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旅路〜パライソの森3〜
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『行くのか、イオリよ。』
「はい。
“グランヌス”の問題は現場に行かなきゃ対処出来ないですからね。」
『うむ。
この地が争いの場になる事は私も本意ではない。』
「でも、“パライソの森”に“グランヌス”が兵を向ける事は確か。
彼らが狙うのはルーシュピケじゃなく、“大樹”でありアマメです。」
『・・・。』
アマメの存在感に圧倒されていたムネタカやガーディアン達がイオリの断言に騒めきだした。
「イオリ殿。
それは、どう言う事だ?」
振り向いたイオリは実に悲しそうな顔だった。
「今、様々な国でダンジョンが消滅していると話した事がありましたね。」
「うむ。
それがイオリ殿の旅の理由だとも聞いた。」
真剣な顔のムネタカはアマメがジッと見つめている事に気づいていない。
「ダークエルフ・ルミエール。
事の発端は世界を手に入れようとした、かつての厄災です。」
「・・・ダークエルフ・ルミエール。」
話には聞いた事があっても、ムネタカにとって大昔の厄災の事が現代を生きる自分達に関係があるのか実感がなかった。
「現在、生き残る“エルフの里”の者達はダークエルフの復活を目論んでいるんです。
その為の鍵が、何処かのダンジョンに隠されていると思っているんですよ。」
「ダークエルフの復活・・・。
そんな事が可能なのか?」
あまりに荒唐無稽だと驚くムネタカの隣りでタイソンが分からないと首を傾げる。
「客人。
ダンジョンとはアレだろう?
洞窟とかに出来る迷宮の。
魔獣とか宝とかがランダムに現れると聞いた事があるぞ。」
「確かに、洞窟のダンジョンもあります。
でも、ダンジョンに決まりはありません。
共通しているのは、最終の部屋にラスボスがいてダンジョンを形成する核が存在するって事です。
“エルフの里の戦士”達がダークエルフの復活に不必要なダンジョンを破壊して回っているという事はダンジョンのボスを倒し、核を破壊しているという事なんです。」
話を聞くタイソンを含めたガーディアン達の瞳が《だから何だ?》と疑問を呈していた。
「“パライソの森”。
恐らく、この地の全てがダンジョンなのではないでしょうか?」
「「「「はっ?」」」」
あまりの驚きに声を上げる事が出来ずにいるガーディアン達は考えが追いつかないようだ。
「この“大樹”こそが、正しく核であり、この核のエネルギーの減少によって森の生命が失われてしまう・・・。
皆さんにも覚えがありますよね?」
タイソン達は一瞬で三年前の“腐敗の日”を思い出した。
「そして、ダンジョンのボスにおける存在がアマメです。
パライソの森の主であるアマメがダンジョンのラスボスなんですよ。
“大樹”とアマメ、この2つが消滅すれば“パライソの森”自体が消滅の恐れがあります。」
自分達の想像を超えて危機感が襲ってきたガーディアン達は顔面蒼白だった。
「ハニエル老とフェンバインさんには伝えてあります。
その上で、2人はルーシュピケ及びパライソの森を守ろうとしているんです。
だから・・・。」
イオリはアマメを見上げた。
「パライソを守護する神獣アマメよ。
貴方を慕い、森を愛するルーシュピケの民は命をとして森を守る事でしょう。
俺が敵の野望を葬ります。
だから、その間・・・彼らと共に戦ってくれますか?」
静まり返った森を風が囁かな音色を運んでくる。
アマメはゆっくりとイオリの顔に鼻先をくっつけた。
『我はリュオン様に従う神獣。
人の争いに手を出す事はしない。
しかし、我らの森を守る為だとしたら・・・その為に戦う愛し子の願いを聞き入れよう。』
「感謝します。」
パライソの森を離れる事の不安が晴れたイオリは微笑み、アマメを抱きしめたのだった。
「はい。
“グランヌス”の問題は現場に行かなきゃ対処出来ないですからね。」
『うむ。
この地が争いの場になる事は私も本意ではない。』
「でも、“パライソの森”に“グランヌス”が兵を向ける事は確か。
彼らが狙うのはルーシュピケじゃなく、“大樹”でありアマメです。」
『・・・。』
アマメの存在感に圧倒されていたムネタカやガーディアン達がイオリの断言に騒めきだした。
「イオリ殿。
それは、どう言う事だ?」
振り向いたイオリは実に悲しそうな顔だった。
「今、様々な国でダンジョンが消滅していると話した事がありましたね。」
「うむ。
それがイオリ殿の旅の理由だとも聞いた。」
真剣な顔のムネタカはアマメがジッと見つめている事に気づいていない。
「ダークエルフ・ルミエール。
事の発端は世界を手に入れようとした、かつての厄災です。」
「・・・ダークエルフ・ルミエール。」
話には聞いた事があっても、ムネタカにとって大昔の厄災の事が現代を生きる自分達に関係があるのか実感がなかった。
「現在、生き残る“エルフの里”の者達はダークエルフの復活を目論んでいるんです。
その為の鍵が、何処かのダンジョンに隠されていると思っているんですよ。」
「ダークエルフの復活・・・。
そんな事が可能なのか?」
あまりに荒唐無稽だと驚くムネタカの隣りでタイソンが分からないと首を傾げる。
「客人。
ダンジョンとはアレだろう?
洞窟とかに出来る迷宮の。
魔獣とか宝とかがランダムに現れると聞いた事があるぞ。」
「確かに、洞窟のダンジョンもあります。
でも、ダンジョンに決まりはありません。
共通しているのは、最終の部屋にラスボスがいてダンジョンを形成する核が存在するって事です。
“エルフの里の戦士”達がダークエルフの復活に不必要なダンジョンを破壊して回っているという事はダンジョンのボスを倒し、核を破壊しているという事なんです。」
話を聞くタイソンを含めたガーディアン達の瞳が《だから何だ?》と疑問を呈していた。
「“パライソの森”。
恐らく、この地の全てがダンジョンなのではないでしょうか?」
「「「「はっ?」」」」
あまりの驚きに声を上げる事が出来ずにいるガーディアン達は考えが追いつかないようだ。
「この“大樹”こそが、正しく核であり、この核のエネルギーの減少によって森の生命が失われてしまう・・・。
皆さんにも覚えがありますよね?」
タイソン達は一瞬で三年前の“腐敗の日”を思い出した。
「そして、ダンジョンのボスにおける存在がアマメです。
パライソの森の主であるアマメがダンジョンのラスボスなんですよ。
“大樹”とアマメ、この2つが消滅すれば“パライソの森”自体が消滅の恐れがあります。」
自分達の想像を超えて危機感が襲ってきたガーディアン達は顔面蒼白だった。
「ハニエル老とフェンバインさんには伝えてあります。
その上で、2人はルーシュピケ及びパライソの森を守ろうとしているんです。
だから・・・。」
イオリはアマメを見上げた。
「パライソを守護する神獣アマメよ。
貴方を慕い、森を愛するルーシュピケの民は命をとして森を守る事でしょう。
俺が敵の野望を葬ります。
だから、その間・・・彼らと共に戦ってくれますか?」
静まり返った森を風が囁かな音色を運んでくる。
アマメはゆっくりとイオリの顔に鼻先をくっつけた。
『我はリュオン様に従う神獣。
人の争いに手を出す事はしない。
しかし、我らの森を守る為だとしたら・・・その為に戦う愛し子の願いを聞き入れよう。』
「感謝します。」
パライソの森を離れる事の不安が晴れたイオリは微笑み、アマメを抱きしめたのだった。
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