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旅路〜グランヌス(渓谷・渓流)〜

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 “パライソの森”で伝説の生き物を目にしてしまったロクは、イオリの突飛にも聞こえる言葉を信じるざるえなかった。

「元々、俺達の旅の目的は“天空の守護者・ソライヤ”に会う事でした。」

「天空の守護者。
 まさか・・・。」
 
「はい。
 白銀の体を持った美しいドラゴンですよ。
 アースガイルに存在した“天空のダンジョン”の最終部屋の主だったんです。
 でも、“エルフの里の戦士”がダンジョンを消滅させてしまったので行方が分からなくなってしまった。
 どうしても、会う必要があったから同じドラゴンである“グランヌス”の火龍に会って、ソライヤの情報を聞きたいんです。」

 ざっと説明を終えるとイオリはドワーフ達を見つめた。。

「火龍に会えるでしょうか?」

 4人のドワーフは戸惑うように互いに視線を交わした。

「火龍様を見た者など、100年はいないぞ。」
「収穫祭にも現れない・・・。」
「火山には誰も近づかないし・・・。」
「いるんだぞ。火龍様はいるんだぞ。」

 徐々に悲しそうな顔になってしまったドワーフ達は恨めしそうにロクを睨みつけた。

「分かったってば!
 火龍様は存在する!
 でも、会うのは難しいんでしょ?」

 慌てて火龍を肯定するロクに納得したのかドワーフ達は揃って頷いていた。

「イオリさん。
 ジジィに情報を集めて貰いましょうか?」

「それじゃ、直接お会いしたいですね。
 流石に簡単には信じてくれないでしょう?」

「・・・確かに。」

 ロクは顔を顰める“イケダ屋”の主人を思い出し、渋い顔で頷いた。

「危険は無いって分かったんです。
 戻って、皆んなと合流しましょう。」

「了解ッス。」

 ロクがスクっと立ち上がると、ドワーフ達が覆い被ってきた。

「「「「どりゃぁぁぁ!!」」」」

「うおっ!
 なんだよ!?」

 ロクは足にしがみ付いているドワーフ達を驚いた様に睨みつけた。

「本当に“グランヌス”に向かうのか?
 ワシ等も連れてけ!」
「火龍様にも会いに行くのだろう?」
「ワシ等だけじゃ、怖くて帰れない・・・。」
「連れてってぇ。」
 
「えぇぇ・・・。」

 ドワーフ達は面倒臭そうな顔をするロクではなく、次にイオリを涙目で見つめた。

 困ったイオリは、どうすべきか考えた。

「今の“グランヌス”が危険なのは4人の方が分かってますよね?
 それでも帰りたいですか?」

コクコクコク

 4人のドワーフは縋る様に頷いた。

「俺達は危険な旅はしません。
 危険があったら指示に従ってくれますか?」

コクコクコク

 再び頷くドワーフにイオリは耐えられずに吹き出した。

「アハハ。
 良いですよ。一緒に行きましょう。
 俺達の仲間と仲良くして下さいね。」

「しょうがないッスねぇ。」

 諦めたように天井を仰ぐロクの足をドワーフ達は満足そうにパンパンと叩いた。

「よし。
 これからは旅仲間だ。」
「お前も仲間と認めてやる。」
「ワシ等を守れよ。」
「弱いんだからな。
 ワシ等はすぐに泣くぞ。」

「・・・イオリさん。
 考え直しません?」

 不貞腐れるロクに構うことなく旅支度を始めたドワーフを見て、イオリはゲラゲラと笑うのだった。
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