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旅路〜パライソの森⒉〜
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「ルーシュピケの皆々様に申し上げる。」
刀を構え、ソウスケと対峙したロクは声を張り上げた。
「この地に危険を引き連れてきた我々に対し、お怒りはもっともの事。
詫びても償いのしようが御座いません。
パライソの森を通ると決めたのは主人ではなく俺で御座います。
現在、我が国には“魅了”の闇が蔓延し、国家の危機に苛まれております。
今、目の前にいる愚か者の所業も“魅了”の影響かもしれぬのです。」
ロクの言葉にガーディアン達は騒めき出した。
「魅了?」
「無理やり言う事を聞かせるって事だよ。」
「人族どうして奴隷扱いしてるって事か?」
「馬鹿らしい。」
人族嫌いのエルフや獣人にとって、人の欲望の末の犯罪ほど愚かしい事はないのだろう。
ガーディアン達はロクの話に嫌悪感を隠そうとしなかった。
「同じ主人に仕えた縁。
この男は私の手で始末をつけさせて頂きたい。
手出し無用に願います!」
最後の言葉こそ、ロクが言いたかった言葉なのだろう。
魅了の手に落ちた仲間を自分の手で葬ろうとしているのだ。
ロクの覚悟に一同が固唾を飲んで見守った。
「・・・お前如きに私が負けるとでも?」
ソウスケは逃げられぬと悟ったのか、ロクを睨みつけた。
「あの御方こそが我ら“グランヌス”にとっての希望の光となるのだ・・・。」
刀を構えど、襲ってくる気配のないソウスケをロクは悲しんだ。
「お労しい姿っスよ。
ソウスケ殿。
かつての貴方なら、主の為なら負け戦にも飛び込んで行った事でしょう。
何を怯えているっスか?
さっさと、こいや!!」
ビクッと肩を揺らしたソウスケの切っ先はブルブルと震えている。
「・・・もう、良い。
ロク。」
一連の事態を信じられぬ思いで見つめていたムネタカがロクを止めた。
「お前の言う通りだ。
目の前にいるのはソウスケではない。
ソウスケならば、私と意見の相違があれば1対1で立ち会いを申してきた事だろう。
・・・ソウスケ、お前も“魅了”に負けたのだな。
最後は私の手で送り出す。
それが、幼き頃より勤め上げてくれた友への慰めだ。」
ムネタカは刀を取り出すと、友人と対峙した。
「来い。
最後の立ち会いだ。」
その目は国に裏切られ、友に裏切られ打ちのめされていた、先程までの若者ではなかった。
全てを受け入れようと、友を前に覚悟を決めた男の目だ。
「・・・ムネ・・タカ。
・・・ムネタカ。
いざ!」
視線を彷徨わせていたソウスケがグッと歯を食いしばり、ムネタカ向かって走り込んできた。
「さらばだ。友よ。」
ムネタカは涙を堪え、友に目掛けて刀を振り上げた。
バンっ!!
そんな中だった。
大きな破裂音が、その場を掌握した。
一同が耳を押さえて蹲った。
驚くムネタカの目にコメカミから煙を上げて白目を剥いて倒れているソウスケが映った。
「何、殺そうとしてるんですか。
折角の証人ですよ?」
声のした方を見れば、無遠慮に立ち会いを止めた男・イオリが不満気に立っていたのであった。
刀を構え、ソウスケと対峙したロクは声を張り上げた。
「この地に危険を引き連れてきた我々に対し、お怒りはもっともの事。
詫びても償いのしようが御座いません。
パライソの森を通ると決めたのは主人ではなく俺で御座います。
現在、我が国には“魅了”の闇が蔓延し、国家の危機に苛まれております。
今、目の前にいる愚か者の所業も“魅了”の影響かもしれぬのです。」
ロクの言葉にガーディアン達は騒めき出した。
「魅了?」
「無理やり言う事を聞かせるって事だよ。」
「人族どうして奴隷扱いしてるって事か?」
「馬鹿らしい。」
人族嫌いのエルフや獣人にとって、人の欲望の末の犯罪ほど愚かしい事はないのだろう。
ガーディアン達はロクの話に嫌悪感を隠そうとしなかった。
「同じ主人に仕えた縁。
この男は私の手で始末をつけさせて頂きたい。
手出し無用に願います!」
最後の言葉こそ、ロクが言いたかった言葉なのだろう。
魅了の手に落ちた仲間を自分の手で葬ろうとしているのだ。
ロクの覚悟に一同が固唾を飲んで見守った。
「・・・お前如きに私が負けるとでも?」
ソウスケは逃げられぬと悟ったのか、ロクを睨みつけた。
「あの御方こそが我ら“グランヌス”にとっての希望の光となるのだ・・・。」
刀を構えど、襲ってくる気配のないソウスケをロクは悲しんだ。
「お労しい姿っスよ。
ソウスケ殿。
かつての貴方なら、主の為なら負け戦にも飛び込んで行った事でしょう。
何を怯えているっスか?
さっさと、こいや!!」
ビクッと肩を揺らしたソウスケの切っ先はブルブルと震えている。
「・・・もう、良い。
ロク。」
一連の事態を信じられぬ思いで見つめていたムネタカがロクを止めた。
「お前の言う通りだ。
目の前にいるのはソウスケではない。
ソウスケならば、私と意見の相違があれば1対1で立ち会いを申してきた事だろう。
・・・ソウスケ、お前も“魅了”に負けたのだな。
最後は私の手で送り出す。
それが、幼き頃より勤め上げてくれた友への慰めだ。」
ムネタカは刀を取り出すと、友人と対峙した。
「来い。
最後の立ち会いだ。」
その目は国に裏切られ、友に裏切られ打ちのめされていた、先程までの若者ではなかった。
全てを受け入れようと、友を前に覚悟を決めた男の目だ。
「・・・ムネ・・タカ。
・・・ムネタカ。
いざ!」
視線を彷徨わせていたソウスケがグッと歯を食いしばり、ムネタカ向かって走り込んできた。
「さらばだ。友よ。」
ムネタカは涙を堪え、友に目掛けて刀を振り上げた。
バンっ!!
そんな中だった。
大きな破裂音が、その場を掌握した。
一同が耳を押さえて蹲った。
驚くムネタカの目にコメカミから煙を上げて白目を剥いて倒れているソウスケが映った。
「何、殺そうとしてるんですか。
折角の証人ですよ?」
声のした方を見れば、無遠慮に立ち会いを止めた男・イオリが不満気に立っていたのであった。
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