続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路〜パライソの森3〜

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_________

 ーーー“グランヌス”の王宮内にある一際煌びやかな屋敷にて

は終わりましたか?」

「はい。
 オモト様。
 すでに処理して捨て終わりました。」

 兵士の報告をオモトと呼ばれた女は満足気に頷いた。

「姫巫女様のお足元までゴミが転がっていたなど、あってはなりません。
今まで以上にに力をいれなさい。」

「・・・かしこまりました。」

 兵士が下を向いたまま、去って行く。
 その様子を見ていた侍女達が小さい声で噂し合った。

「ゴミの処理って何?」

「先日、屋敷に間者が入ったんですって。」

「えっ!
 姫巫女様は大丈夫なの?」

「ご無事のようよ。
 犯人は殺されたってさ。
 怖いわよね。」

「そう言えば、聞いた?
 王妃様がとうとう気が触れたんですって。
 部屋で奇声を上げたって聞いたわよ。」

「シッ!」

 小さく話していたつもりが、声が聞こえたようだ。
 オモトの視線を受けた1人が顔を青くして仲間を制した。

「そこっ!無駄話しないで、仕事なさい。」

「「「「はい。申し訳ございません。」」」」

 侍女達はオモトに睨まれると、逃げる様に去っていった。

「まったく。
 侍女達の口の軽さには辟易するわ。」

 大きな溜息を吐くとオモトは屋敷の扉を開いた。

「間者が紛れ込んでいたそうですね。」

 ドキッとして声のした方を見ると、オモトと同じ上級侍女でありながら頭の上がらない存在が立っていた。

「ツユクサ殿・・・。
 今、処理が終わったと報告が・・・。」

「分かりました。
 ・・・そう言えば、以前、ウサギの娘がいなくなったと言っていましたね?
 そちらはどうですか?」

「火山の火口に痕跡が残っていたそうです。
 死亡したとされ、捜索が打ち切られました。」

「そう・・・。
 を姫巫女様付き女官に推薦したのは私です。
 手落ちが続いては私の面目が立ちません。
 ・・・励みなさい。」

「はい。
 ツユクサ・・・。」

 冷たい目で見下ろされオモトは背筋が凍るようだった。
 
 自分の命など、いつどうなるか分かったものではなかった。
 それでも姫巫女の側に侍っていたいと欲が恐怖を退かせる。

 ただの洗濯女官だった自分を側仕えにし、終ぞ姫巫女様付き女官に取り立ててくれたツユクサの言葉は絶対である。

 ツユクサが去って行くまでオモトは額に冷たい汗をかきながら、床を見続けた。

__________

 火の国で不穏な空気が流れる中、イオリ達はというと・・・。

「お腹いっぱい!
 ごちそうさまでした。」

 元気なパティの挨拶を筆頭に朝食を堪能した一同が食後の茶を楽しんでいた。

「パンケーキ・・・。
 なんと魅力的な食べ物だ。」

 初めて食べたムネタカやロク、ガーディアンのメンバー達が恍惚な顔で呆けている。

「・・・。
 皆さん、急ぐ旅の途中ですよ?
 こんなに、まったりしていて良いんですか?」

 呆れ顔のヒューゴが最後の1口を一気に飲み干すと、ムネタカ達はハッと我に返った。

「そうであった。
 私は何を心安らいで落ち着いていたのだ。
 先を急がねば。」

 口元を拭うと立ち上がったムネタカをゼンがジトっとした目で見上げた。

『王子様、大丈夫なの?』

「ククク。
 ムネタカさん、面白いよね。
 気が張るよりは良いんじゃない?」

 そう言うと、出発の準備を始めるイオリだった。
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