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旅路〜パライソの森⒉〜

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「クソッ!
 出せ!
 あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 シールドの中で暴れる“エルフの里の戦士”をヒューゴはつまらなそうに見つめていた。

「出せと言われて出す奴がいるか。」

 怒りで顔を歪ませる“エルフの里の戦士”に近づき、勝負はついたとニヤリと笑った。

「汚い手を使いよって!
 この脆弱な人族がぁぁ!」

 唾を飛ばしながら罵詈雑言を並べる敵にヒューゴは面倒臭そうに頭をかいた。

「自分の得意を使って何が悪い。
 随分と優しい相手と戦ってきたんだな。
 そろそろ、子供達の教育に悪いな。
 耳障りだ。」

 “エルフの里の戦士”は眉間に皺を寄せた。

 ーーー奴とて、シールド内の我に攻撃を仕掛けらないはず。
    ならば、シールドが外れた一瞬を狙えば・・・。

 反撃の隙間がある事に内心笑っていた“エルフの里の戦士”の考えを、ヒューゴはすぐに破る事になる。

「考えてる事は分かるが、残念だな。
 俺のシールドは俺の自在に作り出される。
 だから、敵は閉じ込めても俺の大剣は弾かれないんだよ。」

 ヒューゴが振り上げた大剣が“エルフの里の戦士”の視界を覆った。

「クソッ!
 クソッ!
 クソッ!
 我はダークエルフ・ルミエール様の恩恵を得た戦士!
 こんな所で・・・人族なんぞに・・・やられる訳がないのだぁぁぁ!」

「残念だが、おやすみの時間だ。」

ドガーーーン!

 ヒューゴの大剣をモロに喰らった“エルフの里の戦士”は苦しげな顔で意識を失った。

「終わったな。」

 敵が目を覚さないのを確認したヒューゴはシールドの膜を外した。

「1人で冒険者をしていた時はシールドの使い方なんて考えもしなかったな。
 ・・・アイツらのお陰で俺も視野が広がったって事かな。」

 ヒューゴは自分の勝利を喜んでいる妹や双子やナギを見て微笑んだ。


_________

「ヒューゴさんの方は終わったみたいだね。」

 振り返って、頷くヒューゴにイオリは手を上げて微笑んだ。
 すると、別働していたゼンの声がした。
 
『イオリ。イオリ。
 捕まえていい?』

「まーだ。
 こっちが騒がしいからね。」

『じゃあ、早く終わらせてよ。』

 急かしてくるゼンにイオリは苦笑した。

 イオリは今だに木の上で戦いの行方を見つめていた。

 ガーディアン“サバト”も始めこそ“エフルの里の戦士”の急襲に態勢を崩していたが、数人で1人を相手する事でバランスをとっている。
 
 加えて、イドリアル達“ペンプティ”が合流した事で残りの4人の“エルフの里の戦士”を追い詰めている。

 しかし、イオリは知っていた。
 
 追い詰められた“エルフの里の戦士”が最終手段をとる事を・・・。

「もう、好きにはさせないさ。」

 イオリはスナイパーライフルを構えると銃口を戦いで雑踏としている集団に狙いを定めた。




 
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