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旅路〜グランヌス(渓谷・渓流)〜
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『イオリ!見て見て!
魚! 魚が泳いでる♪』
ゼンが楽しそうにはしゃいでいる。
朝食を終えて、素早く準備をした一行は渓谷を降りる道を一気に駆け降りてきた。
狙われたら隠れる場所がないと言うのが大きな理由だったが、朝早くから体を動かした双子が大人と競うように激走した事が結果、予想よりも早く降りる事が出来た要因だった。
「どれどれ?
雨で水量が上がったって聞いてたから、水が濁ってるかと思ってたけど、想像以上に透明度が高いな。」
ゼンの頭ごしに川を見つめたイオリはコートを引っ張ってくるニナを抱き上げた。
「どうした?」
「あれ大丈夫?」
ニナの小さな指が示す方を視線を向けると、疲弊した双子やロクとムネタカが乱雑に並ぶ岩に背を預け、呼吸を荒くしていた。
「まぁ、真っ直ぐな道ならまだしも、整頓されてない下り坂を休みなく走り続けてたからね。
もう少し、そっとしておこう。」
アウラに乗っていたニナには分からないが、徐々に体力と筋力が奪われていったらしい。
天を仰いでいる4人を放置すると、イオリは辺りを見渡した。
上から見下ろしていたよりも木々は多く、所々の岩肌から水が噴き出ていた。
「雨の次の日に見られる光景の様ですよ。」
振り向けば背後から声をかけてきたゴヴァンが微笑んでいた。
「滝みたいですね。
飛沫が太陽の光に反射して虹が見えてます。」
イオリが教えると、ニナはキャッキャと楽しそうに指さした。
「あれ、美味しそう。
きっと、甘いんだよ。」
虹を甘いと言うニナにイオリは笑い出した。
「それは、俺も作るの難しいな。
代わりに飴をどーぞ。」
腰バックから飴を取り出すとニナの口に放り込んだ。
「美味しい~。
イオリ、ありがとう。」
イオリはニナを下ろすと小さな袋を渡した。
「みんなにも食べさせてあげて。
糖分は疲れを癒すから。」
「うん。
はい。ゴヴァンさんもどうぞ。」
ゴヴァンに飴を渡すと、トテトテと走っていくニナをイオリとゴヴァンは優し気な顔で見送った。
「今のところ人影はありません。
やはり、雨の翌日は川に近づかないのでしょう。
こちらも川には気を使わないといけませんが、少し上流を見てきたところ進んでも問題なさそうです。」
一足先に渓流に降りてきていたゴヴァンは飴を口にし、顔を綻ばした。
「見渡すと、思ったより緑が多くて視界を遮れるのが良いですが、生息している木々の枝が細くて登る事は出来なそうですね。」
人の動向を探るのに木の上を利用するのは敵だけではなくイオリも同じ事だった。
「少し上には幹が太い木々も見受けられましたよ。
それでも上流にいけば行く程、岩だらけになりますが・・・。」
エルフであるゴヴァンも植物を愛している。
これから進む“グランヌス”は活火山に囲まれた国だ。
国全体が熱に覆われ、噴き出すガスが植物の成長を止めている。
「進む先は川の温度も高くなり、魚なども寄りつきません。」
魚との戯れを楽しむゼンを見てゴヴァンは気の毒そうに苦笑した。
聞けば聞くほどに進む道は険しそうだ。
「復活っ!!」
飴で頬を膨らませたパティがピョンピョンと飛び跳ねている横でロクとムネタカが呆れた様に見上げていた。
「まぁ、何とかなりますよ。」
大きな敵に対し1人で立ち向かう訳ではない。
イオリは進むべき方角をジッと見つめた。
・・・その視線を1人の女が感じ取っていた。
魚! 魚が泳いでる♪』
ゼンが楽しそうにはしゃいでいる。
朝食を終えて、素早く準備をした一行は渓谷を降りる道を一気に駆け降りてきた。
狙われたら隠れる場所がないと言うのが大きな理由だったが、朝早くから体を動かした双子が大人と競うように激走した事が結果、予想よりも早く降りる事が出来た要因だった。
「どれどれ?
雨で水量が上がったって聞いてたから、水が濁ってるかと思ってたけど、想像以上に透明度が高いな。」
ゼンの頭ごしに川を見つめたイオリはコートを引っ張ってくるニナを抱き上げた。
「どうした?」
「あれ大丈夫?」
ニナの小さな指が示す方を視線を向けると、疲弊した双子やロクとムネタカが乱雑に並ぶ岩に背を預け、呼吸を荒くしていた。
「まぁ、真っ直ぐな道ならまだしも、整頓されてない下り坂を休みなく走り続けてたからね。
もう少し、そっとしておこう。」
アウラに乗っていたニナには分からないが、徐々に体力と筋力が奪われていったらしい。
天を仰いでいる4人を放置すると、イオリは辺りを見渡した。
上から見下ろしていたよりも木々は多く、所々の岩肌から水が噴き出ていた。
「雨の次の日に見られる光景の様ですよ。」
振り向けば背後から声をかけてきたゴヴァンが微笑んでいた。
「滝みたいですね。
飛沫が太陽の光に反射して虹が見えてます。」
イオリが教えると、ニナはキャッキャと楽しそうに指さした。
「あれ、美味しそう。
きっと、甘いんだよ。」
虹を甘いと言うニナにイオリは笑い出した。
「それは、俺も作るの難しいな。
代わりに飴をどーぞ。」
腰バックから飴を取り出すとニナの口に放り込んだ。
「美味しい~。
イオリ、ありがとう。」
イオリはニナを下ろすと小さな袋を渡した。
「みんなにも食べさせてあげて。
糖分は疲れを癒すから。」
「うん。
はい。ゴヴァンさんもどうぞ。」
ゴヴァンに飴を渡すと、トテトテと走っていくニナをイオリとゴヴァンは優し気な顔で見送った。
「今のところ人影はありません。
やはり、雨の翌日は川に近づかないのでしょう。
こちらも川には気を使わないといけませんが、少し上流を見てきたところ進んでも問題なさそうです。」
一足先に渓流に降りてきていたゴヴァンは飴を口にし、顔を綻ばした。
「見渡すと、思ったより緑が多くて視界を遮れるのが良いですが、生息している木々の枝が細くて登る事は出来なそうですね。」
人の動向を探るのに木の上を利用するのは敵だけではなくイオリも同じ事だった。
「少し上には幹が太い木々も見受けられましたよ。
それでも上流にいけば行く程、岩だらけになりますが・・・。」
エルフであるゴヴァンも植物を愛している。
これから進む“グランヌス”は活火山に囲まれた国だ。
国全体が熱に覆われ、噴き出すガスが植物の成長を止めている。
「進む先は川の温度も高くなり、魚なども寄りつきません。」
魚との戯れを楽しむゼンを見てゴヴァンは気の毒そうに苦笑した。
聞けば聞くほどに進む道は険しそうだ。
「復活っ!!」
飴で頬を膨らませたパティがピョンピョンと飛び跳ねている横でロクとムネタカが呆れた様に見上げていた。
「まぁ、何とかなりますよ。」
大きな敵に対し1人で立ち向かう訳ではない。
イオリは進むべき方角をジッと見つめた。
・・・その視線を1人の女が感じ取っていた。
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