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旅路〜ルーシュピケ〜
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新たな生活についてもコーラルは教えてくれた。
「ご主人様の名前はオモト様っていうの。」
「オモト?
変な名前ね。」
これまでのコーラルの話を一緒に聞いていたキキ医師が肩を竦めた。
「植物の名前ですよ。」
イオリが微笑むとコーラルが頷いた。
「オモト様もそう言ってた。
オモト様は姫巫女様に名付けてもらったって言ってた。」
「姫巫女様って言うと“神の愛し子”って呼ばれる人かな?」
イオリが問いかける近くでゼンが不満そうな視線を送ってきた。
「そう。
オモト様は姫巫女様付きの女官様なの。」
突然の情報にイオリとヒューゴ、リルラとゴヴァンがそれぞれ視線を交わした。
「コーラルはオモト様のところで、どんな仕事をしていたの?」
質問したのはリルラだった。
しかし、コーラルは困ったように視線を泳がせ、イオリに耳打ちした。
「お城の中に姫巫女様のお屋敷があって、その中にオモト様のお部屋があるの。
そこの、お掃除や身支度のお世話をしていたの。」
まだ沢山の人と会話するのは怖いのだろう。
代わりにイオリが伝えるとリルラとゴヴァンは考え込んだ。
「姫巫女の女官は沢山いますが、部屋付きの女官は4人ほどしかいないはずです。
そして、その中でも女官頭だけは屋敷の中で広い一角を貰っているのです。
恐らく、そのオモトなる者は新たに部屋付き女官へと出世したのでしょう。
姫巫女に近づける女官が増える事は稀です。
国の貴族の誰かが、優遇を得る為にコーラルを送り込んだのではないでしょうか?」
リルラの考察にイオリ達は眉を顰めた。
「何であれ、助け出されて良かったわ。
いつ、誰かに利用されてもおかしくなかったのね。」
キキ医師はコーラルを優しく抱きしめた。
「それで?
コーラルは何を見たんだい?」
イオリが尋ねれば、コーラルは思い出したようにハッとした。
「普段、私はオモト様の部屋に部屋にいるの。
お屋敷の中枢に行くのはオモト様のお使いだったり、仕事終わりを迎えに行ったりする時だけ。
あの日は、いつもよりも早めに迎えに行ったの。」
「それは、どうして?」
「お兄さんがね・・・。
いつも優しいお兄さんが、慌てて姫巫女様のお屋敷に来たのが見えたの。」
新しい人物が現れた。
一生懸命に話すコーラルであるが、自由に話すには、まだ戸惑いがある為に話が滞る事がある。
イオリは促すようにコーラルの話を繰り返した。
「いつも仕事中はオモト様の部屋にいるけど、その日は屋敷で優しくしてくれるお兄さんが慌てていたのを見て、気になってオモト様のいる姫巫女様の所に向かったんだね?」
「・・・うん。」
「お兄さんはどうしたの?」
「姫巫女様の扉を必死に叩いてた。
でも、護衛に追い返されてたの。
お兄さん、困ってたの。
だから・・・。」
「だから?」
コーラルは悲しそうに眉を下げた。
「・・・オモト様が使われる事がある裏手の扉を教えたの。」
コーラルの話に敏感だったのはイオリよりもリルラ達の方だった。
「姫巫女の部屋に裏手の扉・・・そんなの初めて聞いたわ。」
誰よりも真剣にコーラルの話に耳を傾けるリルラにイオリは落ち着くように合図をした。
コーラルの話は終わらなかった。
「姫巫女様と女官様だけがお使いになる扉なんだってオモト様が言ってたわ。
行ってみたら、すんなり開いたから2人で姫巫女様の部屋を覗き込んだの。
そうしたら・・・姫巫女様が誰かを食べちゃったの!」
コーラルは両手で顔を覆うと、怯えたように震え始めた。
「ご主人様の名前はオモト様っていうの。」
「オモト?
変な名前ね。」
これまでのコーラルの話を一緒に聞いていたキキ医師が肩を竦めた。
「植物の名前ですよ。」
イオリが微笑むとコーラルが頷いた。
「オモト様もそう言ってた。
オモト様は姫巫女様に名付けてもらったって言ってた。」
「姫巫女様って言うと“神の愛し子”って呼ばれる人かな?」
イオリが問いかける近くでゼンが不満そうな視線を送ってきた。
「そう。
オモト様は姫巫女様付きの女官様なの。」
突然の情報にイオリとヒューゴ、リルラとゴヴァンがそれぞれ視線を交わした。
「コーラルはオモト様のところで、どんな仕事をしていたの?」
質問したのはリルラだった。
しかし、コーラルは困ったように視線を泳がせ、イオリに耳打ちした。
「お城の中に姫巫女様のお屋敷があって、その中にオモト様のお部屋があるの。
そこの、お掃除や身支度のお世話をしていたの。」
まだ沢山の人と会話するのは怖いのだろう。
代わりにイオリが伝えるとリルラとゴヴァンは考え込んだ。
「姫巫女の女官は沢山いますが、部屋付きの女官は4人ほどしかいないはずです。
そして、その中でも女官頭だけは屋敷の中で広い一角を貰っているのです。
恐らく、そのオモトなる者は新たに部屋付き女官へと出世したのでしょう。
姫巫女に近づける女官が増える事は稀です。
国の貴族の誰かが、優遇を得る為にコーラルを送り込んだのではないでしょうか?」
リルラの考察にイオリ達は眉を顰めた。
「何であれ、助け出されて良かったわ。
いつ、誰かに利用されてもおかしくなかったのね。」
キキ医師はコーラルを優しく抱きしめた。
「それで?
コーラルは何を見たんだい?」
イオリが尋ねれば、コーラルは思い出したようにハッとした。
「普段、私はオモト様の部屋に部屋にいるの。
お屋敷の中枢に行くのはオモト様のお使いだったり、仕事終わりを迎えに行ったりする時だけ。
あの日は、いつもよりも早めに迎えに行ったの。」
「それは、どうして?」
「お兄さんがね・・・。
いつも優しいお兄さんが、慌てて姫巫女様のお屋敷に来たのが見えたの。」
新しい人物が現れた。
一生懸命に話すコーラルであるが、自由に話すには、まだ戸惑いがある為に話が滞る事がある。
イオリは促すようにコーラルの話を繰り返した。
「いつも仕事中はオモト様の部屋にいるけど、その日は屋敷で優しくしてくれるお兄さんが慌てていたのを見て、気になってオモト様のいる姫巫女様の所に向かったんだね?」
「・・・うん。」
「お兄さんはどうしたの?」
「姫巫女様の扉を必死に叩いてた。
でも、護衛に追い返されてたの。
お兄さん、困ってたの。
だから・・・。」
「だから?」
コーラルは悲しそうに眉を下げた。
「・・・オモト様が使われる事がある裏手の扉を教えたの。」
コーラルの話に敏感だったのはイオリよりもリルラ達の方だった。
「姫巫女の部屋に裏手の扉・・・そんなの初めて聞いたわ。」
誰よりも真剣にコーラルの話に耳を傾けるリルラにイオリは落ち着くように合図をした。
コーラルの話は終わらなかった。
「姫巫女様と女官様だけがお使いになる扉なんだってオモト様が言ってたわ。
行ってみたら、すんなり開いたから2人で姫巫女様の部屋を覗き込んだの。
そうしたら・・・姫巫女様が誰かを食べちゃったの!」
コーラルは両手で顔を覆うと、怯えたように震え始めた。
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