が友人になった。
国にとっては慶事である。
肩を並べて酒盛りをする2人の姿の背後に腕を組んで睨む2人の女がいた。
「お前様。
酒を召し上がっておるのかえ?
まだ、完全に回復した訳ではないと殿医から言われてはいなかったか?
あれほどに心配させて、尚も謀るか。」
国王はビクリと振り返ろうとして、喉元に刀が突きつけられているのに気づいた。
「・・・あ。ソウビよ。
これはだな。
病い酒と言ってな。
病気を払う儀式だ。」
動揺しているノブタカに2人目の妻の嫌味な言葉が続いた。
「呆れた。
火龍様と呑みで比べても負けるに決まってるでしょうが。
やっぱり、馬鹿な男ね。
姉様。
馬鹿は放っておいて、子供達のところに戻りましょう。
ナギとニナが癒してくれると言っていたわ。」
「そうね。」
王妃に冷たい目で睨まれた上に、妻に嬉しそうに引っ付く側妃に馬鹿にされて不貞腐れる国王であった。
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