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旅路〜パライソの森3〜
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翌朝、目覚めたムネタカはテントの外から聞こえる草木の擦れる音に“パライソの森”のど真ん中で一夜を過ごした事を思い出した。
洞窟で寝泊まりをしていた時と違って、太陽の光がテントを透かしてキラキラしている。
「綺麗だ。」
緊迫した数年を過ごしていたムネタカも最近は些細な物の美しさを感じる事が出来るようになってきた。
それもこれも、イオリと出会ったからだろう。
「よっ!
もう一丁。」
「右がガラ空き。」
「あっ。
ダメだよ。」
「注意散漫なパティが悪い。」
朝っぱらから何やら声がする。
ムネタカがテントから這い出ると朝早いと言うのに、双子が剣を交じり合わせていた。
「あっ!
ムネタカ。
おはよう。」
スコルの長剣を避けながら、ムネタカに気づいたパティが笑顔で挨拶をした。
「あぁ。
おはよう。
2人とも早いな。」
立ち会いの手を止めたスコルが汗を拭うと剣を鞘に収める。
「うん。
オレ、朝ごはんの準備の前に体動かしたくてパティを起こしたんだ。」
「眠いよー。眠いよー。
お腹すいたよー。」
木の枝に足をかけて逆さまでブラブラ揺れながらパティは欲求を隠さずに口にする。
「オレのクッキー3枚と交換で了承しただろう。
文句禁止だよ。
ご飯の準備始めるから、風呂でも入ってきたら?」
「はーい。
パティ、パンケーキが良い。」
薄紫の髪をピョンピョンさせてテントに向かうパティをスコルは見送った。
「森で風呂とはな。」
昨夜、利用した大浴場に驚愕したのを思い出したムネタカは微笑んだ。
「ところで少年。」
「スコルだよ。
スコル。」
少年と言われて顔を顰めるスコルにムネタカは苦笑すると素直に謝った。
「すまない。
スコルよ。
其方達の剣の師匠は誰だ?」
「死んだ両親だよ。」
「・・・そうか。
良き太刀筋だったからな。
素晴らしい師匠の元で鍛錬したのかと推測したのだ。
亡くなっているのか・・・すまない。」
無遠慮に聞いたと謝るムネタカにスコルはニッコリした。
「別にいいよ。
父さんと母さんが褒められて嬉しい。
ムネタカ達の国の人は刀しか使わないの?」
キラキラした目をしたスコルにムネタカは顎に手を当てて考え込んだ。
「まぁ、槍を使ったり弓を使ったりする者もいるが、皆、最初は刀から鍛錬が始める。
子供の頃は刀を振り続けるだけて辛いものだった。」
懐かしそうに目を細めるムネタカにスコルは不思議そうに首を傾げた。
「何それ?
変なの。」
「刀を振る腕力を鍛えるんだ。
100、200、300時には1000回以上振り続ける。
初めのうちは腕が千切れるほど痛いが、のちのち感覚がなくなる。
しかし、最後は体の筋肉の1つ1つの動きが理解できる様になるんだ。」
「うへぇぇ。」
火の国との鍛錬の違いにスコルが舌を出して顔を顰めていると、家臣であるロクがヘラヘラしながら戻ってきた。
「あれ?
主。
目が覚めたんっスね。」
ロクはご機嫌にスコルの頭を撫でた。
「よう。
少年。」
「スコルだよ。
スコル。」
「おぉ、悪い。」
嫌そうに、ロクの手を叩き、同じセリフを繰り返すスコルにムネタカはクスッと笑った。
「そうだ!
ムネタカ。
この旅の間にオレ達に稽古つけてよ。」
突然のスコルの提案に話の見えないロクが首を傾げる横で、ムネタカが目を見開いた。
「稽古か・・・。」
「うん。
強い相手と戦えるのは大切だからね。
楽しみにしてるね。」
テントの側でイオリが火を焚き始めたのを確認したスコルが走り去って行った。
「何の話をしてたんッスか?」
問いかけるロクにムネタカは肩をすくめた。
「小さな剣士と剣術談義をな。」
その小さな剣士が刀を包丁に変えて楽しそうに野菜を切っているのを、ムネタカとロクは微笑ましく見つめた。
洞窟で寝泊まりをしていた時と違って、太陽の光がテントを透かしてキラキラしている。
「綺麗だ。」
緊迫した数年を過ごしていたムネタカも最近は些細な物の美しさを感じる事が出来るようになってきた。
それもこれも、イオリと出会ったからだろう。
「よっ!
もう一丁。」
「右がガラ空き。」
「あっ。
ダメだよ。」
「注意散漫なパティが悪い。」
朝っぱらから何やら声がする。
ムネタカがテントから這い出ると朝早いと言うのに、双子が剣を交じり合わせていた。
「あっ!
ムネタカ。
おはよう。」
スコルの長剣を避けながら、ムネタカに気づいたパティが笑顔で挨拶をした。
「あぁ。
おはよう。
2人とも早いな。」
立ち会いの手を止めたスコルが汗を拭うと剣を鞘に収める。
「うん。
オレ、朝ごはんの準備の前に体動かしたくてパティを起こしたんだ。」
「眠いよー。眠いよー。
お腹すいたよー。」
木の枝に足をかけて逆さまでブラブラ揺れながらパティは欲求を隠さずに口にする。
「オレのクッキー3枚と交換で了承しただろう。
文句禁止だよ。
ご飯の準備始めるから、風呂でも入ってきたら?」
「はーい。
パティ、パンケーキが良い。」
薄紫の髪をピョンピョンさせてテントに向かうパティをスコルは見送った。
「森で風呂とはな。」
昨夜、利用した大浴場に驚愕したのを思い出したムネタカは微笑んだ。
「ところで少年。」
「スコルだよ。
スコル。」
少年と言われて顔を顰めるスコルにムネタカは苦笑すると素直に謝った。
「すまない。
スコルよ。
其方達の剣の師匠は誰だ?」
「死んだ両親だよ。」
「・・・そうか。
良き太刀筋だったからな。
素晴らしい師匠の元で鍛錬したのかと推測したのだ。
亡くなっているのか・・・すまない。」
無遠慮に聞いたと謝るムネタカにスコルはニッコリした。
「別にいいよ。
父さんと母さんが褒められて嬉しい。
ムネタカ達の国の人は刀しか使わないの?」
キラキラした目をしたスコルにムネタカは顎に手を当てて考え込んだ。
「まぁ、槍を使ったり弓を使ったりする者もいるが、皆、最初は刀から鍛錬が始める。
子供の頃は刀を振り続けるだけて辛いものだった。」
懐かしそうに目を細めるムネタカにスコルは不思議そうに首を傾げた。
「何それ?
変なの。」
「刀を振る腕力を鍛えるんだ。
100、200、300時には1000回以上振り続ける。
初めのうちは腕が千切れるほど痛いが、のちのち感覚がなくなる。
しかし、最後は体の筋肉の1つ1つの動きが理解できる様になるんだ。」
「うへぇぇ。」
火の国との鍛錬の違いにスコルが舌を出して顔を顰めていると、家臣であるロクがヘラヘラしながら戻ってきた。
「あれ?
主。
目が覚めたんっスね。」
ロクはご機嫌にスコルの頭を撫でた。
「よう。
少年。」
「スコルだよ。
スコル。」
「おぉ、悪い。」
嫌そうに、ロクの手を叩き、同じセリフを繰り返すスコルにムネタカはクスッと笑った。
「そうだ!
ムネタカ。
この旅の間にオレ達に稽古つけてよ。」
突然のスコルの提案に話の見えないロクが首を傾げる横で、ムネタカが目を見開いた。
「稽古か・・・。」
「うん。
強い相手と戦えるのは大切だからね。
楽しみにしてるね。」
テントの側でイオリが火を焚き始めたのを確認したスコルが走り去って行った。
「何の話をしてたんッスか?」
問いかけるロクにムネタカは肩をすくめた。
「小さな剣士と剣術談義をな。」
その小さな剣士が刀を包丁に変えて楽しそうに野菜を切っているのを、ムネタカとロクは微笑ましく見つめた。
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