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旅路〜ルーシュピケ2〜
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「我が国には他国にない法律があります。
強き者こそが王なのです。
現在でも、国民に限らずに全ての人間が王に挑む権利が存在します。」
「王が負けたら、どうするんです?」
「王が変わり、勝った者が“トウカ”と“ショーグン”の名を受け継ぎます。」
国の成り立ちを話し終えたムネタカは軽く微笑む。
「実際に、何度も王へ挑戦してきた者がいましたが、現在まで初代の血筋が受け継がれています。」
“グランヌス”の王家に求められる力が、どれほど重い物なのだろうと、想像するだけでイオリは疲れた。
「人族とはいえ、隣国です。
過去に“ルーシュピケ”と“グランヌス”に交流はなかったのですか?」
イオリが問いかけると、長命のハニエル老が「クククッ」と笑った。
「交流か・・・?
初代グランヌス王が挨拶に来た事があったよ。
しかし、我等は今よりも人族を恐れていた時代だ。
決して良好な関係とはならなかった。
“グランヌス”の方も国づくりに苦心していた訳だが、年月を超えても我等が交わる事はなかった。」
それにはムネタカも頷いた。
「正直なところ。
過去に我が国が“ルーシュピケ”を手中に収めようとした計画があったようです。
しかし、大きな災害が起こり断念。
火山による地震が起因でしたが、当時の者達は野心への罰が降ったとして他国への侵攻は今後一才してはならぬと法律が定められました。
我が国が、より殻に篭る道を選んだ要因です。」
極端といえば極端な思考であったが、まだ弱者であった当時の“ルーシュピケ”は助かったと言えた。
侵攻の計画があったと聞いてもハニエル老は驚いていなかった。
「いつ、襲われるとも分からぬと不安がっていた。
ハッキリして安心したよ。
互いに交流を持つ気がないのなら、孤立する筈だ。」
ムネタカは神妙な顔で頷いた。
「全くです。
我等の中にも腕試しに国を離れる者もいましたが、他国で問題を起こすは恥と教え込まれます。
だからこそ、今の状況が居た堪れません。」
項垂れる主人を前に家臣達も沈んでいる。
「・・・ムネタカさん。
教えて下さい。
“グランヌス”に蔓延る“魅了”の話を。」
それこそが聞きたいとばかりにフェンバインが膝を叩いた。
「やっとだ!
お前さんの国の成り立ちの苦労など知った事じゃねーんだよ。
国を作ろうって奴らは皆んな苦労ってヤツをしてるだろうさ。
オイラが知りたいのは今だ。
オイラ達、獣人は気の長いほうじゃねからな。
ウズウズしてたんだ。
洗いざらい話して貰うからな。」
体の大きなフェンバインが前のめりにムネタカを睨みつけた。
既に観念していたムネタカに怯えはない。
「はい。
お聞きください。
我が国の愚かな転落を・・・。」
誇り高い“火の男”が自国を愚かと言った。
それ程にムネタカは、この数年に疲れていたのだ。
「《よく当たる占い師がいる。》
最初に耳にしたのは、この報告でした。
その占い師は、他国から来た修験者でした。
馬鹿馬鹿しいと父を含め誰もが相手にしてなかったのですが、その修験者は瞬く間に町人達の心を掴んでいったのです。」
ーーーそれが、ムネタカにとって悪夢の始まりだった。
強き者こそが王なのです。
現在でも、国民に限らずに全ての人間が王に挑む権利が存在します。」
「王が負けたら、どうするんです?」
「王が変わり、勝った者が“トウカ”と“ショーグン”の名を受け継ぎます。」
国の成り立ちを話し終えたムネタカは軽く微笑む。
「実際に、何度も王へ挑戦してきた者がいましたが、現在まで初代の血筋が受け継がれています。」
“グランヌス”の王家に求められる力が、どれほど重い物なのだろうと、想像するだけでイオリは疲れた。
「人族とはいえ、隣国です。
過去に“ルーシュピケ”と“グランヌス”に交流はなかったのですか?」
イオリが問いかけると、長命のハニエル老が「クククッ」と笑った。
「交流か・・・?
初代グランヌス王が挨拶に来た事があったよ。
しかし、我等は今よりも人族を恐れていた時代だ。
決して良好な関係とはならなかった。
“グランヌス”の方も国づくりに苦心していた訳だが、年月を超えても我等が交わる事はなかった。」
それにはムネタカも頷いた。
「正直なところ。
過去に我が国が“ルーシュピケ”を手中に収めようとした計画があったようです。
しかし、大きな災害が起こり断念。
火山による地震が起因でしたが、当時の者達は野心への罰が降ったとして他国への侵攻は今後一才してはならぬと法律が定められました。
我が国が、より殻に篭る道を選んだ要因です。」
極端といえば極端な思考であったが、まだ弱者であった当時の“ルーシュピケ”は助かったと言えた。
侵攻の計画があったと聞いてもハニエル老は驚いていなかった。
「いつ、襲われるとも分からぬと不安がっていた。
ハッキリして安心したよ。
互いに交流を持つ気がないのなら、孤立する筈だ。」
ムネタカは神妙な顔で頷いた。
「全くです。
我等の中にも腕試しに国を離れる者もいましたが、他国で問題を起こすは恥と教え込まれます。
だからこそ、今の状況が居た堪れません。」
項垂れる主人を前に家臣達も沈んでいる。
「・・・ムネタカさん。
教えて下さい。
“グランヌス”に蔓延る“魅了”の話を。」
それこそが聞きたいとばかりにフェンバインが膝を叩いた。
「やっとだ!
お前さんの国の成り立ちの苦労など知った事じゃねーんだよ。
国を作ろうって奴らは皆んな苦労ってヤツをしてるだろうさ。
オイラが知りたいのは今だ。
オイラ達、獣人は気の長いほうじゃねからな。
ウズウズしてたんだ。
洗いざらい話して貰うからな。」
体の大きなフェンバインが前のめりにムネタカを睨みつけた。
既に観念していたムネタカに怯えはない。
「はい。
お聞きください。
我が国の愚かな転落を・・・。」
誇り高い“火の男”が自国を愚かと言った。
それ程にムネタカは、この数年に疲れていたのだ。
「《よく当たる占い師がいる。》
最初に耳にしたのは、この報告でした。
その占い師は、他国から来た修験者でした。
馬鹿馬鹿しいと父を含め誰もが相手にしてなかったのですが、その修験者は瞬く間に町人達の心を掴んでいったのです。」
ーーーそれが、ムネタカにとって悪夢の始まりだった。
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