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旅路〜グランヌス(渓谷・渓流)〜
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「次は、あの岩ね。」
「オッケー。」
「ニナ、一緒に行こうか。」
「うん。」
渓流を歩く子供達は安全な岩を探し出しては、ピョンと飛び乗って移動をしていた。
・・・いや、遊びを楽しんでいた。
「本当に元気ッスねぇ。」
頭で手を組みながらロクが笑う。
「敵陣に向かうと言うのに、気持ちに余裕があるのは子供達のお陰だな。」
ムネタカは心から感謝していた。
「アイツらは“明けない魔の森”を庭の様に歩き回ってましたからね。」
「本当に信じられない話だ。」
ヒューゴとムネタカは顔を見合わせて笑った。
和やかに、険しい道を進んでいるとゴヴァンが振り返った。
「ラックです。
あの辺りの安全を確認したようですね。」
大きな岩にラックが飛び跳ねてる姿があった。
先行して安全を確認してくれる彼らの存在に大いに助けられていた。
「エイミー達の事聞いたよ。
本当に良かった。」
ラックはゴヴァンと喜びを分かち合うとイオリに笑顔を向けた。
「この辺に人の気配はしないよ。
少し水温も上がってきたみたい。
次のエリアにはホワンが待ってるはずだよ。」
「ご苦労様。」
イオリは辺りを見渡した。
ラックの言う通り、水温や気温高いのだろう。
下流よりも木々の成長が良い。
木の幹も太く、しっかりしている。
イオリはヒューゴに合図をすると木に登り始めた。
上流に行けば行くほど、岩がデコボコしていて、苔なども確認できる。
曲がりくねった川の奥は、まだ緑が生い茂り、人が隠れている可能性も高い。
確かに近くには人の気配はないようだったが、イオリの青い目が煌めいた。
少し離れた所に生体反応が見え隠れしている。
「何かいる。」
イオリの言葉にラックが驚いたように木に登ってきた。
「おかしいな。
ちゃんと確認したのに・・・。」
失敗したかと悔しがるラックの頭をイオリが撫でた。
「上手に隠れているみたい。
俺も一瞬見えただけだから。」
「人か?」
下からヒューゴの声が聞こえた。
「恐らく・・・。
何らかの魔道具で姿を消しているのかもしれないですね。
確認してきます。
ゼン。」
『うん!』
ゼンが嬉しそうに飛び出てくるとロクが手を挙げた。
「俺も行くっス。
敵かどうかの確認が必要でしょ?」
イオリの鑑定眼があるから、問題ないのだがロクの申し出に頷いた。
「皆んなは先に進んで下さい。
上流に苔が見え始めたから滑りやすくなってるはずです。」
音もなく消えていったイオリとロクを見送るとヒューゴはムネタカ達を促した。
「さぁ、進むぞ。
ゼンがいるんだ。
すぐに追いついてくるさ。」
疑う様子もなく子供達は前を向いた。
「次に目指すはホワンだって!
進めー!」
一際元気なパティが楽しそうに岩を飛び越えて行く。
「転ぶなよー。」
「はーい。
あっ・・・。」
「パティ!!」
ツルッと滑ったパティが川の方へ姿を消していった・・・。
「オッケー。」
「ニナ、一緒に行こうか。」
「うん。」
渓流を歩く子供達は安全な岩を探し出しては、ピョンと飛び乗って移動をしていた。
・・・いや、遊びを楽しんでいた。
「本当に元気ッスねぇ。」
頭で手を組みながらロクが笑う。
「敵陣に向かうと言うのに、気持ちに余裕があるのは子供達のお陰だな。」
ムネタカは心から感謝していた。
「アイツらは“明けない魔の森”を庭の様に歩き回ってましたからね。」
「本当に信じられない話だ。」
ヒューゴとムネタカは顔を見合わせて笑った。
和やかに、険しい道を進んでいるとゴヴァンが振り返った。
「ラックです。
あの辺りの安全を確認したようですね。」
大きな岩にラックが飛び跳ねてる姿があった。
先行して安全を確認してくれる彼らの存在に大いに助けられていた。
「エイミー達の事聞いたよ。
本当に良かった。」
ラックはゴヴァンと喜びを分かち合うとイオリに笑顔を向けた。
「この辺に人の気配はしないよ。
少し水温も上がってきたみたい。
次のエリアにはホワンが待ってるはずだよ。」
「ご苦労様。」
イオリは辺りを見渡した。
ラックの言う通り、水温や気温高いのだろう。
下流よりも木々の成長が良い。
木の幹も太く、しっかりしている。
イオリはヒューゴに合図をすると木に登り始めた。
上流に行けば行くほど、岩がデコボコしていて、苔なども確認できる。
曲がりくねった川の奥は、まだ緑が生い茂り、人が隠れている可能性も高い。
確かに近くには人の気配はないようだったが、イオリの青い目が煌めいた。
少し離れた所に生体反応が見え隠れしている。
「何かいる。」
イオリの言葉にラックが驚いたように木に登ってきた。
「おかしいな。
ちゃんと確認したのに・・・。」
失敗したかと悔しがるラックの頭をイオリが撫でた。
「上手に隠れているみたい。
俺も一瞬見えただけだから。」
「人か?」
下からヒューゴの声が聞こえた。
「恐らく・・・。
何らかの魔道具で姿を消しているのかもしれないですね。
確認してきます。
ゼン。」
『うん!』
ゼンが嬉しそうに飛び出てくるとロクが手を挙げた。
「俺も行くっス。
敵かどうかの確認が必要でしょ?」
イオリの鑑定眼があるから、問題ないのだがロクの申し出に頷いた。
「皆んなは先に進んで下さい。
上流に苔が見え始めたから滑りやすくなってるはずです。」
音もなく消えていったイオリとロクを見送るとヒューゴはムネタカ達を促した。
「さぁ、進むぞ。
ゼンがいるんだ。
すぐに追いついてくるさ。」
疑う様子もなく子供達は前を向いた。
「次に目指すはホワンだって!
進めー!」
一際元気なパティが楽しそうに岩を飛び越えて行く。
「転ぶなよー。」
「はーい。
あっ・・・。」
「パティ!!」
ツルッと滑ったパティが川の方へ姿を消していった・・・。
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