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旅路〜ルーシュピケ2〜
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朝食の後に集まったのは昨日よりも、ずっと少なかった。
通常の仕事に戻った者や、昨夜の騒ぎで、まだ寝ている者など様々である。
イオリの声掛けに現れたのは獣人の代表者のフェンバインとエルフの代表者のハニエルとそれぞれの補佐役達だった。
そして今回はイオリの要望でキキ医師にも参加してもらった。
「昨日は、大騒ぎだったからな。
話が途中までになっちまったな。」
「アンタの所為だと思うけどね。」
豪快に笑うフェンバインの隣でキキ医師が呆れたように小言を言った。
「フフフ。
楽しんだかい?
客人達よ。」
「「「「はい!」」」」
体を震わせ笑うハニエル老に子供が大きな返事をした。
「楽しかったですよ。
でも、話の続きをしなければいけなくなりました。
今朝の事です。
キキ医師の花畑でムネタカさんとコーラルが再開したんです。」
コーラルの名前が出た事でキキ医師が眉間に眉を寄せた。
「確か、王城での知り合いって言ってたわね?」
「はい。
前に、コーラルが話してくれた“優しいお兄さん”はムネタカさんの事です。」
驚くキキ医師の隣でフェンバインとハニエル老は分かったのだろう。
険しい顔でムネタカを見つめた。
「ウサギの娘が言っていた場面を坊やも見たんだね?」
「コーラルは確か・・・姫巫女が誰かを食べたと言っていたが・・・。」
ムネタカは警戒しながらも首を横に振った。
「実際には食べたのではありません。
正確には姫巫女の秘術によって私の弟と妹2人が球体に閉じ込められたのです。」
信じて貰おうと必死のムネタカを3人の家臣達が心配そうに見つめた。
イオリは信じてくれたが、そんな荒唐無稽な出来事を誰が信じてくれるものだろう。
しかし、ムネタカ達の心配は意外な事に受け入れられた。
「球体に閉じ込められただと?」
「・・・聞いた事があるね。」
「球体ってアレ?」
「まだあるの?」
フェンバインやハニエル老だけではない、スコルやパティまでもが知っているとあってムネタカは目を見開いた。
「ここで、ムネタカさん達に俺達の話を聞いて頂きましょう。
あれは3年前の事です・・・」
イオリが体験した3年前の事件のあらましを聞いたムネタカ達は、ただただ驚いた。
「魔獣を閉じ込める球体?
神獣までもが囚われるのですか?」
「そうです。
開発した男、ドミトリー・ドナードは既に生きてはいません。
どの様な経緯で“火の国”に、その球体が届いたかは分かりませんが、確実に言えるのは姫巫女が使っているのは、決して秘術などではないと言う事です。」
「そんな簡単に誰にでも扱えるのですか?」
不信がるムネタカにイオリは頷いた。
「使い方に関しては詳しい人に聞きましょう。
「都合よく、そんな者がいるのすか?」
ムネタカが眉間に皺を寄せる中、スッとエルフのリルラが現れた。
「誤用向きは何でしょう?」
「ムネタカさんの弟さんと妹さんが球体に閉じ込められているそうです。」
それだけの情報でリルラには十分だった。
「なるほど。
では、お話しする前に許可を取らなければなりませんね。」
そう言ってリルラは後を向くと腕に嵌めていた腕輪に口を近づけるのだった。
通常の仕事に戻った者や、昨夜の騒ぎで、まだ寝ている者など様々である。
イオリの声掛けに現れたのは獣人の代表者のフェンバインとエルフの代表者のハニエルとそれぞれの補佐役達だった。
そして今回はイオリの要望でキキ医師にも参加してもらった。
「昨日は、大騒ぎだったからな。
話が途中までになっちまったな。」
「アンタの所為だと思うけどね。」
豪快に笑うフェンバインの隣でキキ医師が呆れたように小言を言った。
「フフフ。
楽しんだかい?
客人達よ。」
「「「「はい!」」」」
体を震わせ笑うハニエル老に子供が大きな返事をした。
「楽しかったですよ。
でも、話の続きをしなければいけなくなりました。
今朝の事です。
キキ医師の花畑でムネタカさんとコーラルが再開したんです。」
コーラルの名前が出た事でキキ医師が眉間に眉を寄せた。
「確か、王城での知り合いって言ってたわね?」
「はい。
前に、コーラルが話してくれた“優しいお兄さん”はムネタカさんの事です。」
驚くキキ医師の隣でフェンバインとハニエル老は分かったのだろう。
険しい顔でムネタカを見つめた。
「ウサギの娘が言っていた場面を坊やも見たんだね?」
「コーラルは確か・・・姫巫女が誰かを食べたと言っていたが・・・。」
ムネタカは警戒しながらも首を横に振った。
「実際には食べたのではありません。
正確には姫巫女の秘術によって私の弟と妹2人が球体に閉じ込められたのです。」
信じて貰おうと必死のムネタカを3人の家臣達が心配そうに見つめた。
イオリは信じてくれたが、そんな荒唐無稽な出来事を誰が信じてくれるものだろう。
しかし、ムネタカ達の心配は意外な事に受け入れられた。
「球体に閉じ込められただと?」
「・・・聞いた事があるね。」
「球体ってアレ?」
「まだあるの?」
フェンバインやハニエル老だけではない、スコルやパティまでもが知っているとあってムネタカは目を見開いた。
「ここで、ムネタカさん達に俺達の話を聞いて頂きましょう。
あれは3年前の事です・・・」
イオリが体験した3年前の事件のあらましを聞いたムネタカ達は、ただただ驚いた。
「魔獣を閉じ込める球体?
神獣までもが囚われるのですか?」
「そうです。
開発した男、ドミトリー・ドナードは既に生きてはいません。
どの様な経緯で“火の国”に、その球体が届いたかは分かりませんが、確実に言えるのは姫巫女が使っているのは、決して秘術などではないと言う事です。」
「そんな簡単に誰にでも扱えるのですか?」
不信がるムネタカにイオリは頷いた。
「使い方に関しては詳しい人に聞きましょう。
「都合よく、そんな者がいるのすか?」
ムネタカが眉間に皺を寄せる中、スッとエルフのリルラが現れた。
「誤用向きは何でしょう?」
「ムネタカさんの弟さんと妹さんが球体に閉じ込められているそうです。」
それだけの情報でリルラには十分だった。
「なるほど。
では、お話しする前に許可を取らなければなりませんね。」
そう言ってリルラは後を向くと腕に嵌めていた腕輪に口を近づけるのだった。
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