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旅路 〜グランヌス・王宮〜
602 〜記念って何だろう〜 一方、その頃③
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ポーレット公爵による、若き伯爵の多少強引な受け入れに、野次馬を決め込んでいた周囲の貴族達は、自分達の立ち回りを、どうすべきか話し合っていた。
カラン♪カラン♪カラン♪
時を待っていたかのように鐘の音が鳴り響き、大広間の奥の扉が開くと王を筆頭に王子達が姿を現した。
両脇には宰相グレン・ターナーと大将軍ザックス・ヒルと副官であり王太子妃であるオーブリーが配置についた。
王家の錚々たる姿に集まった貴族達が一斉に頭を下げた。
「面を上げよ。」
数段高い場所に座る王の声に貴族達は顔を上げた。
次に声高に声を張り上げたのは宰相であるグレン・ターナーだった。
「お集まりの皆様に申し上げる。
我が国の各地にて、かつてない脅威が発生しています。
事はアースガイルの問題だけではありません。
国王は既に“デザリア”、“ルーシュピケ”そして“ミズガルド”と協力し総力戦を展開する決定を致しました。」
宰相の言葉に貴族達が不安を隠さずにザワザワと顔を見合わせる。
「鎮まれ。」
国王アルフレッド・アースガイルは王笏を手に立ち上がると一同を見渡した。
「敵は嘗ての悪夢である“エルフの里”じゃ。」
ーーー“エルフの里”
この言葉を聞き、納得し国王の言葉に耳を傾ける者と現実が見えずに恐怖で騒ぎ出す者がいた。
前者は、既に領地が“エルフの里”の厄災に見舞われた者や事情を察していた者達。
後者は、縁なく情報を知らずにいた者達だった。
「初代国王マテオが造りし我らが国・・・アースガイル。
再び混沌の時代に戻そうとする“エルフの里”。
互いに意見の一致を見出す事は不可能であろう。
先人達の努力と苦労。
そして、現在を生きる我らの未来を守る覚悟。
決して、奴らの思いのままにさせる訳にはいかん。
既に戦いは始まっておる。
国を守るぞ。」
ダンッ!
王笏を床に叩き付けたアルフレッドの気迫に気圧されていた貴族達が武者震いし始めるのに時間は掛からなかった。
「これ以上、奴らに好きにさせるな。
最前で戦う者達に国の心配をさせてはならん。
それぞれ戻り次第、己が領地の死守に励め!
何よりも領民の幸せを守るのだ。」
「「「「「おおおおぉぉぉぉ!!!」」」」」
領主達の雄叫びが地鳴りの様に足に響き、初めて目にしたクロワ・オンリールは怯えるようにキョロキョロした。
すると、オーウェン・グダスクが肩をガシッと組んで、クロワを見下ろす。
「怖気付いても良いんだ。
初代様が国を造られてから、度々、他国との諍いがあれど、今の時代に大きな戦いを経験している者など少ないさ。
だから、みんな声を上げるんだ。」
前を向いたままのテオルド・ドゥ・ポーレットの声が聞こえた。
「恐怖を忘れた者ほど、愚かな行動をする。
己の心すら知らぬから、人を傷つけても、騙しても平然と争いを起こそうとするのだ。
我らは民達の長として、彼らの苦しみや涙の理由を知らなければならない。
笑顔を守る為に、誰よりも荊の痛みを知らねばならないのだ。」
実際のところ、クロワには公爵の言った意味の半分も理解できていなかった。
でも、何かに命をかける事の大切さは分かった様な気がした。
「貴方の・・・そして御家族が愛した物を守る為に励みなさい。
そして、守る為にどうしたら良いのか、知恵を絞りなさい。
ますば、それで良いのです。
後は、大人に任せなさい。
我らアースガイルの大人達は民も含めて強いのですよ。」
優しく微笑むアナスタシア・ギロックに深く頷くクロワであった。
カラン♪カラン♪カラン♪
時を待っていたかのように鐘の音が鳴り響き、大広間の奥の扉が開くと王を筆頭に王子達が姿を現した。
両脇には宰相グレン・ターナーと大将軍ザックス・ヒルと副官であり王太子妃であるオーブリーが配置についた。
王家の錚々たる姿に集まった貴族達が一斉に頭を下げた。
「面を上げよ。」
数段高い場所に座る王の声に貴族達は顔を上げた。
次に声高に声を張り上げたのは宰相であるグレン・ターナーだった。
「お集まりの皆様に申し上げる。
我が国の各地にて、かつてない脅威が発生しています。
事はアースガイルの問題だけではありません。
国王は既に“デザリア”、“ルーシュピケ”そして“ミズガルド”と協力し総力戦を展開する決定を致しました。」
宰相の言葉に貴族達が不安を隠さずにザワザワと顔を見合わせる。
「鎮まれ。」
国王アルフレッド・アースガイルは王笏を手に立ち上がると一同を見渡した。
「敵は嘗ての悪夢である“エルフの里”じゃ。」
ーーー“エルフの里”
この言葉を聞き、納得し国王の言葉に耳を傾ける者と現実が見えずに恐怖で騒ぎ出す者がいた。
前者は、既に領地が“エルフの里”の厄災に見舞われた者や事情を察していた者達。
後者は、縁なく情報を知らずにいた者達だった。
「初代国王マテオが造りし我らが国・・・アースガイル。
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互いに意見の一致を見出す事は不可能であろう。
先人達の努力と苦労。
そして、現在を生きる我らの未来を守る覚悟。
決して、奴らの思いのままにさせる訳にはいかん。
既に戦いは始まっておる。
国を守るぞ。」
ダンッ!
王笏を床に叩き付けたアルフレッドの気迫に気圧されていた貴族達が武者震いし始めるのに時間は掛からなかった。
「これ以上、奴らに好きにさせるな。
最前で戦う者達に国の心配をさせてはならん。
それぞれ戻り次第、己が領地の死守に励め!
何よりも領民の幸せを守るのだ。」
「「「「「おおおおぉぉぉぉ!!!」」」」」
領主達の雄叫びが地鳴りの様に足に響き、初めて目にしたクロワ・オンリールは怯えるようにキョロキョロした。
すると、オーウェン・グダスクが肩をガシッと組んで、クロワを見下ろす。
「怖気付いても良いんだ。
初代様が国を造られてから、度々、他国との諍いがあれど、今の時代に大きな戦いを経験している者など少ないさ。
だから、みんな声を上げるんだ。」
前を向いたままのテオルド・ドゥ・ポーレットの声が聞こえた。
「恐怖を忘れた者ほど、愚かな行動をする。
己の心すら知らぬから、人を傷つけても、騙しても平然と争いを起こそうとするのだ。
我らは民達の長として、彼らの苦しみや涙の理由を知らなければならない。
笑顔を守る為に、誰よりも荊の痛みを知らねばならないのだ。」
実際のところ、クロワには公爵の言った意味の半分も理解できていなかった。
でも、何かに命をかける事の大切さは分かった様な気がした。
「貴方の・・・そして御家族が愛した物を守る為に励みなさい。
そして、守る為にどうしたら良いのか、知恵を絞りなさい。
ますば、それで良いのです。
後は、大人に任せなさい。
我らアースガイルの大人達は民も含めて強いのですよ。」
優しく微笑むアナスタシア・ギロックに深く頷くクロワであった。
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