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旅路 〜グランヌス・王宮〜
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しおりを挟む「・・・揺れた。」
「グラグラしたね。」
「今のが地震?地揺れとは違うんだね。」
「怖い。」
感じたことのない揺れに子供達は瞬時にヒューゴの下に集まった。
「フッ。
子供とは実に面白い、危険を察知すれば、速やかに安全な場所を心得ている。」
カンスケ翁やが楽しそうに笑った。
「おい、怖がる事はない。」
「今のは火龍様が笑った揺れだ。」
「怒ってる時の揺れは、もっと凄い。」
「いつもの事さ。」
腹を突き出し余裕の笑みを浮かべたのはドワーフ達だった。
「火龍が笑うと地震が起きるの?」
不思議そうなスコル肩を組むとクッターが火山を指差した。
それは火山から流れる溶岩が、闇夜の中で明るく目立つ姿だった。
「見ろ。
綺麗な溶岩の川が見えるだろう?
火龍様は溶岩の風呂が好きで、お気に入りの溶岩溜まりを巡っているらしい。
火龍様の機嫌に火山が共鳴するんだって、ワシの爺さんが言っていた。」
ガトが「よっ。」と立ち上がると踊り出す。
「ドンドン♪ ドドン♪ ドンドドン♪
ドンドン♪ ドドン♪ ドンドドン♪
歌えや♪呑めや♪ 笑えや♪踊れ♪
地響きあれば♪やって来る♪
大きな仲間がやって来る♪
ドンドン♪ ドドン♪ ドンドドン♪
ドンドン♪ ドドン♪ ドンドドン♪」
それに合わせて、アシノとクッターがやんや、やんやと手拍子を始めた。
「ドワーフって奴はしょーがねーなぁ。」
カンスケ爺やは苦笑をして首を振った。
「喧しいったら、ありゃしねぇ。
だが、それがグランヌスのドワーフだ。
奴らの声が聞こえなくなったのが、寂しくてならねよ。」
カンスケ爺やはズズっと茶を啜った。
「王宮の役人の命令を拒否したら、連れ去られたって聞きました。」
ヒューゴの言葉にカンスケ爺やは顔を顰めた。
「ドワーフ使って、一体何がしてーのやら・・・。」
カンスケ爺やの呟きにクッターとヒューゴがチラリと顔を見合わせた。
「目的は分かってます。
イオリが帰ってきたら、お話ししましょう。」
ヒューゴの言葉にカンスケ爺やは瞳をギラつかせ口元を緩めた。
「慎重なのは良い事だぜ。
お前さんも、なかなか見どころがある。」
黙って頭を下げるヒューゴをニナが満足そうに見上げた。
「兄様が褒められました!」
ニナの頭を優しく撫でるヒューゴの腕をナギが突っついた。
「どうした?」
「思ったんだけどさ。
僕が一緒に行ったら、いつでも後宮に行けるようになってたんじゃない?」
ナギの言葉にヒューゴと他の子供達の声が重なった。
「「「「あっ。」」」」
イオリの後悔は、コチラでも同じ考えに至ったようだ。
「なんだい。坊主。
そんな事が出来んのかい?」
興味深かそうに見つめるカンスケ爺やにナギがコクンと頷いた。
「この距離なら、1度行けばスキルで自由に行き来が出来るんだ。」
「はっ!
瞬間移動のスキル持ちかい?
面白れぇな。
よし、行ってこい!」
膝を叩いて笑うカンスケ爺やの言葉にヒューゴ達は「へっ?」と間抜けな声を出したのだった。
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