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旅路〜ルーシュピケ〜
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パライソの森の薄暗い草木の中で2つの影が浮かび上がっていた。
「件の少女の行方は分かりそうか?」
「いいえ。
しかし、その子はウサギの獣人なのでしょう?
十中八九、ルーシュピケでしょう。」
「あそこの砦は我らにとって鉄壁な守りだから面倒だな。」
カサカサ
影の1つが手紙を取り出した。
「にしても、よく気づかれたものだ。
肩に土が少量ついていただけで、少女の嘘を見抜いたとはな。」
「しかし、逃したとあれば例の女官の失態です。」
「全く、その娘は何をしたのだ・・・。
どうあれ、目的の1人は我らの手の中にある。
あとは時間の問題だ。
合図があれば・・・分かっているな?」
「・・・はい。」
それから、暫くして不穏な影が散っていった。
誰に見られる事なく・・・。
_________
「うわぁ。
果物が沢山あるー!!」
「こっちには肉だ!」
イオリ達は、ルーシュピケの中央にある町に戻って来ていた。
目に映る全てが楽しい子供達は大騒ぎだ。
「フフフ。」
ラックと手を繋いで歩くコーラルが思わず笑っている。
コーラルの話を聞き終えた一行は、グランヌスの内部の不穏な空気について話し合った。
しかし、コーラルの話だけでは情報として不確かな事が多い為に一時棚上げとなってしまった。
話終え震えるコーラルは疲れたようだった。
イオリ達は、彼女の秘密を必要以上に広めないと改めて約束し、コーラルを安心させた。
「今は、考えても仕方ねェな。
今日は終いだ。」
フェンバインの終了宣言でイオリ達は獣人の集落を離れ町を散策しているのである。
ウサギのお姉ちゃんが元気になり、ご満悦なのはラックだ。
まだ、体調が万全ではないコーラルを気遣いながら、アッチコッチと走り回る双子やニナに案内を忘れない。
アースガイルなどの街に立ち並ぶ店達を見ていたスコル・パティ・ニナ・ナギにとって、無造作に置かれた果物や野菜、肉の塊が並ぶエリアが店と言われれば、驚くのも無理もない。
屋台や露天商とも微妙に違うのも好奇心が刺激されているのだろう。
「エルフも獣人も基本的には自分達で食べ物を採って来るんだけど、中には仕事をしてて狩猟や採取に時間を割けない人達もいるからね。」
どの世界でも、仕事に追われる人達がいるものだ。
そんな人達の為に、代わりに肉を狩猟する者がいたり、料理を振る舞う者がいるのだそうだ。
「ホワイトキャビンみたいに、外の物を売りに旅団が来る事もあるんだ。
ほらアレが俺達の旅団の店だよ。」
ラックに案内され、住人達が集まる中心に行くと、馬車の前に商品がズラリと並んでいた。
塩や砂糖、スパイスなどの調味料から、鍋や刃物といった料理道具達。
様々な国の流行のファッションや、ポーションなどの傷薬などもある。
「おい。
防具は無いか?
この間、キメラに突っ込まれて、ヒビが入っちまったんだ。」
「ありますよ。
何種類か用意しますんで、お待ちください。」
ゴヴァンが馬車の中に入っていく。
ここではホワイトキャビンは何でも屋のようだ。
「ホワイトキャビンは他の旅団と違って、珍しい物を持ってくるから人気なんだよ。」
アースガイルに拠点があるホワイトキャビンはイオリの欲望が詰まった商品を取り扱う。
決して他国では真似出来ない不思議な商品達が人気なのだ。
イオリは忙しそうにしているコナーやゴヴァン達を見て、労いの黙祷をした後、逃げるように離れるのだった。
「件の少女の行方は分かりそうか?」
「いいえ。
しかし、その子はウサギの獣人なのでしょう?
十中八九、ルーシュピケでしょう。」
「あそこの砦は我らにとって鉄壁な守りだから面倒だな。」
カサカサ
影の1つが手紙を取り出した。
「にしても、よく気づかれたものだ。
肩に土が少量ついていただけで、少女の嘘を見抜いたとはな。」
「しかし、逃したとあれば例の女官の失態です。」
「全く、その娘は何をしたのだ・・・。
どうあれ、目的の1人は我らの手の中にある。
あとは時間の問題だ。
合図があれば・・・分かっているな?」
「・・・はい。」
それから、暫くして不穏な影が散っていった。
誰に見られる事なく・・・。
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「うわぁ。
果物が沢山あるー!!」
「こっちには肉だ!」
イオリ達は、ルーシュピケの中央にある町に戻って来ていた。
目に映る全てが楽しい子供達は大騒ぎだ。
「フフフ。」
ラックと手を繋いで歩くコーラルが思わず笑っている。
コーラルの話を聞き終えた一行は、グランヌスの内部の不穏な空気について話し合った。
しかし、コーラルの話だけでは情報として不確かな事が多い為に一時棚上げとなってしまった。
話終え震えるコーラルは疲れたようだった。
イオリ達は、彼女の秘密を必要以上に広めないと改めて約束し、コーラルを安心させた。
「今は、考えても仕方ねェな。
今日は終いだ。」
フェンバインの終了宣言でイオリ達は獣人の集落を離れ町を散策しているのである。
ウサギのお姉ちゃんが元気になり、ご満悦なのはラックだ。
まだ、体調が万全ではないコーラルを気遣いながら、アッチコッチと走り回る双子やニナに案内を忘れない。
アースガイルなどの街に立ち並ぶ店達を見ていたスコル・パティ・ニナ・ナギにとって、無造作に置かれた果物や野菜、肉の塊が並ぶエリアが店と言われれば、驚くのも無理もない。
屋台や露天商とも微妙に違うのも好奇心が刺激されているのだろう。
「エルフも獣人も基本的には自分達で食べ物を採って来るんだけど、中には仕事をしてて狩猟や採取に時間を割けない人達もいるからね。」
どの世界でも、仕事に追われる人達がいるものだ。
そんな人達の為に、代わりに肉を狩猟する者がいたり、料理を振る舞う者がいるのだそうだ。
「ホワイトキャビンみたいに、外の物を売りに旅団が来る事もあるんだ。
ほらアレが俺達の旅団の店だよ。」
ラックに案内され、住人達が集まる中心に行くと、馬車の前に商品がズラリと並んでいた。
塩や砂糖、スパイスなどの調味料から、鍋や刃物といった料理道具達。
様々な国の流行のファッションや、ポーションなどの傷薬などもある。
「おい。
防具は無いか?
この間、キメラに突っ込まれて、ヒビが入っちまったんだ。」
「ありますよ。
何種類か用意しますんで、お待ちください。」
ゴヴァンが馬車の中に入っていく。
ここではホワイトキャビンは何でも屋のようだ。
「ホワイトキャビンは他の旅団と違って、珍しい物を持ってくるから人気なんだよ。」
アースガイルに拠点があるホワイトキャビンはイオリの欲望が詰まった商品を取り扱う。
決して他国では真似出来ない不思議な商品達が人気なのだ。
イオリは忙しそうにしているコナーやゴヴァン達を見て、労いの黙祷をした後、逃げるように離れるのだった。
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