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旅路〜ルーシュピケ〜
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「キャッ!人族ッ!!」
そう叫んだのは、イタチの獣人の女性だった。
持っていた籠を落とし、木の実を撒き散らしながらも彼女が凝視している先にはニナがいた。
イタチの獣人の女性の声に周囲の住人達が反応した。
「なんだと!」
「人族だ!
知らない人族が紛れ込んでいるぞ!」
大人達の大声に子供達は悲鳴を上げながら、家々に逃げ込んでいく。
怯えた顔をしたニナを庇うようにスコルとパティが前面に立ち、ナギが抱き寄せた。
そんな子供達の背を守るようにアウラが威嚇している。
「なんで、ここに人族がいるのよ。」
「ガーディアンは何をしてる?」
武器を手にした者達まで現れ、子供達を見下ろしている。
「・・・小僧。
見ない顔だな。
お前は狼の獣人だな?」
「・・・そうだよ。」
「なぜ、人族と共にいる。
返答次第では、痛い目に遭うぞ。」
「家族だから。」
「・・・家族?
人族と?」
1人の男がスコルに話しかける。
彼の頭には立派な三角の耳があり、警戒心が高まっているのかピンっ!と立っていた。
大きな口からは牙も見え、フサフサな尻尾まで見えていた。
彼は狼の獣人だった。
獣寄りの男の目は鋭い。
2人の会話を聞いていたのだろう。
周囲の住人達がザワザワと騒ぎ出した。
「獣人と人族が家族?」
「外の奴じゃないか?」
「大将はまだ帰らないの?」
そんな中、狼の獣人の男はニナを凝視する。
「妹をそんな目で見るな!」
スコルが男に食ってかかると、パティが背負う双剣に手をかけた。
「・・・お前達は獣人だろう?
なぜ、人族を庇い、同胞に敵意を向ける?」
狼の獣人の言葉をスコルは理解できない。
「家族に敵意を向けられて、お前は平気で家族を差し出すのか?
ルーシュピケの獣人は臆病者か?」
「何をッ!」
スコルが発した言葉に住人達が怒気を上げた。
「待て。」
住人達とスコル達の間を小さな影が遮った。
「「ホワン!」」
狼の獣人の男とスコルが同時に声を上げた。
「それ以上はダメだ。
アズロ。
コイツらは客人だ。
大将も認めてる。
スコル。
お前も下がれ。
獣人は初めての人族を警戒する。」
ホワンの言葉にアズロと呼ばれた狼の獣人は仕方なさそうに下がった。
それでもスコルは警戒を弱めなかった。
ホワンをチラリと見ると、再び狼の獣人を睨みつける。
「イオリとはぐれた。
ヒューゴと大将はどこ?」
ドシンッ ドシンッ
住人には聞き慣れた足音が聞こえてくる。
森に目をやれば、複数の人影が見えてきた。
「なんでい?
早速、揉め事かい?」
木の影から象の獣人フェンバインが巨体を揺らしながら現れた。
「猫の子が先走った。
置いてかれたコイツらとアズロ達が揉めてた。」
ホワンの報告にアズロがフェンバインを見上げた。
「大将・・・コイツらは客人なのか?」
「おうよ。
アズロ。
英雄様御一行だ。
英雄様は真っ黒な若者だ。
さっき、通らなかったかい?」
フェンバインの言葉に、住人達が話し始めた。
「ラックちゃんが連れてた人族の事じゃないのかい?」
「猫の子が嬉しそうに腕を引っ張って行ったな。」
「人族だったけれど、優しそうな笑顔だったわ。」
目撃情報を得たフェンバインはウンウンと頷いていた。
「そいつが、イオリだ。
で、コイツらはイオリの家族だ。
文句はあるかい?」
フェンバインに見下ろされ、アズロは短い返事を返した。
「・・・ない。」
そう叫んだのは、イタチの獣人の女性だった。
持っていた籠を落とし、木の実を撒き散らしながらも彼女が凝視している先にはニナがいた。
イタチの獣人の女性の声に周囲の住人達が反応した。
「なんだと!」
「人族だ!
知らない人族が紛れ込んでいるぞ!」
大人達の大声に子供達は悲鳴を上げながら、家々に逃げ込んでいく。
怯えた顔をしたニナを庇うようにスコルとパティが前面に立ち、ナギが抱き寄せた。
そんな子供達の背を守るようにアウラが威嚇している。
「なんで、ここに人族がいるのよ。」
「ガーディアンは何をしてる?」
武器を手にした者達まで現れ、子供達を見下ろしている。
「・・・小僧。
見ない顔だな。
お前は狼の獣人だな?」
「・・・そうだよ。」
「なぜ、人族と共にいる。
返答次第では、痛い目に遭うぞ。」
「家族だから。」
「・・・家族?
人族と?」
1人の男がスコルに話しかける。
彼の頭には立派な三角の耳があり、警戒心が高まっているのかピンっ!と立っていた。
大きな口からは牙も見え、フサフサな尻尾まで見えていた。
彼は狼の獣人だった。
獣寄りの男の目は鋭い。
2人の会話を聞いていたのだろう。
周囲の住人達がザワザワと騒ぎ出した。
「獣人と人族が家族?」
「外の奴じゃないか?」
「大将はまだ帰らないの?」
そんな中、狼の獣人の男はニナを凝視する。
「妹をそんな目で見るな!」
スコルが男に食ってかかると、パティが背負う双剣に手をかけた。
「・・・お前達は獣人だろう?
なぜ、人族を庇い、同胞に敵意を向ける?」
狼の獣人の言葉をスコルは理解できない。
「家族に敵意を向けられて、お前は平気で家族を差し出すのか?
ルーシュピケの獣人は臆病者か?」
「何をッ!」
スコルが発した言葉に住人達が怒気を上げた。
「待て。」
住人達とスコル達の間を小さな影が遮った。
「「ホワン!」」
狼の獣人の男とスコルが同時に声を上げた。
「それ以上はダメだ。
アズロ。
コイツらは客人だ。
大将も認めてる。
スコル。
お前も下がれ。
獣人は初めての人族を警戒する。」
ホワンの言葉にアズロと呼ばれた狼の獣人は仕方なさそうに下がった。
それでもスコルは警戒を弱めなかった。
ホワンをチラリと見ると、再び狼の獣人を睨みつける。
「イオリとはぐれた。
ヒューゴと大将はどこ?」
ドシンッ ドシンッ
住人には聞き慣れた足音が聞こえてくる。
森に目をやれば、複数の人影が見えてきた。
「なんでい?
早速、揉め事かい?」
木の影から象の獣人フェンバインが巨体を揺らしながら現れた。
「猫の子が先走った。
置いてかれたコイツらとアズロ達が揉めてた。」
ホワンの報告にアズロがフェンバインを見上げた。
「大将・・・コイツらは客人なのか?」
「おうよ。
アズロ。
英雄様御一行だ。
英雄様は真っ黒な若者だ。
さっき、通らなかったかい?」
フェンバインの言葉に、住人達が話し始めた。
「ラックちゃんが連れてた人族の事じゃないのかい?」
「猫の子が嬉しそうに腕を引っ張って行ったな。」
「人族だったけれど、優しそうな笑顔だったわ。」
目撃情報を得たフェンバインはウンウンと頷いていた。
「そいつが、イオリだ。
で、コイツらはイオリの家族だ。
文句はあるかい?」
フェンバインに見下ろされ、アズロは短い返事を返した。
「・・・ない。」
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