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旅路〜グランヌス(渓谷・渓流)〜
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散々騒いだ4人のドワーフは疲弊して息も絶え絶えにグッタリしていた。
「どれだけ騒ぐんだよ。」
ロクは4人のドワーフを呆れたように見下ろした。
「“グランヌス”から逃げてきたって言ってたから、気が張ってたんじゃないですか?」
イオリはドワーフ達の竈門を借りて湯を沸かすと腰バックからカモミールを取り出しお茶を淹れ始めた。
「・・・ん?」
1人のドワーフは起き上がるとイオリに目を向けた。
「何をしておる?」
「気分が落ち着くお茶を淹れてます。
随分、叫んだから疲れたでしょう。」
気を使うイオリに、もう1人のドワーフは鼻を鳴らした。
「フンっ。
何とでもない。」
憎まれ口を叩くドワーフにも構わずイオリは微笑むと湯気立つカップを並べた。
「どうぞ。」
「・・・うむ。」
言葉少なくハーブティーを口にするとドワーフ達の中の1人がイオリを見上げた。
「・・・お主は精霊に好かれとるな。」
「俺ですか?
見えるんですか?」
「見えんのか?
それで、好かれとるのか・・・。
そうか。
お前は良い奴なんだろう。」
そのドワーフは次に洞穴の壁に背を預けているロクに目を向けた。
「・・・お前は“グランヌス”の者だろう。
本当にワシ等を探しに来たのではないのか?」
「それは俺の方が聞きたいッス。
何をして国から逃げてきたんッスか?
俺達は、今“グランヌス”を目指しているッスよ。」
ロクの返事にドワーフの男達は眉を顰め目を見合わせた。
「悪い事は言わん。
今の“グランヌス”に帰るのはやめておけ。」
「姫巫女ですか?」
遠慮なくイオリが聞けばドワーフ達は目を大きく見開いた。
「大きな声で言ってはいかん!
何処に目があり耳があるとも限らんからな。」
慌てたドワーフ達であったが諦めたように1人が話し始めた。
「ワシ等“グランヌス”のドワーフは刀が作れたら、それで幸せなのだ。
火山に囲まれた“グランヌス”は上質な鉱石と火の精霊のお陰で良い刀が出来上がる。
ある日、ワシ等の工房に国の役人を名乗る者達がやってきて探し物があると言っていた。
その探し物の当てが無いと分かると、役人達は次に刀を作れと言ってきた。
何本作ろうが突き返されて、昼夜と働かされる職人達が疲弊していってもお構いなしだ。
ついに、無理難題を押し付けてくる役人にワシ等ドワーフ達は抗議したのだ。
すると、次の日から1人また1人と工房のドワーフが姿を消し始めたのだ。
残った刀鍛治はワシ等4人だけだ。
我慢できなくなったワシ等は国を出ざる得なくなった。」
話を聞いていたドワーフの1人はゆっくりと頭を横に振った。
「仲間達を置いて逃げ出したワシ等にも役目がある。
炉の火を守る事だ。
それが先人達からの教えだ。」
ドワーフの男の視線に竈門で揺れる火があった。
彼らは逃げる中で長く続く火を消す事なく守っていたのだ。
「今の国は怪しげな力が蔓延っていて落ち着かない。
かと言って、火山から離れれば火の精霊の力が弱まってしまう。」
ドワーフ達は愛おしそうに竈門の火を見つめるのだった。
「どれだけ騒ぐんだよ。」
ロクは4人のドワーフを呆れたように見下ろした。
「“グランヌス”から逃げてきたって言ってたから、気が張ってたんじゃないですか?」
イオリはドワーフ達の竈門を借りて湯を沸かすと腰バックからカモミールを取り出しお茶を淹れ始めた。
「・・・ん?」
1人のドワーフは起き上がるとイオリに目を向けた。
「何をしておる?」
「気分が落ち着くお茶を淹れてます。
随分、叫んだから疲れたでしょう。」
気を使うイオリに、もう1人のドワーフは鼻を鳴らした。
「フンっ。
何とでもない。」
憎まれ口を叩くドワーフにも構わずイオリは微笑むと湯気立つカップを並べた。
「どうぞ。」
「・・・うむ。」
言葉少なくハーブティーを口にするとドワーフ達の中の1人がイオリを見上げた。
「・・・お主は精霊に好かれとるな。」
「俺ですか?
見えるんですか?」
「見えんのか?
それで、好かれとるのか・・・。
そうか。
お前は良い奴なんだろう。」
そのドワーフは次に洞穴の壁に背を預けているロクに目を向けた。
「・・・お前は“グランヌス”の者だろう。
本当にワシ等を探しに来たのではないのか?」
「それは俺の方が聞きたいッス。
何をして国から逃げてきたんッスか?
俺達は、今“グランヌス”を目指しているッスよ。」
ロクの返事にドワーフの男達は眉を顰め目を見合わせた。
「悪い事は言わん。
今の“グランヌス”に帰るのはやめておけ。」
「姫巫女ですか?」
遠慮なくイオリが聞けばドワーフ達は目を大きく見開いた。
「大きな声で言ってはいかん!
何処に目があり耳があるとも限らんからな。」
慌てたドワーフ達であったが諦めたように1人が話し始めた。
「ワシ等“グランヌス”のドワーフは刀が作れたら、それで幸せなのだ。
火山に囲まれた“グランヌス”は上質な鉱石と火の精霊のお陰で良い刀が出来上がる。
ある日、ワシ等の工房に国の役人を名乗る者達がやってきて探し物があると言っていた。
その探し物の当てが無いと分かると、役人達は次に刀を作れと言ってきた。
何本作ろうが突き返されて、昼夜と働かされる職人達が疲弊していってもお構いなしだ。
ついに、無理難題を押し付けてくる役人にワシ等ドワーフ達は抗議したのだ。
すると、次の日から1人また1人と工房のドワーフが姿を消し始めたのだ。
残った刀鍛治はワシ等4人だけだ。
我慢できなくなったワシ等は国を出ざる得なくなった。」
話を聞いていたドワーフの1人はゆっくりと頭を横に振った。
「仲間達を置いて逃げ出したワシ等にも役目がある。
炉の火を守る事だ。
それが先人達からの教えだ。」
ドワーフの男の視線に竈門で揺れる火があった。
彼らは逃げる中で長く続く火を消す事なく守っていたのだ。
「今の国は怪しげな力が蔓延っていて落ち着かない。
かと言って、火山から離れれば火の精霊の力が弱まってしまう。」
ドワーフ達は愛おしそうに竈門の火を見つめるのだった。
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