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旅路〜ルーシュピケ2〜
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「我等は“グランヌス”より参った。
これは、国王トウカ・ノブタカ・ショーグン様からの書状だ。
この国の王に目通りを!!」
声高々に叫ぶ男が集団を連れてやってきたのは、まだ霧も深い朝方の事だった。
見張の当直だったルーシュピケのガーディアン“デタルティ”のメンバー達が胡散臭い者を見るように砦から見下ろした。
ヒョウの獣人であるウーニャは気だるげに櫓の柵にもたれ掛かると、面倒臭そうに答えた。
「この国に王はいないよ。
見知らぬ人族の時間外の訪問は断る。
ルーシュピケの決まりだ。
用があるのなら出直すか、そこで話しなよ。」
返答が気に入らなかった“グランヌス”の使者は隠す事なく舌打ちをした。
「汚れた獣風情が・・・。」
獣人達の耳がピクリと揺れた。
侮辱の言葉を聞き漏らす彼らではない。
何かに気づいたウーニャは挑発に乗る事もなくニヤァと笑った。
「最初から、それが言いたかったんだろう?
目的が達成できて良かったな。
用事は終わっただろう?
さっさと帰りな。
本物の獣がお前の背を狙っているぞ。」
慌てた使者達が振り返れば、ワイルドウルフの群れが静に草むらから出てきて、朝の獲物を所望していた。
「クッ。
我らの王子を誘拐しておいて、太々しい!
“グランヌス”は、貴様等の蛮行を許さんぞ!」
書状を門に叩きつけて逃げるように去った使者をワイルドウルフ達が追いかけて行くのをウーニャ達は手を振って見送った。
「わざわざ、ここまで来てご苦労様だな。
嫌いなタイプの人族だ。
・・・客人の言う通りだったな。
誘拐だってよ。
さてさて、書状とらやら拾って爺様と大将に渡してこいよ。」
そうして、もたらされたのは“グランヌス”からの一方的な宣戦布告であった。
内容はイオリの想像通り《第1王子の誘拐への報復》だった。
誘拐と言うのなら無鉄砲に戦を仕掛けて、大切な息子の安全はどうでも良いのか?と、皆も呆れて感想すら出ない。
しかし、“グランヌス”との衝突が現実となった事にルーシュピケの住人達の不安は膨れ上がった事も確かな事だった。
「そろそろ、俺達も向かうとしましょうか。」
いよいよ出発を口にしたイオリはムネタカを真っ直ぐに見た。
「・・・はい。」
ムネタカの覚悟は既に決まっている。
「私は“グランヌス”の王子です。
民を守る義務があります。
未熟な私には力が足りなと、嫌というほど理解しました。
改めてお願いします。
我らの国をお救い下さい。」
『肩っ苦しいなぁ・・・。』
揶揄うゼンをよそに、頭を下げたムネタカをイオリは苦笑した。
「俺はアースガイルのポーレット侯爵の専属冒険者です。
侯爵からの依頼しか受けないんですよ。」
見守っていたルーシュピケの住人達はドキドキしながら成り行きを見守っている。
「“魅了”及び、“神の愛し子”を名乗る人物の調査の為に“グランヌス”に赴く。
これがポーレット侯爵とアースガイル国王の依頼です。
たまたま、ムネタカさんの願いと一致しますけど、まぁ良いですよね?」
悪戯な顔で振り返るイオリにヒューゴが呆れた顔をした。
「良いんじゃないか?
俺はお前についていくだけだ。」
そんなヒューゴに続いて、子供達が手をあげる。
「準備は出来てるよ。
いつでも良いよ。」
「強い人ばっかりなんでしょ?
ワクワクする。」
「火山って熱いんでしょ?
楽しみ。」
「ニナも!」
心配する周りの大人達などお構い無しで、やる気に満ちた子供達を見下ろしクスクスと笑いながらイオリは白いフカフカの頭を撫でた。
「行こうか。相棒。」
『うん。
リュオン様を馬鹿にする奴は絶対に許さないんだから!』
イオリ達一行は“グランヌス”を目指しルーシュピケを出発した。
これは、国王トウカ・ノブタカ・ショーグン様からの書状だ。
この国の王に目通りを!!」
声高々に叫ぶ男が集団を連れてやってきたのは、まだ霧も深い朝方の事だった。
見張の当直だったルーシュピケのガーディアン“デタルティ”のメンバー達が胡散臭い者を見るように砦から見下ろした。
ヒョウの獣人であるウーニャは気だるげに櫓の柵にもたれ掛かると、面倒臭そうに答えた。
「この国に王はいないよ。
見知らぬ人族の時間外の訪問は断る。
ルーシュピケの決まりだ。
用があるのなら出直すか、そこで話しなよ。」
返答が気に入らなかった“グランヌス”の使者は隠す事なく舌打ちをした。
「汚れた獣風情が・・・。」
獣人達の耳がピクリと揺れた。
侮辱の言葉を聞き漏らす彼らではない。
何かに気づいたウーニャは挑発に乗る事もなくニヤァと笑った。
「最初から、それが言いたかったんだろう?
目的が達成できて良かったな。
用事は終わっただろう?
さっさと帰りな。
本物の獣がお前の背を狙っているぞ。」
慌てた使者達が振り返れば、ワイルドウルフの群れが静に草むらから出てきて、朝の獲物を所望していた。
「クッ。
我らの王子を誘拐しておいて、太々しい!
“グランヌス”は、貴様等の蛮行を許さんぞ!」
書状を門に叩きつけて逃げるように去った使者をワイルドウルフ達が追いかけて行くのをウーニャ達は手を振って見送った。
「わざわざ、ここまで来てご苦労様だな。
嫌いなタイプの人族だ。
・・・客人の言う通りだったな。
誘拐だってよ。
さてさて、書状とらやら拾って爺様と大将に渡してこいよ。」
そうして、もたらされたのは“グランヌス”からの一方的な宣戦布告であった。
内容はイオリの想像通り《第1王子の誘拐への報復》だった。
誘拐と言うのなら無鉄砲に戦を仕掛けて、大切な息子の安全はどうでも良いのか?と、皆も呆れて感想すら出ない。
しかし、“グランヌス”との衝突が現実となった事にルーシュピケの住人達の不安は膨れ上がった事も確かな事だった。
「そろそろ、俺達も向かうとしましょうか。」
いよいよ出発を口にしたイオリはムネタカを真っ直ぐに見た。
「・・・はい。」
ムネタカの覚悟は既に決まっている。
「私は“グランヌス”の王子です。
民を守る義務があります。
未熟な私には力が足りなと、嫌というほど理解しました。
改めてお願いします。
我らの国をお救い下さい。」
『肩っ苦しいなぁ・・・。』
揶揄うゼンをよそに、頭を下げたムネタカをイオリは苦笑した。
「俺はアースガイルのポーレット侯爵の専属冒険者です。
侯爵からの依頼しか受けないんですよ。」
見守っていたルーシュピケの住人達はドキドキしながら成り行きを見守っている。
「“魅了”及び、“神の愛し子”を名乗る人物の調査の為に“グランヌス”に赴く。
これがポーレット侯爵とアースガイル国王の依頼です。
たまたま、ムネタカさんの願いと一致しますけど、まぁ良いですよね?」
悪戯な顔で振り返るイオリにヒューゴが呆れた顔をした。
「良いんじゃないか?
俺はお前についていくだけだ。」
そんなヒューゴに続いて、子供達が手をあげる。
「準備は出来てるよ。
いつでも良いよ。」
「強い人ばっかりなんでしょ?
ワクワクする。」
「火山って熱いんでしょ?
楽しみ。」
「ニナも!」
心配する周りの大人達などお構い無しで、やる気に満ちた子供達を見下ろしクスクスと笑いながらイオリは白いフカフカの頭を撫でた。
「行こうか。相棒。」
『うん。
リュオン様を馬鹿にする奴は絶対に許さないんだから!』
イオリ達一行は“グランヌス”を目指しルーシュピケを出発した。
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