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旅路 〜グランヌス・王宮〜
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しおりを挟む後宮の庭園で楽しげな声が聞こえていた。
事の始まりは、置いてけぼりにされた側妃アオイが不貞腐れているのを見かけたパティとニナが茶会をしようと声をかけた事から始まった。
「何これ、すごく美味しい。」
ケーキやクッキーなどが並んだテーブルを前に顔を綻ばせたアオイ妃は、食べた事のない茶菓子に喜んだ。
「イオリが作ってくれるおやつだよ。
みんなで一緒に食べたら、もっと美味しいよ。」
パティとニナにとって身分などお構いなしだ。
戸惑う侍女達にも大盤振る舞いをしている2人にアオイ妃は微笑んだ。
「王子や姫達は大丈夫?」
スコルが用意した適度な温度のミルクティは心を穏やかにさせてくれる。
「えぇ、ありがとう。
救出されて直ぐに診てくれた殿医の話では、衰弱をしていたけれど命に別状はないそうよ。
目が覚めたら、美味しい物を沢山食べさせたいわ。」
「すぐに贅沢な物を食べさせると、お腹壊すよ。
優しい味のものが良いよ。」
「なるほどね。
分かったわ。」
側で2人の話を微笑んで聞いていたナギの顔が強張った。
「どうした?」
気遣うスコルの腕をナギが掴んだ。
「誰かいる。」
緊迫したナギの警告にスコルとアオイ妃の判断は早かった。
「パティ、ニナ戻って!」
「曲者じゃ、武器を取れ!」
さすがグランヌスの後宮である。
隠密の精鋭達がすぐ様に武器を構えた。
姿の見えない敵を前にアオイ妃がナギに問いかけた。
「まことか?」
「うん。植物達が教えてくれた。」
顔をこわばらすナギの背をスコルがポンっと叩いた。
「それなら、間違いないよ。
植物達はナギの事が好きなんだ。」
そんな時だった。
ドガーンッ!!!
突如として大きな爆発音と共に分厚い雲が蔓延っていた空が、みるみるうちに晴れ渡っていった。
「・・・なんなの?」
驚愕で開いた口が塞がらない一同が次に目にしたのは、空を覆い尽くすほど大きな龍とドラゴンの姿だった。
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「ラーヴァとソルだね。」
スコルは嬉しそうにピョンピョン跳ねながら空に向かって手を振る妹達を優し目で見つめた。
「何が起こっておるのだ。」
離宮に行き、直接事態を確認したい欲求と戦うアオイ妃にスコルとナギが両方から袖を引っ張った。
「そんな場合じゃないよ。
敵はいなくなってないんだろ?
ナギ。」
「うん。
グランヌスは植物が少ないから彼らの声も小さいんだ。
その分、混じりっ気ない声が聞こえてくる。
まだ、危険だって教えてくれているよ。」
アオイ妃は真剣な2人の若い紳士の言葉に耳を傾ける事にした。
「無頼者がいる。
しかし、姿が見えない。
姿を眩ますスキル持ちか?」
「どうする?
相手の方が有利だね。」
スコルが問いかけるように見上げてくると、アオイ妃はニヤリとした。
「炙り出そう。」
懐から細い筒を取り出したアオイ妃を見たスコルはナギの手をとり、ゆっくりと後退りした。
「さぁ、隠れぼの時間だよ!」
楽しそうに細い筒をばら撒いていくアオイ妃の背後の至ることろで爆発が起きていった。
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