489 / 781
旅路〜ルーシュピケ2〜
497
しおりを挟む
「・・・黒幕が“エルフの里”。」
思いもかけない事だった。
ムネタカ達にとって“エルフの里の戦士”は無縁の存在だったのだ。
「無知ならば知ればいい。
だって、ムネタカさん達はこれから“グランヌス”の誰よりも知る事ができるのだから。」
微笑むイオリを眩しい物を見るように“グランヌス”の面々は目を細めた。
「イオリさん・・・。」
感涙しそうだったムネタカは目をぎゅっと瞑ると鼻を啜りながらも前を向いた。
「教えてください。
あの不思議な球の事を。」
リルラは「了承した」とばかりに頷いた。
「あれは魔力を圧縮して球体と化した物です。
それによって、生命体を生存のまま捕獲する事が出来るようになったのです。
詳しい仕組みは、残念ながら私にも分かりません。
多くの魔力を消費する為に開発者ドミトリー・ドナードは他者から魔力を奪う禁忌を犯しました。
ムネタカ様がご覧になった物がドミトリー・ドナードが作った物なのか、新たに作り上げた物なのかは分かりません。
しかし、もし新たに作り上げられた物だとしたら再び多くの犠牲者が存在する可能性があります。
アースガイル宰相グレン・ターナー様は直ちに、ミズガルドに連絡を取るとおっしゃっておられました。
ミズガルドの新たな王は即位後、直ちにドミトリー・ドナードの研究結果や研究所を焼却いたしました。
しかし、彼らの動向などは調べる事が出来るはずです。」
実に辛い現実であるがムネタカは止まるわけにはいかない。
ただ1つだけ、どうしても1つだけ確かめたい事があった。
「リルラ殿。
お・・・とうと、弟と妹達は無事だろうか?」
「球体の魔力によって、ある程度生きる事が可能です。
しかし、さすがに長期とあれば衰弱の心配があります。
球体を割れば、中の生命体は無事に出てくる事が出来ます。
球体の使い回しは出来ません。
悪用を防ぐには、全てを割る必要がありますね。」
リルラの言葉に安堵と心配が同時に押し寄せてくる。
「・・・とりあえず、まだ無事なのだな。
よかった。」
「恐らく、ムネタカ様や王妃様達を脅す材料にする為でしょう。
ただ、1つ怪しんでいる事があります。」
リルラがイオリの方を見た。
「何ですか?」
「敵はどうやら“魅了”の力を使う者と使わない者を分けている様です。
国王は“魅了”し同じ部屋にいた宰相殿には力を使っていない。
ムネタカ様は“魅了”しないのに家臣の2人には力を使う。
何故でしょう?」
リルラの疑問はもっともだった。
「一度には難しいとか?」
イオリが言えば、リルラは肩を竦めた。
「だったら、例の宝石などを使用すれば良いではないですか?
現に町人達の多くは安い宝飾などで“魅了”されている事が多いと仲間から報告があります。」
すでにホワイトキャビンの旅団で働くリルラの仲間達が“グランヌス”入りをしていると聞き、ムネタカだけじゃなくイオリも驚いた。
「お仕事が早いですね。」
「お褒めに預かり、ありがとうございます。」
いつもと違い可愛らしく笑うリルラにイオリは苦笑した。
「知識と同様、情報が武器になります。
確実にルーシュピケに敵が向かってくるのなら、こちらも準備しなければなりません。」
リルラの言葉にハニエル老とフェンバインは力強く頷いた。
思いもかけない事だった。
ムネタカ達にとって“エルフの里の戦士”は無縁の存在だったのだ。
「無知ならば知ればいい。
だって、ムネタカさん達はこれから“グランヌス”の誰よりも知る事ができるのだから。」
微笑むイオリを眩しい物を見るように“グランヌス”の面々は目を細めた。
「イオリさん・・・。」
感涙しそうだったムネタカは目をぎゅっと瞑ると鼻を啜りながらも前を向いた。
「教えてください。
あの不思議な球の事を。」
リルラは「了承した」とばかりに頷いた。
「あれは魔力を圧縮して球体と化した物です。
それによって、生命体を生存のまま捕獲する事が出来るようになったのです。
詳しい仕組みは、残念ながら私にも分かりません。
多くの魔力を消費する為に開発者ドミトリー・ドナードは他者から魔力を奪う禁忌を犯しました。
ムネタカ様がご覧になった物がドミトリー・ドナードが作った物なのか、新たに作り上げた物なのかは分かりません。
しかし、もし新たに作り上げられた物だとしたら再び多くの犠牲者が存在する可能性があります。
アースガイル宰相グレン・ターナー様は直ちに、ミズガルドに連絡を取るとおっしゃっておられました。
ミズガルドの新たな王は即位後、直ちにドミトリー・ドナードの研究結果や研究所を焼却いたしました。
しかし、彼らの動向などは調べる事が出来るはずです。」
実に辛い現実であるがムネタカは止まるわけにはいかない。
ただ1つだけ、どうしても1つだけ確かめたい事があった。
「リルラ殿。
お・・・とうと、弟と妹達は無事だろうか?」
「球体の魔力によって、ある程度生きる事が可能です。
しかし、さすがに長期とあれば衰弱の心配があります。
球体を割れば、中の生命体は無事に出てくる事が出来ます。
球体の使い回しは出来ません。
悪用を防ぐには、全てを割る必要がありますね。」
リルラの言葉に安堵と心配が同時に押し寄せてくる。
「・・・とりあえず、まだ無事なのだな。
よかった。」
「恐らく、ムネタカ様や王妃様達を脅す材料にする為でしょう。
ただ、1つ怪しんでいる事があります。」
リルラがイオリの方を見た。
「何ですか?」
「敵はどうやら“魅了”の力を使う者と使わない者を分けている様です。
国王は“魅了”し同じ部屋にいた宰相殿には力を使っていない。
ムネタカ様は“魅了”しないのに家臣の2人には力を使う。
何故でしょう?」
リルラの疑問はもっともだった。
「一度には難しいとか?」
イオリが言えば、リルラは肩を竦めた。
「だったら、例の宝石などを使用すれば良いではないですか?
現に町人達の多くは安い宝飾などで“魅了”されている事が多いと仲間から報告があります。」
すでにホワイトキャビンの旅団で働くリルラの仲間達が“グランヌス”入りをしていると聞き、ムネタカだけじゃなくイオリも驚いた。
「お仕事が早いですね。」
「お褒めに預かり、ありがとうございます。」
いつもと違い可愛らしく笑うリルラにイオリは苦笑した。
「知識と同様、情報が武器になります。
確実にルーシュピケに敵が向かってくるのなら、こちらも準備しなければなりません。」
リルラの言葉にハニエル老とフェンバインは力強く頷いた。
応援ありがとうございます!
202
お気に入りに追加
9,853
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる