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旅路〜ルーシュピケ2〜
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鼻がムズムズする。
ムネタカはピクピクと鼻を動かした。
ーーークスクス。
再びムズムズとするとムネタカは鼻を掻く。
ーーークスクス。
軽やかな笑い声が聞こえてきた。
精霊か物の怪かと薄めを開ければ、大きな綿の花が鼻をくすぐる。
「うぅぅぅ。」
起き上がったムネタカが目にしたのはベッドの影に逃げていく子供達の姿だった。
「きゃーーー。」
「起きたぁ。」
「隠れなきゃ!」
「もう、遅いと思うよ。」
隠れた子供達はキラキラした目をムネタカに向けた。
状況が掴めず目を丸くしたムネタカは2人の子供の紫の髪の間にピンと尖った耳がある事に気づいた。
ーーー獣人?しかも、狼だ。
隣はエルフの少年と・・・人族の子供か・・・。
「すまないが、此処が何処だか教えて貰えるだろうか?」
困った顔のムネタカに子供達が顔を見合わせた。
「ルーシュピケだよ。」
「お兄さん、2日間も寝てたんだよ。」
「お水いる?」
「オレ、イオリ呼んでくるよ。」
狼獣人の男の子が走っていくのを見つめていると、人族の子供にコップを差し出され、ムネタカは笑みを浮かべた。
「ありがとう。」
ベッドに乗っかり、ニコニコする少女の頭を撫でたムネタカは徐々に自分が置かれた状況に気づき出した。
「2日間も寝ていた!?」
突然、驚きだしたムネタカに子供達がクスクスと笑う。
「お元気そうで何よりです。」
未だに混乱の中にいるムネタカは声のする方に顔を向けた。
そこには真っ黒な服装をした青年がいた。
「あっ。」
薄らいでいた記憶が呼び起こされる。
「改めまして、アースガイルの冒険者でイオリです。
ここはルーシュピケの砦の中です。
随分、お疲れだったようですね。
丸っと2日眠ってましたよ。」
「・・・そうか。
イオリ殿。
助けて頂き、感謝に耐えない。
自分の弱さを認めるは我が国では、お愚か者と叱咤されるが、其方の前では意味もないのだろう。」
頭を下げるムネタカを見つめていたイオリであったが、堪えられないのか吹き出した。
「プッ。
やっぱり。
ムネタカさんは堅苦しいですね。
ここは、貴方の国ではないから貴方はただの人ですよ。
《人は弱さを知った時、初めて強さを知る。》
先人の言葉です。
自分の弱さを認められたムネタカさんが“強い男”っていうのになれるかは、これから次第でしょうね。」
「これから・・・。
もう一度、生き直せるのか?」
「ムネタカさん。
此処はルーシュピケ。
エルフの住む里がある場所です。
エルフって何歳まで生きるか知ってます?
100年生きた人が若者って言われるんですよ?
中には1000年は生きてる人がいるんです。
俺達なんて、たかだか数十年しか生きてないんです。
彼らにしたら、俺達なんてヨチヨチのヒヨッ子ですよ。
何、人生を悟った顔してるんです?
楽しまなきゃ損ですよ。」
「「行こう!」」
両手を人族の少女と狼獣人の少女に取られ、ベッドから起き上がったムネタカは引きずられるがままに外に出た。
そこは煌めく光が降り注ぐ花畑だった。
「兄様ー。」
人族の少女が堅いの良い若者に走り寄り抱き上げられて、笑った。
天に召されるとは、この様な事を言うのだろうか。
「・・・美しいな。」
優しい風に舞う花びらがムネタカの頬を撫でた。
ムネタカはピクピクと鼻を動かした。
ーーークスクス。
再びムズムズとするとムネタカは鼻を掻く。
ーーークスクス。
軽やかな笑い声が聞こえてきた。
精霊か物の怪かと薄めを開ければ、大きな綿の花が鼻をくすぐる。
「うぅぅぅ。」
起き上がったムネタカが目にしたのはベッドの影に逃げていく子供達の姿だった。
「きゃーーー。」
「起きたぁ。」
「隠れなきゃ!」
「もう、遅いと思うよ。」
隠れた子供達はキラキラした目をムネタカに向けた。
状況が掴めず目を丸くしたムネタカは2人の子供の紫の髪の間にピンと尖った耳がある事に気づいた。
ーーー獣人?しかも、狼だ。
隣はエルフの少年と・・・人族の子供か・・・。
「すまないが、此処が何処だか教えて貰えるだろうか?」
困った顔のムネタカに子供達が顔を見合わせた。
「ルーシュピケだよ。」
「お兄さん、2日間も寝てたんだよ。」
「お水いる?」
「オレ、イオリ呼んでくるよ。」
狼獣人の男の子が走っていくのを見つめていると、人族の子供にコップを差し出され、ムネタカは笑みを浮かべた。
「ありがとう。」
ベッドに乗っかり、ニコニコする少女の頭を撫でたムネタカは徐々に自分が置かれた状況に気づき出した。
「2日間も寝ていた!?」
突然、驚きだしたムネタカに子供達がクスクスと笑う。
「お元気そうで何よりです。」
未だに混乱の中にいるムネタカは声のする方に顔を向けた。
そこには真っ黒な服装をした青年がいた。
「あっ。」
薄らいでいた記憶が呼び起こされる。
「改めまして、アースガイルの冒険者でイオリです。
ここはルーシュピケの砦の中です。
随分、お疲れだったようですね。
丸っと2日眠ってましたよ。」
「・・・そうか。
イオリ殿。
助けて頂き、感謝に耐えない。
自分の弱さを認めるは我が国では、お愚か者と叱咤されるが、其方の前では意味もないのだろう。」
頭を下げるムネタカを見つめていたイオリであったが、堪えられないのか吹き出した。
「プッ。
やっぱり。
ムネタカさんは堅苦しいですね。
ここは、貴方の国ではないから貴方はただの人ですよ。
《人は弱さを知った時、初めて強さを知る。》
先人の言葉です。
自分の弱さを認められたムネタカさんが“強い男”っていうのになれるかは、これから次第でしょうね。」
「これから・・・。
もう一度、生き直せるのか?」
「ムネタカさん。
此処はルーシュピケ。
エルフの住む里がある場所です。
エルフって何歳まで生きるか知ってます?
100年生きた人が若者って言われるんですよ?
中には1000年は生きてる人がいるんです。
俺達なんて、たかだか数十年しか生きてないんです。
彼らにしたら、俺達なんてヨチヨチのヒヨッ子ですよ。
何、人生を悟った顔してるんです?
楽しまなきゃ損ですよ。」
「「行こう!」」
両手を人族の少女と狼獣人の少女に取られ、ベッドから起き上がったムネタカは引きずられるがままに外に出た。
そこは煌めく光が降り注ぐ花畑だった。
「兄様ー。」
人族の少女が堅いの良い若者に走り寄り抱き上げられて、笑った。
天に召されるとは、この様な事を言うのだろうか。
「・・・美しいな。」
優しい風に舞う花びらがムネタカの頬を撫でた。
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