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旅路 〜グランヌス・王宮〜
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「おう。」
まるで、フラッと酒場に来たかのように、片手を上げるとカンスケ爺やは慣れた様にソファーに腰を落とした。
「父上・・・中々の登場っぷりでございますね。」
「我が孫の出会いの引きの強さに驚いたわい。
店と此処が一瞬だぞ。」
「何と、それは・・・。」
嬉しそうな父の様子を見ていた王妃の羨ましげな目にナギはビクッとしてイオリの背後に隠れてしまった。
「・・・母上。」
帰ったら1番に挨拶をしようと意気込んでいたムネタカは、自分よりもナギのスキルに興味を惹かれた母に顔を顰めた。
「何も忘れていた訳ではない。
・・・お帰りなさい。」
普段は凛としているソウビ王妃は、柔らかな笑顔でムネタカを抱きしめた。
「ただいま戻りました。」
どこか恥ずかしそうに抱きしめ返したムネタカの様子を誰よりも涙を流して見ていたのは、側妃であるアオイであった。
「良かっだぁぁ。
ムネダカ、帰っでぎたぁぁ。」
力いっぱい揺すぶられているロクは、既に遠い目をしている。
「此処が、後宮?
よく分かんないな。」
「あっ、イオリとゼンちゃん発見!
おーい!」
移動してきた場所を観察するスコルの隣ではパティが飛び跳ねて手を振っている。
「本当に皆んな来ちゃったのか・・・。
折角、変装して潜り込んだのに。」
苦笑いのイオリにスコルが首を横に振った。
「ドワーフのオッサン達は嫌だって言うからイケダ屋に置いてきたよ。
後宮なんて行ったって、落ち着かないってさ。」
「イオリ、変装したの?
どんなの?どんなの?」
賑やかな双子の背後からヒューゴが顔を出した。
「爺さんも人が悪いよな。
後宮に来れる手段があるのに教えないなんて。」
ヒューゴは抱き上げていたニナを床に下ろすと笑った。
「いやいや、ヒューゴさん。
爺やさんが使った札って、購入すると蔵が潰れるらしいですよ。」
イオリの耳打ちにヒューゴが固まった。
「カッカカッ!
何事もよ。
使い時が肝心なのさ。
エルフの小僧のお陰で、危険なルートを使わずに済むんだ。
いくらでも蔵を潰してやるさ。」
ご機嫌に笑うカンスケ爺やをソウビ王妃は呆れた様に微笑んだ。
「仕方のない父上です。」
突如として家族が揃ったところで、ヒューゴがイオリに耳打ちをした。
「爺さん達、何で姫巫女がドワーフを攫って行ったか知らないそうだ。
イオリと合流したら教えるって言ってあるから説明してやってくれ。」
「・・・分かりました。
こっちも予想外な事が起こってますよ。
カルド枢機卿が拘束されてるそうです。」
「・・・はっ?」
ヒューゴも何で此処でカルド枢機卿の名前を聞く事になったのか分からぬようだった。
「テオさんに連絡したら、他国の要人を拘束しといて連絡もないとは何事かとお怒りでした。
王妃様達のお陰で、今は安全を確保されてると聞いてお礼を言ってましたよ。」
イオリの微笑みに、ソウビ王妃は安堵した様に頷いた。「」
「さてさて、面子も揃い始めたところで、ここいらで互いの情報を持ち合わねかい?」
ソファーに座っていたカンスケ爺やのギラついた瞳にイオリは吸い込まれる様に頷いた。
まるで、フラッと酒場に来たかのように、片手を上げるとカンスケ爺やは慣れた様にソファーに腰を落とした。
「父上・・・中々の登場っぷりでございますね。」
「我が孫の出会いの引きの強さに驚いたわい。
店と此処が一瞬だぞ。」
「何と、それは・・・。」
嬉しそうな父の様子を見ていた王妃の羨ましげな目にナギはビクッとしてイオリの背後に隠れてしまった。
「・・・母上。」
帰ったら1番に挨拶をしようと意気込んでいたムネタカは、自分よりもナギのスキルに興味を惹かれた母に顔を顰めた。
「何も忘れていた訳ではない。
・・・お帰りなさい。」
普段は凛としているソウビ王妃は、柔らかな笑顔でムネタカを抱きしめた。
「ただいま戻りました。」
どこか恥ずかしそうに抱きしめ返したムネタカの様子を誰よりも涙を流して見ていたのは、側妃であるアオイであった。
「良かっだぁぁ。
ムネダカ、帰っでぎたぁぁ。」
力いっぱい揺すぶられているロクは、既に遠い目をしている。
「此処が、後宮?
よく分かんないな。」
「あっ、イオリとゼンちゃん発見!
おーい!」
移動してきた場所を観察するスコルの隣ではパティが飛び跳ねて手を振っている。
「本当に皆んな来ちゃったのか・・・。
折角、変装して潜り込んだのに。」
苦笑いのイオリにスコルが首を横に振った。
「ドワーフのオッサン達は嫌だって言うからイケダ屋に置いてきたよ。
後宮なんて行ったって、落ち着かないってさ。」
「イオリ、変装したの?
どんなの?どんなの?」
賑やかな双子の背後からヒューゴが顔を出した。
「爺さんも人が悪いよな。
後宮に来れる手段があるのに教えないなんて。」
ヒューゴは抱き上げていたニナを床に下ろすと笑った。
「いやいや、ヒューゴさん。
爺やさんが使った札って、購入すると蔵が潰れるらしいですよ。」
イオリの耳打ちにヒューゴが固まった。
「カッカカッ!
何事もよ。
使い時が肝心なのさ。
エルフの小僧のお陰で、危険なルートを使わずに済むんだ。
いくらでも蔵を潰してやるさ。」
ご機嫌に笑うカンスケ爺やをソウビ王妃は呆れた様に微笑んだ。
「仕方のない父上です。」
突如として家族が揃ったところで、ヒューゴがイオリに耳打ちをした。
「爺さん達、何で姫巫女がドワーフを攫って行ったか知らないそうだ。
イオリと合流したら教えるって言ってあるから説明してやってくれ。」
「・・・分かりました。
こっちも予想外な事が起こってますよ。
カルド枢機卿が拘束されてるそうです。」
「・・・はっ?」
ヒューゴも何で此処でカルド枢機卿の名前を聞く事になったのか分からぬようだった。
「テオさんに連絡したら、他国の要人を拘束しといて連絡もないとは何事かとお怒りでした。
王妃様達のお陰で、今は安全を確保されてると聞いてお礼を言ってましたよ。」
イオリの微笑みに、ソウビ王妃は安堵した様に頷いた。「」
「さてさて、面子も揃い始めたところで、ここいらで互いの情報を持ち合わねかい?」
ソファーに座っていたカンスケ爺やのギラついた瞳にイオリは吸い込まれる様に頷いた。
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