続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路〜グランヌス(渓谷・渓流)〜

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ーーー“グランヌス”の王宮に潜入していた仲間との連絡が途切れました。

 リルラの報告に一同が静まり返った。

「“グランヌス”の王宮に我ら“ホワイトキャビン”の仲間であるシャロットとエメリーが潜入していました。
 《姫巫女の屋敷の庭に人を惑わす香が炊かれている》という報告を最後に連絡が途切れたようです。」

 冷静であろうとするリルラの目が泳いでいる。
 イオリを前に嘘がつけないのだ。

「シャロットさんとエメリーさん?
 あぁ、3年前に解放された奴隷の中にそんな名前の人がいましたね。」

「っ!
 その通りです。
 覚えておいででしたか。」

 驚くリルラを他所にイオリは3年前に奴隷から解放されて喜んでいた犬の獣人とエルフの女性2人を思い出していた。

「王宮に潜入していたって言いました?」

 驚いていたのは“グランヌス”の2人であった。
 特に同種の仕事をするロクが顔を顰めた。

「そう簡単じゃないッスよ。」

 ロクの目は『本当に出来るのか?』とリルラに問いかけていた。

「どんなに難しくても我々にとって問題ではないのです。
 必要なら、何処へでも・・・。」

 自分達の仕事に自信があるリルラも今回ばかりは心配そうだ。

 険しい顔のリルラにロクも反論の声を上げなかった。

「2人とも無事だと良いな。」

 心配そうに呟くラックの頭をイオリは優しく撫でた。

 折角、渓谷まで到着しゴヴァンと合流出来たのに、どんよりとした雰囲気が一同を覆う。

「渓谷は天気が変わりやすいのです。
 ここも、もう少しで雨が降りそうです。
 早めにテントを張って休みましょう。」

 気を遣ったゴヴァンが巨大な岩が作り出した大きな穴に一行を案内した。
 
 言った側から、ポツポツと雨が降り出し、洞穴に駆け込む彼らを既に快適に整えられていた空間が出迎えた。

 焚き火がパチパチと心地良い音を立て、疲れた旅人を手招きしている。

「疲れる前にデスカローヴァの解体をしちゃおうか。
 その後、美味しい物を食べよう。」

 仲間を心配するリルラやゴヴァン、そしてラックは、イオリの明るい声に顔を上げた。

「美味しい物を食べれば、悪い事ばかり考えずに済むでしょう?」

「それは、お前だけだろう。」

 したり顔のイオリに、すかさずツッコむヒューゴが呆れ顔で肩を落とした。

「クスクス。」
「クックック。」
「アハハハ。」
「キャハハ。」

 2人のやりとりに子供達が耐えられずに笑い出した。

「イオリさん。
 貴方って人は・・・。」

 力が抜けたムネタカはキョトンとするイオリに苦笑するしかなかった。

「良いんです!
 良くても悪くてもお腹が空くなら、美味しい物を食べた方が得ですよ!」

 揶揄られて開き直ったイオリは腰バックからテントを引っ張り出すとヒューゴに押し付けて、パティを引き連れて雨降る外に歩いて行った。

「どこ行くんだ?」

「だから、デスカローヴァの解体ですよ!」

 フンッとしながら歩いていくイオリの背に笑い声が届いた。
 さっきまでも暗い雰囲気が消え、イオリは口元を緩めたのだった。

 
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