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旅路 〜グランヌス〜
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夜に浮かぶ朱色の光が玉の様に浮かび上がる不思議な光景を子供達は口をポカンと開けて見上げていた。
「ここがグランヌス・・・。」
長い城壁の向こうに見える光は人の視線を惹きつける。
それでいて城壁の上には、しっかりと監視が歩いていて、堅固な守りを築いているのが分かる。
「あれが大門です。」
トージが示す方には真っ黒な大きな門が聳え立っていた。
その前には、入国を待つ人々がズラリと並んでいる。
「結局は大門を通らないとなりません。
現在のグランヌスは出入国に関して目を光らせているんです。。
特にムネタカ様の入国は厳しく監視されています。」
分かっていると、頭巾を被ったムネタカをパティが心配そうに見上げた。
「えー、それじゃ入れないの?」
「大丈夫だ。
既に、仕込みは済んでいる。
みんなは堂々としていてくれ。」
トージは隠密の姿から着替えると朱色の半纏を羽織った。
「行くぞ。」
トージを先頭に大門に近づいていくと、一行は長い列を横目に足早に通り過ぎた。
「おぉ、“イケダ屋”の。
遠くに住んでいる親戚ってのは見つかったのかい?」
大門での検閲で衛兵に声を掛けられると、トージは腰を落とし、先程とは違う高い声で返事をした。
「へぇ。旦那。
何とか合流出来やしたよ。
遅くまでご苦労様です。
少ないですが、皆さんで使って下さい。」
ペコペコと頭を下げ、懐に何かを入れたトージに衛兵がニヤリとした。
「まぁ、子供達も疲れた事だろう。
休ませてやれよ。」
「へぇ。
お気遣い有難うございます。
みんな、行くぞ。」
大門を通り過ぎようとした時だった。
「おや、兄さんも親戚かい?」
徐に衛兵がロクに声を掛けた。
足を止めた一同に緊張が走る。
「はい。」
「そうかい。
俺にも、お前さんに似た知り合いがいるんだ。
鼻垂れだがな。
街は酔っ払いが多い。
気をつけてな。」
「有難うございます。」
ロクは微笑むと前に進んだ。
グランヌスの街に入る事に成功すると、トージは薄暗い方に一同を誘った。
「トージさん。
今のは?」
想像よりも簡単に入国できた事をイオリは不思議に思った。
「賄賂・・・と言っても良いんですが、今の衛兵は隠密の1人です。
こんな時の為に数人を潜り込ませています。」
成程っと頷いたイオリの隣でロクが不満そうに膨れている。
「あいつ、俺の事を鼻垂れと言いやがった。
揶揄って楽しんでたんッスよ。」
「アレって、そう言う事だったんですね。
それじゃ、酔っ払いが多いって言うのは?」
ロクは辺りを伺うと、イオリの質問に答えた。
「“魅了”に掛かってる奴が監視しているって事でしょう。
見て下さい。
アレが巡回している“魅了”に掛かった衛兵ッス。」
首を伸ばして見ると、来る時に河原にいた見張りと同じ制服を身につけた2人組の男達が歩いているのが見えた。
その顔は厳しく、睨め付けながら練り歩く姿に住人達も避けている。
「随分と目立つ衛兵だな。」
街を見守るアースガイルの衛兵と比べると、グランヌスの衛兵は威嚇している。
ヒューゴが不思議そうな顔をすると頭巾を被ったムネタカが囁いた。
「通常は、あれも悪さをする者達の牽制になるんですが、今は“魅了”の所為で理性が効かずに横暴にもなっている様です。」
話に夢中になる前にロクが先を急かす。
「さぁ、見つかる前に移動するッスよ。
トージさんの後をついて行って下さい。
早いところ“イケダ屋”に向かうッス。」
先頭にいたトージは周囲を確認すると、明るい町並みとは反対に暗い裏道に向かって行くのだった。
「ここがグランヌス・・・。」
長い城壁の向こうに見える光は人の視線を惹きつける。
それでいて城壁の上には、しっかりと監視が歩いていて、堅固な守りを築いているのが分かる。
「あれが大門です。」
トージが示す方には真っ黒な大きな門が聳え立っていた。
その前には、入国を待つ人々がズラリと並んでいる。
「結局は大門を通らないとなりません。
現在のグランヌスは出入国に関して目を光らせているんです。。
特にムネタカ様の入国は厳しく監視されています。」
分かっていると、頭巾を被ったムネタカをパティが心配そうに見上げた。
「えー、それじゃ入れないの?」
「大丈夫だ。
既に、仕込みは済んでいる。
みんなは堂々としていてくれ。」
トージは隠密の姿から着替えると朱色の半纏を羽織った。
「行くぞ。」
トージを先頭に大門に近づいていくと、一行は長い列を横目に足早に通り過ぎた。
「おぉ、“イケダ屋”の。
遠くに住んでいる親戚ってのは見つかったのかい?」
大門での検閲で衛兵に声を掛けられると、トージは腰を落とし、先程とは違う高い声で返事をした。
「へぇ。旦那。
何とか合流出来やしたよ。
遅くまでご苦労様です。
少ないですが、皆さんで使って下さい。」
ペコペコと頭を下げ、懐に何かを入れたトージに衛兵がニヤリとした。
「まぁ、子供達も疲れた事だろう。
休ませてやれよ。」
「へぇ。
お気遣い有難うございます。
みんな、行くぞ。」
大門を通り過ぎようとした時だった。
「おや、兄さんも親戚かい?」
徐に衛兵がロクに声を掛けた。
足を止めた一同に緊張が走る。
「はい。」
「そうかい。
俺にも、お前さんに似た知り合いがいるんだ。
鼻垂れだがな。
街は酔っ払いが多い。
気をつけてな。」
「有難うございます。」
ロクは微笑むと前に進んだ。
グランヌスの街に入る事に成功すると、トージは薄暗い方に一同を誘った。
「トージさん。
今のは?」
想像よりも簡単に入国できた事をイオリは不思議に思った。
「賄賂・・・と言っても良いんですが、今の衛兵は隠密の1人です。
こんな時の為に数人を潜り込ませています。」
成程っと頷いたイオリの隣でロクが不満そうに膨れている。
「あいつ、俺の事を鼻垂れと言いやがった。
揶揄って楽しんでたんッスよ。」
「アレって、そう言う事だったんですね。
それじゃ、酔っ払いが多いって言うのは?」
ロクは辺りを伺うと、イオリの質問に答えた。
「“魅了”に掛かってる奴が監視しているって事でしょう。
見て下さい。
アレが巡回している“魅了”に掛かった衛兵ッス。」
首を伸ばして見ると、来る時に河原にいた見張りと同じ制服を身につけた2人組の男達が歩いているのが見えた。
その顔は厳しく、睨め付けながら練り歩く姿に住人達も避けている。
「随分と目立つ衛兵だな。」
街を見守るアースガイルの衛兵と比べると、グランヌスの衛兵は威嚇している。
ヒューゴが不思議そうな顔をすると頭巾を被ったムネタカが囁いた。
「通常は、あれも悪さをする者達の牽制になるんですが、今は“魅了”の所為で理性が効かずに横暴にもなっている様です。」
話に夢中になる前にロクが先を急かす。
「さぁ、見つかる前に移動するッスよ。
トージさんの後をついて行って下さい。
早いところ“イケダ屋”に向かうッス。」
先頭にいたトージは周囲を確認すると、明るい町並みとは反対に暗い裏道に向かって行くのだった。
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