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旅路〜ルーシュピケ〜
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ウサギの少女・コーラルの生まれはミズガルドの少数集落だった。
ウサギの獣人が集い、助け合いながら細々と暮らしていた。
コーラルの集落の大人達は異常な程に臆病だった。
人族との付き合いは極力避け、子供達を外の世界と切り離した。
しかし、コーラルは知っていた。
大人達が《このままじゃ、ダメだ。みんなでルーシュピケに行こう。》と話し合っていた事を。
大人達が集落の大移動を決意し、準備に取り掛かった頃。
人族に見つかった。
人族が群れを成して、集落を襲いかかってきたのだ。
「ミズガルドの地で生活をしているに関わらず、今まで税金も払わずにコソコソと過ごしていた下賎な獣達め。」
それが人族の言い分だった。
長がコレから国を出ると言っても、人族は聞き入れなかった。
「ウサギの獣人の子供達は金になる。
滞納していた税は、それで賄ってもらう。」
有無も言わさずに家々に火を放ち、子供達を攫う人族。
大人達は争い戦うが、ことごとく命を散らしていった。
コーラルを掴み上げる男に父と母が追い縋った。
殴られ、気を失った両親が燃え盛る家に取り残されるのをコーラルは泣きながら見つめる事しか出来なかった。
人族の大人達の目が嫌いだった。
物を見るように見つめ、時折に欲望を持つ、その目が大嫌いだった。
檻のような個室に押し込められたコーラルの目に入って来たのは他の種族の獣人の子供達だった。
どんなに探してもウサギの獣人の子供は見当たらなかった。
それから2日ほど経った頃だった。
猫の獣人の男の子が個室に放り投げられて入ってきた。
ーーーこの子も捕まっちゃったんだ。
コーラルは気を失っていた小さな猫の男の子と寄り添った。
誰かを支える事で自分を保っていたのだ。
虎の獣人の男の子とも与えられる食べ物を分け合った。
ーーーどうなっちゃうんだろう。
答えは直ぐに分かった。
キラキラした洋服を身に纏った男が現れると、男達は獣人の子供達を散り散りにさせた。
コーラルと猫の男の子も離された。
「離せ!」
「お姉ちゃんを離して!」
虎の男の子と猫の男の子が人族の男と争っていた。
コーラルは頭を鷲掴みされて引きずられて馬車に押し込まれた。
彼らと引き離された先にいたのは少女ばかりで、皆、怯えて泣く事すら出来ずに震えていた。
ーーー守ってくれた虎の男の子大丈夫かしら?猫の坊やは無事なのかな・・・。
最後、目にしたのはグッタリした2人の姿だった。
2人の事を考えていると、キラキラした洋服を着た男の人がやって来て、コーラルを指差して周りにいた人族の女の人に命令した。
「この子を美しく仕上げろ。」
そして、キラキラした男の人はコーラルの耳元で囁いた。
「お前の買い手は既に決まっている。
大人しくしていれば、悪いようにはされないだろう。」
ーーー買い手がいる。
少女の心臓が痛々しくヒビが入っていく。
「ヴァハマン様。
この子はどちらに?」
ーーー頭がガンガンする。
遠くの方で女の人の声が聞こえた。
ーーー私は何処に行くの?
「火の国“グランヌス”だ。」
男の人の声がコーラルの頭にこだまする。
ーーーグランヌス。グランヌス。グランヌス。それ・・・どこ?
コーラルは耐えきれずに意識を失った。
ウサギの獣人が集い、助け合いながら細々と暮らしていた。
コーラルの集落の大人達は異常な程に臆病だった。
人族との付き合いは極力避け、子供達を外の世界と切り離した。
しかし、コーラルは知っていた。
大人達が《このままじゃ、ダメだ。みんなでルーシュピケに行こう。》と話し合っていた事を。
大人達が集落の大移動を決意し、準備に取り掛かった頃。
人族に見つかった。
人族が群れを成して、集落を襲いかかってきたのだ。
「ミズガルドの地で生活をしているに関わらず、今まで税金も払わずにコソコソと過ごしていた下賎な獣達め。」
それが人族の言い分だった。
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「ウサギの獣人の子供達は金になる。
滞納していた税は、それで賄ってもらう。」
有無も言わさずに家々に火を放ち、子供達を攫う人族。
大人達は争い戦うが、ことごとく命を散らしていった。
コーラルを掴み上げる男に父と母が追い縋った。
殴られ、気を失った両親が燃え盛る家に取り残されるのをコーラルは泣きながら見つめる事しか出来なかった。
人族の大人達の目が嫌いだった。
物を見るように見つめ、時折に欲望を持つ、その目が大嫌いだった。
檻のような個室に押し込められたコーラルの目に入って来たのは他の種族の獣人の子供達だった。
どんなに探してもウサギの獣人の子供は見当たらなかった。
それから2日ほど経った頃だった。
猫の獣人の男の子が個室に放り投げられて入ってきた。
ーーーこの子も捕まっちゃったんだ。
コーラルは気を失っていた小さな猫の男の子と寄り添った。
誰かを支える事で自分を保っていたのだ。
虎の獣人の男の子とも与えられる食べ物を分け合った。
ーーーどうなっちゃうんだろう。
答えは直ぐに分かった。
キラキラした洋服を身に纏った男が現れると、男達は獣人の子供達を散り散りにさせた。
コーラルと猫の男の子も離された。
「離せ!」
「お姉ちゃんを離して!」
虎の男の子と猫の男の子が人族の男と争っていた。
コーラルは頭を鷲掴みされて引きずられて馬車に押し込まれた。
彼らと引き離された先にいたのは少女ばかりで、皆、怯えて泣く事すら出来ずに震えていた。
ーーー守ってくれた虎の男の子大丈夫かしら?猫の坊やは無事なのかな・・・。
最後、目にしたのはグッタリした2人の姿だった。
2人の事を考えていると、キラキラした洋服を着た男の人がやって来て、コーラルを指差して周りにいた人族の女の人に命令した。
「この子を美しく仕上げろ。」
そして、キラキラした男の人はコーラルの耳元で囁いた。
「お前の買い手は既に決まっている。
大人しくしていれば、悪いようにはされないだろう。」
ーーー買い手がいる。
少女の心臓が痛々しくヒビが入っていく。
「ヴァハマン様。
この子はどちらに?」
ーーー頭がガンガンする。
遠くの方で女の人の声が聞こえた。
ーーー私は何処に行くの?
「火の国“グランヌス”だ。」
男の人の声がコーラルの頭にこだまする。
ーーーグランヌス。グランヌス。グランヌス。それ・・・どこ?
コーラルは耐えきれずに意識を失った。
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