続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路〜パライソの森⒉〜

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「ロク!ロク!」

「ムネタカ!」

 遅れてソウスケがムネタカに走り寄った。

 再び、何処からともなく矢がムネタカを狙って放たれた。

「これはルーシュピケの仕業か!」

 刀を抜くソウスケにガーディアン達が殺気だった。

「馬鹿な!我らではない!」

 イドリアルとソウスケが睨み合いを続ける中でキクが悲壮な声を上げた。

「ムネタカ様!
 御身にお怪我はございませんか?」

 身を挺して自分を守ってくれたロクを抱きしめムネタカは震えた。
 そこに2人の幼馴染の声すら届いていなかった。 

「また、私の所為で・・・。」

 ムネタカは自分を庇うように抱きしめた。

「ムネタカ様!
 ご無事ですか?」

 キクが走り寄ってくるのが分かってもムネタカは呆然として立ち上がる事も出来ないでいる。
 その脇ではソウスケとガーディアン達の間で、いつでも戦闘開始の鐘がなりそうだ。

 その時だった。
 草むらから、争う声が聞こえてきた。

「グアぁぁ!
 やめろ!
 獣めがぁぁ!」

 誰しもが注目する中、ヒョイっと真っ白な狼が姿を現した。
 どういう訳か、その口には気絶をした男を咥えていた。

「貴方を射抜こうとしたの男です。」

 驚き、顔面蒼白なムネタカに変わりイドリアルが近づいてきた。

「どういう事だい?」

「初めから、変だと思っていたんですよ。」

 腰に手を当てて男を見下ろしたイオリは振り返った。
 そこには鳥獣人であるガーディアン“サバト”のタイタンが同じく不思議そうな顔で腕組みをしている。

「“エルフの里の戦士”の中にアーチャーが居ないのにタイタンさんの背に刺さった矢は誰が射ったんでしょう?」

 一同はハッとして縛り上げられている“エルフの里の戦士”に注目した。
 彼らの側には剣や槍は転がっているが弓の1つもなかった。

「簡単に考えれば、他の誰かが射ったという事になりますね。
 そして、俺はスナイパーです。
 何処から射られた矢かは検討がつきます。
 従魔が見張っていてくれたんですよ。」

 ゼンはイオリの側に男を放り投げると、再び森の中に駆けて行った。
 ぐったりとした男は手に何も持っていなかったが、手には籠手、後には矢筒を背負っていた。
 誰の目にも射手である事は間違いないと理解できた。
 加えて、草むらから戻ってきたゼンは咥えてきた弓と矢を吐き捨てた。

「毒だな。」

 矢尻の匂いを嗅ぎタイタンは忌々しげに顔を顰めた。


「どうやら、貴方の国の人のようですね。」

 一目で分かっていたのだろう。
 ムネタカは自分達と同じ衣装を身につけた男を見て悲しそうに頷いた。

「居場所がバレていたのだな・・・。」

「残念ですが。
 情報が筒抜けだったようですね。」

 イオリはそう言うと、返答を待たずに銃をまっすぐに掲げた。

 ギョッとするムネタカが目で追った銃口の先には、驚き顔を顰めたソウスケがいた。
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