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旅路〜ルーシュピケ2〜
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「コーラル・・・生きていたのか。」
「お兄さん・・・なんでここに?」
ムネタカとコーラルは互いに信じられないとばかりに見つめ合った。
「お知り合いですか?」
イオリが声をかけるとムネタカは戸惑ったように頷いた。
「宮殿内で働いていた下働きの娘です。
何故、彼女がここに?」
嬉しい再会とはいかないのか、2人は気まずそうだった。
そこでイオリがコーラルがミズガルドで攫われたところからルーシュピケに保護されるまでの話をムネタカに聞かせた。
驚き悲しむムネタカの視線は居心地悪そうにしているコーラルから離れなかった。
「コーラルが話せるようになったのは最近の事です。
それまで辛く怖い思いをしてきた彼女にとって、ルーシュピケでの生活は今までにない安らぎです。」
「そうだったのか・・・。」
ムネタカの表情は再び会えて嬉しいと言うよりかは罪悪感が滲み出ていた。
「今は幸せか?」
そう問いかけたムネタカにコーラルは弱々しい笑顔で頷いた。
「ちゃんと眠れるようになりました。
それに、カロス様とダイダ様の元で機織りの修行が出来る様になったんです。
毎日、朝が来るのが楽しみなんです。」
ルーシュピケで居場所を見つけたコーラルはキキ医師の家で居候を続けながら機織りの手習いを始めた。
1歩1歩でも前を進めるようになったと聞き、イオリは安心したように微笑んだ。
「コーラル?
カミツレはまだなの?」
裏戸が開きキキ医師が顔を出した。
カミツレとはカモミールの事で、カモミールティーはキキ医師のお気に入りになったようだ。
「ありゃ、人族の若者2人に捕まってたのね?」
キキ医師のからかいにコーラルは困ったように笑っている。
「“グランヌス”の王宮で働いていた彼女と面識があったんです。
姿を見なくなって心配していました。
この地で穏やかに暮らしていると聞いて安心していたところです。
足止めをして申し訳なかった。」
“グランヌス”の王子であるムネタカとコーラルが繋がりがあるとは思っていなかったキキ医師は驚きを隠さなかった。
「そうなの?
じゃあ・・・彼は・・・。」
「優しくしてくれたお兄さんです。」
コーラルはハッキリと言い切った。
その言葉にイオリも片眉を上げて驚いた。
「そう・・・彼がそうなのね?」
ちょっと厳しい視線をムネタカに送ったキキ医師であったが、フッと顔を緩めた。
「貴方も大変な目にあったものね。
あとはイオリの坊やにお任せするわよ。」
そう言ってコーラルを連れて診療所に帰っていくキキ医師にイオリは手をあげて頷いた。
扉が締まり、姿が見えなくなってもムネタカはコーラルのいた場所から視線を変えなかった。
「・・・可哀想な事をしました。」
呟くムネタカにイオリは同意するように頷いた。
「貴方との秘密で胸を押し潰されそうになっていました。
微笑むようになってくれて、皆んなホッとしているんですよ。
・・・ムネタカさん。
聴かせて下さい。
あの日、コーラルと何を見たんですか?」
ムネタカはそれまでにない程に悲しげな顔でイオリを振り返った。
「あの日、何物にも変え難い宝をあの女に奪われたんです。」
ムネタカの目に一筋の涙が流れていた。
「お兄さん・・・なんでここに?」
ムネタカとコーラルは互いに信じられないとばかりに見つめ合った。
「お知り合いですか?」
イオリが声をかけるとムネタカは戸惑ったように頷いた。
「宮殿内で働いていた下働きの娘です。
何故、彼女がここに?」
嬉しい再会とはいかないのか、2人は気まずそうだった。
そこでイオリがコーラルがミズガルドで攫われたところからルーシュピケに保護されるまでの話をムネタカに聞かせた。
驚き悲しむムネタカの視線は居心地悪そうにしているコーラルから離れなかった。
「コーラルが話せるようになったのは最近の事です。
それまで辛く怖い思いをしてきた彼女にとって、ルーシュピケでの生活は今までにない安らぎです。」
「そうだったのか・・・。」
ムネタカの表情は再び会えて嬉しいと言うよりかは罪悪感が滲み出ていた。
「今は幸せか?」
そう問いかけたムネタカにコーラルは弱々しい笑顔で頷いた。
「ちゃんと眠れるようになりました。
それに、カロス様とダイダ様の元で機織りの修行が出来る様になったんです。
毎日、朝が来るのが楽しみなんです。」
ルーシュピケで居場所を見つけたコーラルはキキ医師の家で居候を続けながら機織りの手習いを始めた。
1歩1歩でも前を進めるようになったと聞き、イオリは安心したように微笑んだ。
「コーラル?
カミツレはまだなの?」
裏戸が開きキキ医師が顔を出した。
カミツレとはカモミールの事で、カモミールティーはキキ医師のお気に入りになったようだ。
「ありゃ、人族の若者2人に捕まってたのね?」
キキ医師のからかいにコーラルは困ったように笑っている。
「“グランヌス”の王宮で働いていた彼女と面識があったんです。
姿を見なくなって心配していました。
この地で穏やかに暮らしていると聞いて安心していたところです。
足止めをして申し訳なかった。」
“グランヌス”の王子であるムネタカとコーラルが繋がりがあるとは思っていなかったキキ医師は驚きを隠さなかった。
「そうなの?
じゃあ・・・彼は・・・。」
「優しくしてくれたお兄さんです。」
コーラルはハッキリと言い切った。
その言葉にイオリも片眉を上げて驚いた。
「そう・・・彼がそうなのね?」
ちょっと厳しい視線をムネタカに送ったキキ医師であったが、フッと顔を緩めた。
「貴方も大変な目にあったものね。
あとはイオリの坊やにお任せするわよ。」
そう言ってコーラルを連れて診療所に帰っていくキキ医師にイオリは手をあげて頷いた。
扉が締まり、姿が見えなくなってもムネタカはコーラルのいた場所から視線を変えなかった。
「・・・可哀想な事をしました。」
呟くムネタカにイオリは同意するように頷いた。
「貴方との秘密で胸を押し潰されそうになっていました。
微笑むようになってくれて、皆んなホッとしているんですよ。
・・・ムネタカさん。
聴かせて下さい。
あの日、コーラルと何を見たんですか?」
ムネタカはそれまでにない程に悲しげな顔でイオリを振り返った。
「あの日、何物にも変え難い宝をあの女に奪われたんです。」
ムネタカの目に一筋の涙が流れていた。
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