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旅路〜パライソの森3〜
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自分達が世間で言うダンジョンの中に住んでいた事に驚きを隠せずにいたエルフのハルラスとエフェリアの夫婦は神獣に抱き付くイオリの姿を呆然と見つめていた。
「・・・信じられるか?
神獣様が人族と約束しているぞ・・・。」
「・・・夢じゃないわよね?」
他国で冒険者をしていた経験のある2人はルーシュピケに住む他の住民達よりも人族を理解している。
・・・と思っていた。
しかし、長命な彼らも神獣と抱き合っている人族など見た事などなかった。
「神の愛し子の力か・・・それとも、イオリ殿の力か・・・。」
呟くハルラスは、はしゃぐ子供達の声に消された。
「可愛い!」
「パティちゃん!
ニナも撫でたい!」
「ゆっくり優しくだよ。
脅かしたら可哀想だからね。」
「バンデは干し林檎が好きだけど、君はどうかな?」
ゼンと戯れていた小鹿は今や子供達に囲まれていた。
怖がる事なく子供達に挨拶をする小鹿はナギに差し出された干し林檎を口にするとプルプルと小さな耳を動かした。
「あっ。
気に入ったみたい。」
ナギはクスクスと笑うと、優しく小鹿の頭を撫でた。
『エルフの子か・・・。
憂い子だ。』
小鹿と子供達の戯れに目を細めていたアマメが、視線をナギに止めた。
「はい。
俺達よりも長く生きるエルフの事を俺は、ちゃんと理解できていなかったです。」
イオリは出発前にハニエル老に相談があると言ったナギを思い出した。
________
「相談があると聞いたがね。」
ルーシュピケにあるエルフの集落を訪れたイオリ達を迎入れてくれたハニエル老は相談があると言ったナギを優しい顔で迎え入れた。
「ずっと考えていた事があります。
ボクはいつか、1人ぼっちになる。」
言い切ったナギにイオリは驚いた。
「魔法の師匠のエルノール様にも言われています。
ボクはエルフだから、絶対にイオリ達よりも長く生きるんです。」
エルフ族の中でも長生きなハニエル老はナギの言わんとする事が理解できたのだろう。
誤魔化す事なく頷いたハニエル老にナギは困ったように眉を顰めた。
「今が幸せだから、1人ぼっちになるのが怖くて堪らなくなる時があります。」
ナギは両親を亡くした時に1度1人ぼっちになっている。
その事を思い出すと不安しかないのだ。
「だからと言って、今を寂しいだけで生きたいとは思いません。」
“神の愛し子”と言われるイオリも所詮、人族だ。
同じ人族のヒューゴやニナは勿論、狼の獣人であるスコルとパティも寿命の話になるとエルフと比べるまでもなく短い。
魔獣であるアウラとの別れも来るだろうし、フェニックスのソルやフェンリルのゼンの寿命の長さは分からないが、イオリがいなくなった後もナギと共にいれるかは分からないのだ。
「1人になったら、どうするつもりだ?」
そう問いかけたハニエル老は子供相手に酷な事をしているのか、逸らす事なく答えを導くのが優しさなのかイオリには分からなかった。
「・・・ボクね。
楽器が得意なんだ。
でね・・・。」
恥ずかしげに俯くナギは意を結したようにイオリを見上げた。
「ボク、吟遊詩人になる。
それで世界中の人にイオリの話を聞いてもらうんだ。」
果てしなく煌めくナギの瞳にイオリは吸い込まれていくようだった。
「・・・信じられるか?
神獣様が人族と約束しているぞ・・・。」
「・・・夢じゃないわよね?」
他国で冒険者をしていた経験のある2人はルーシュピケに住む他の住民達よりも人族を理解している。
・・・と思っていた。
しかし、長命な彼らも神獣と抱き合っている人族など見た事などなかった。
「神の愛し子の力か・・・それとも、イオリ殿の力か・・・。」
呟くハルラスは、はしゃぐ子供達の声に消された。
「可愛い!」
「パティちゃん!
ニナも撫でたい!」
「ゆっくり優しくだよ。
脅かしたら可哀想だからね。」
「バンデは干し林檎が好きだけど、君はどうかな?」
ゼンと戯れていた小鹿は今や子供達に囲まれていた。
怖がる事なく子供達に挨拶をする小鹿はナギに差し出された干し林檎を口にするとプルプルと小さな耳を動かした。
「あっ。
気に入ったみたい。」
ナギはクスクスと笑うと、優しく小鹿の頭を撫でた。
『エルフの子か・・・。
憂い子だ。』
小鹿と子供達の戯れに目を細めていたアマメが、視線をナギに止めた。
「はい。
俺達よりも長く生きるエルフの事を俺は、ちゃんと理解できていなかったです。」
イオリは出発前にハニエル老に相談があると言ったナギを思い出した。
________
「相談があると聞いたがね。」
ルーシュピケにあるエルフの集落を訪れたイオリ達を迎入れてくれたハニエル老は相談があると言ったナギを優しい顔で迎え入れた。
「ずっと考えていた事があります。
ボクはいつか、1人ぼっちになる。」
言い切ったナギにイオリは驚いた。
「魔法の師匠のエルノール様にも言われています。
ボクはエルフだから、絶対にイオリ達よりも長く生きるんです。」
エルフ族の中でも長生きなハニエル老はナギの言わんとする事が理解できたのだろう。
誤魔化す事なく頷いたハニエル老にナギは困ったように眉を顰めた。
「今が幸せだから、1人ぼっちになるのが怖くて堪らなくなる時があります。」
ナギは両親を亡くした時に1度1人ぼっちになっている。
その事を思い出すと不安しかないのだ。
「だからと言って、今を寂しいだけで生きたいとは思いません。」
“神の愛し子”と言われるイオリも所詮、人族だ。
同じ人族のヒューゴやニナは勿論、狼の獣人であるスコルとパティも寿命の話になるとエルフと比べるまでもなく短い。
魔獣であるアウラとの別れも来るだろうし、フェニックスのソルやフェンリルのゼンの寿命の長さは分からないが、イオリがいなくなった後もナギと共にいれるかは分からないのだ。
「1人になったら、どうするつもりだ?」
そう問いかけたハニエル老は子供相手に酷な事をしているのか、逸らす事なく答えを導くのが優しさなのかイオリには分からなかった。
「・・・ボクね。
楽器が得意なんだ。
でね・・・。」
恥ずかしげに俯くナギは意を結したようにイオリを見上げた。
「ボク、吟遊詩人になる。
それで世界中の人にイオリの話を聞いてもらうんだ。」
果てしなく煌めくナギの瞳にイオリは吸い込まれていくようだった。
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