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旅路 〜グランヌス・王宮〜
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男は何者も目に入らずに震え続けていた。
「私に責任はない・・・これは何かの間違いだ・・・。」
絶体絶命の今尚、己の罪を認める事のないヨシノリ・アラキに宰相ケンショー・オオスギは憮然とした。
「見苦しい。
貴方には聞きたい事が山ほどあります。
せいぜい、覚悟しておく事です。」
宰相の蔑みの視線など、地獄を前にした男には効果などなかった。
他人を声を寄せ付けない男に国王の真っ直ぐな声が届いた。
「もしだ・・・もし、お前が預かり知らぬ事だとして、それが何だ?」
「・・・えっ?」
間抜けに顔を上げたヨシノリ・アラキは怒りに染まる王と目を合わせてしまった。
「だから何だと聞いているのだ。
お前がこの者を庇護し王城へ連れて来たのは多くの者が目にしている。
それだけでも国を混乱に貶めた一歩を踏んでいるではないか。
もう一度言おう。
知らぬから何だと言うのだ?
無知ならば無罪だとでも?
貴族の責任とは軽い物ではないぞ。」
どう転んでも自分は破滅すると悟りガクッと首を落とすヨシノリ・アラキを姫巫女は現実とは思えない気持ちで見つめていた。
__________
ヒビ割れた大地をフラフラと歩く少女は絶望していた。
此処は、かつては緑に覆われた美しい場所だったと大人達は言っていた。
今は掘っても掘っても雫の1つも出ない乾いた大地にすぎない。
大人達から与えられる食べ物は腹を満たしきれない子供達で奪い合うのも日常茶飯事だった。
現状を受け入れるしか出来ない幼子に差し伸べられる手はなかった。
必要ないものが淘汰されていく世界で、心に渦巻く飢えが少女を支配する。
狭く暗い部屋に押し込められ、大人達が儀式と呼ぶ何かを終えた日、少女は突然に“特別な子”となった。
怖かった大人達に笑顔を向けられ恐怖と喜びが混在した。
ーーー誰しもが、お前に愛を乞うだろう。
ーーーお前は神に選ばれた子だ。
世界を手に入れる事も出来る子だ。
それからは天国だった。
お腹の空く事もない、争いに巻き込まれる事もない。
少女の空っぽだった心が・・・飢えが満たされていった。
「私は特別な子。
神に選ばれ愛された子。
私が神より与えられた使命は世界中に愛の尊さを教える事。」
大人達に真綿に包むように大切に育てられた少女が、いつの間にか麗らかな娘となった頃。
ーーー時は来た。
貴方が神から与えられた使命は分かっていますね?
「この混沌とした時代に愛を与える事。
愛する事を忘れた人達を幸せで満たしてあげる事。」
娘の答えに満足した大人達は、世界を救う希望の娘を送りした。
共に行動するの娘の世話係となった女だった。
ーーーこれから向かうのは神に見放され太陽を失った国です。
救っておやりなさい。
少女が連れて来られた国は雲に覆われた薄暗い国だった。
「まぁ、怪我したの?
可哀想ね。」
娘が手を翳すと、転んだ子供の擦り傷が膝から傷が消えた。
「わぁ、凄い!
お姉ちゃん、ありがとう!」
走り去る子供を笑顔で見送る娘に人々の視線が集まっていた。
「凄えな姉ちゃん。」
「癒しのスキル持ちかい?」
「出来る事をしただけです。」
花咲く笑顔を向けた娘に街の者達は心を掴まれたように顔を赤らめた。
「なんて美しい娘だろう。
お嬢さん、お名前は?」
「セイン。
何かお困りな事がある方はご相談くださいね。」
心優しい占い師のセインの名が“グランヌス”の街に広まるまで時間はかからなかった。
「私に責任はない・・・これは何かの間違いだ・・・。」
絶体絶命の今尚、己の罪を認める事のないヨシノリ・アラキに宰相ケンショー・オオスギは憮然とした。
「見苦しい。
貴方には聞きたい事が山ほどあります。
せいぜい、覚悟しておく事です。」
宰相の蔑みの視線など、地獄を前にした男には効果などなかった。
他人を声を寄せ付けない男に国王の真っ直ぐな声が届いた。
「もしだ・・・もし、お前が預かり知らぬ事だとして、それが何だ?」
「・・・えっ?」
間抜けに顔を上げたヨシノリ・アラキは怒りに染まる王と目を合わせてしまった。
「だから何だと聞いているのだ。
お前がこの者を庇護し王城へ連れて来たのは多くの者が目にしている。
それだけでも国を混乱に貶めた一歩を踏んでいるではないか。
もう一度言おう。
知らぬから何だと言うのだ?
無知ならば無罪だとでも?
貴族の責任とは軽い物ではないぞ。」
どう転んでも自分は破滅すると悟りガクッと首を落とすヨシノリ・アラキを姫巫女は現実とは思えない気持ちで見つめていた。
__________
ヒビ割れた大地をフラフラと歩く少女は絶望していた。
此処は、かつては緑に覆われた美しい場所だったと大人達は言っていた。
今は掘っても掘っても雫の1つも出ない乾いた大地にすぎない。
大人達から与えられる食べ物は腹を満たしきれない子供達で奪い合うのも日常茶飯事だった。
現状を受け入れるしか出来ない幼子に差し伸べられる手はなかった。
必要ないものが淘汰されていく世界で、心に渦巻く飢えが少女を支配する。
狭く暗い部屋に押し込められ、大人達が儀式と呼ぶ何かを終えた日、少女は突然に“特別な子”となった。
怖かった大人達に笑顔を向けられ恐怖と喜びが混在した。
ーーー誰しもが、お前に愛を乞うだろう。
ーーーお前は神に選ばれた子だ。
世界を手に入れる事も出来る子だ。
それからは天国だった。
お腹の空く事もない、争いに巻き込まれる事もない。
少女の空っぽだった心が・・・飢えが満たされていった。
「私は特別な子。
神に選ばれ愛された子。
私が神より与えられた使命は世界中に愛の尊さを教える事。」
大人達に真綿に包むように大切に育てられた少女が、いつの間にか麗らかな娘となった頃。
ーーー時は来た。
貴方が神から与えられた使命は分かっていますね?
「この混沌とした時代に愛を与える事。
愛する事を忘れた人達を幸せで満たしてあげる事。」
娘の答えに満足した大人達は、世界を救う希望の娘を送りした。
共に行動するの娘の世話係となった女だった。
ーーーこれから向かうのは神に見放され太陽を失った国です。
救っておやりなさい。
少女が連れて来られた国は雲に覆われた薄暗い国だった。
「まぁ、怪我したの?
可哀想ね。」
娘が手を翳すと、転んだ子供の擦り傷が膝から傷が消えた。
「わぁ、凄い!
お姉ちゃん、ありがとう!」
走り去る子供を笑顔で見送る娘に人々の視線が集まっていた。
「凄えな姉ちゃん。」
「癒しのスキル持ちかい?」
「出来る事をしただけです。」
花咲く笑顔を向けた娘に街の者達は心を掴まれたように顔を赤らめた。
「なんて美しい娘だろう。
お嬢さん、お名前は?」
「セイン。
何かお困りな事がある方はご相談くださいね。」
心優しい占い師のセインの名が“グランヌス”の街に広まるまで時間はかからなかった。
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